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電波法違反ですよ~

これまでも時々報道されたいたがアマチュア無線の装置を免許を受けないもし久我従事者免許もない状態で運用して検挙された事例が結構あるんです。
私も50年来の趣味としてアマチュア無線をしているが、その信頼性を確保する意味でも正しく利用して欲しいですね。
そこでその制度などについてちょっとひも解きます。


|電波法

電波法は、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする法律です。
この法律は、総務省の管轄であり、電波の適正な管理を行っているほか、無線局の開設許可や秘密の保護などのルールも規定しています。

特に電波を利用する事業者は、法律に違反すると電波利用の停止命令が下る可能性があります。
また、事業者のみならずアマチュア無線や魚群探知機のようなレーダを使用する場合にも無線従事者免許証や無線局の免許状など一定の許可が必要になり、これに違反すると刑事罰や行政処分の対象となるので注意が必要です。

|無線局に関する規制

電波法第4条により、無線局の開設には総務大臣の許可が必要とされています。
無線局とは、送信機・受信機などの無線設備を用いて無線通信を行う場所や従事者の総体のことを言います。

開設許可申請時には、開設を必要とする理由や電波の型式・希望する周波数の範囲などを記載した書類を提出することになります(同法第6条)。

無線局には放送、通信、実験、アマチュア、タクシーなどの業務通信など多様な種類があり、それぞれの目的に応じて許可申請を行うことになります。

許可審査を通過し、免許を得た者には電波の利用権と一定期間の更新権が与えられます。つまり電波を使用する権利(無線局免許状)が与えられることになるのです。

筆者撮影加工

(無線局の開設)
第四条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。・・・以下省略・・・

電波法より

|無線設備に関する規制

電波法第38条および総務省令(無線設備規則)では、混信や電波妨害などが起きないように、無線設備についての技術基準に関する規定が設けられています。

(その他の技術基準)
第三十八条 無線設備(放送の受信のみを目的とするものを除く。)は、この章に定めるものの外、総務省令で定める技術基準に適合するものでなければならない。

電波法より

技術基準は、無線設備の種類ごとに異なるが、技術基準をクリアした機器には「技適マーク」と呼ばれる印章が付与されることいなります。

たとえば、一般販売されている携帯電話、無線LAN、ワイヤレススピーカーなどにも技適マークが付いていて、技適マークのない電波機器の販売や使用は電波法違反となる可能性があります。

また、電波法では無線設備の工事規制(第7条他)や、設備の定期検査の規定(第73条)も設けられています。これらの規制を通じて、電波の混信防止や他システムへの影響防止が図られています。

|無線従事者に関する規制

電波法では無線設備を操作するための無線従事者に関する規制も定められています。

無線設備を用いて通信操作を行うには、業務内容に応じた資格や免許を取得した無線従事者の配置が電波法に基づき義務付けられているのです。

イメージ;特殊無線技士免許証:筆者撮影

趣味で行っているようなアマチュア無線の場合でもアマチュア無線技士という無線従事者免許が必要になります。
もし必要な無線従事者資格のないままに一定規模の無線設備を操作すると、電波法違反(無免許)で罰せられることになります。

イメージ;アマチュア無線技士免許証:筆者撮影

|四つの要素が必要

繰り返しになるが無線局として運用する場合には
〇 無線局の免許を得ていること
〇 適切に調整された無線設備であること
〇 無線局の目的に応じて運用すること
〇 無線従事者免許を所持していること
ということで四つの要素をすべて満たさない状態で無線局を開設して運用する電波法違反として問議されることになります。

|最近の違反事例

総務省が発表している電波法違反事案についてみてみると
〇 許可を得ず(無免許)無線局を開設した
〇 目的外使用(アマチュア無線の無線機を業務に使用など)
〇 無線従事者免許を取得していない(無免許運用)
などの事案が多い。

以下、2024年に検挙された事案を列挙してみることにします。

【無許可無線局開設(無線従事者資格なし)】
〇 北海道総合通信局管内:
オートバイに免許を受けずアマチュア無線機を設置していた女性(58歳)を摘発(2024/7/11)

〇 近畿総合通信局管内;
アマチュア無線機を使用して免許を受けずに無線局を開設した運転手(55歳)を摘発(2024/6/27)

