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蓮沼明「長歌」歌人
2020年12月31日 00:46
川渡り山背風が、宿る湖に、歌うこと、諦めし琵琶、一つひた、ひたと寄る。白波に、狂気のあまり、耳を落とす、画家の生涯を、重ねる鉛、筆かじりの、人独り。どだい描けない、魚の香に、華族遊戯の、果ての果て、インキも押せぬ。「舟を一つ、出してはくれないか」、泡銭を、からから鳴らし、「銭はある」。一隻は、霧らした川に、まざりゆく。返らぬ声を、響かせて、琵琶と銭貨と、腹三つ、魚の跳ねる、活け作り
2020年12月31日 00:33
山背風が宿る湖に歌うこと諦めし琵琶一つひたひたと寄る白波に狂気のあまり耳を落とす画家の生涯を重ねる鉛筆かじりの人独りどだい描けない魚の香に華族遊戯の果ての果てインキも押せぬ「舟を一つ出してはくれないか」泡銭をからから鳴らし「銭はある」一隻は霧らした川にまざりゆく返らぬ声を響かせて琵琶と銭貨と腹三つ魚の跳ねる活け作りーー鐘が鳴る。西へ流れて暁が魚腹を破って昇りゆく「あんた何者だい?」船