〇 東北総合通信局管内;
勤務先の車両に免許を受けずにアマチュア無線機を設置して不法無線局を開設(2024/6/14)

〇 北海道総合通信局:
免許を受けずアマチュア無線機を設置して不法無線局を開設していた男(51歳)を摘発(2024/6/6)

〇 東北総合通信局
運転手2人(63歳と74歳)を電波法違反容疑で摘発(2024/6/3)

〇 東北総合通信局;
勤務先の車両に無線局を不法に開設した電波法違反容疑で運転手(77歳)を摘発(2024/5/24)

〇 近畿総合通信局;
免許を受けず運転する車両にアマチュア無線機を設置していた1人(49歳)を告発(2024/5/9)

〇 近畿総合通信局;
不法に船舶無線局を開設していた京都府宮津市在住者(75歳)を電波法違反で摘発(2024/3/9)

〇 関東総合通信局;
自己の運転する車両に免許を受けずアマチュア無線機を設置していた3人を告発(2024/3/8 )

〇 九州総合通信局;
大分県内の自宅に不法市民ラジオ(CB無線)を設置していた男(60歳代)を電波法違反容疑で摘発(2024/1/26)

〇 九州総合通信局;
鹿児島県で自家用車から不法市民ラジオ(CB無線)を運用していた会社員(61歳)を摘発(2024/2/9)

【無許可無線局開設等(無線従事者資格あり)】
〇 東北総合通信局;
3アマと4アマの資格を持つアマチュア無線家(69歳)に対して42日間の従事停止の行政処分(2024/5/20)

〇 信越総合通信局;
不法無線局を開設していた第四級アマチュア無線技士に対して17日間の行政処分(2024/5/15)

〇 関東総合通信局;
第四級アマチュア無線技士3名に対して48日間の行政処分
(2024/5/7 )

〇 東北総合通信局;
宮城県在住(65歳)の無線従事者(第三級、第四級アマチュア無線技士)に対して59日間の行政処分
(2024/3/27 )

〇 東北総合通信局;
不法アマチュア無線を開設していた無線従事者5人に業務停止42日間の行政処分(2024/3/13)

〇 近畿総合通信局;
運転する車両に免許を受けずアマチュア無線機を設置して不法無線局を開設していた2人を告発
(2024/3/12 )

〇 東北総合通信局;
不法市民ラジオや不法アマチュア無線を開設していた無線従事者(第四級アマチュア無線技士)2人に対して42日間の行政処分
(2024/2/28)

〇 北海道総合通信;
バンドプランを逸脱してレピータ周波数(434.84MHz)で仲間と交信していた第四級アマチュア無線技士2人に対して12日間の行政処分(2024/2/27)

〇 四国総合通信局;
免許を受けずにアマチュア無線機を設置して不法無線局を開設した無線従事者(55歳)を検挙(検察庁に送検)(2024/2/15)

〇 近畿総合通信局;
免許を受けずにアマチュア無線局を開設した2人の無線従事者(3アマ、4アマ)を43日間の行政処分(2024/2/8)

〇 北海道総合通信局
ダンプカーから「衛星区分」の周波数(436.12MHz)で通信&コールサイン不送出により第四級アマチュア無線技士(61歳)に対して12日間の行政処分
(2024/2/6 )

〇 関東総合通信局;
2級アマチュア無線技士以上の資格がないのに特定の周波数を14MHz帯でFT8を運用した神奈川県厚木市在住の無線従事者(第三級、第四級アマチュア無線技士)に対して46日間の行政処分(2024/1/24 )

〇 信越総合通信局;
免許を受けずにアマチュア無線機を使用して不法無線局を開設したため、電波法違反で第四級アマチュア無線技士(70歳代)に対し17日間の行政処分

〇 九州総合通信局;
事実と異なる内容で無線局の点検結果を記載して通知した登録検査等事業者(東京都練馬区)に対して業務停止と業務改善命令(2024/1/19)

などの違反行為としての検挙や行政処分が行われていた。

|アマチュア無線は仕事では使えない

アマチュア無線は、簡易に使用できることから、業務などにも使用されやすい。
しかし電波法上、アマチュア業務を遂行するために使用するものであり、仕事などの業務や祭礼の警備などに使用することはたとえ無線局免許を得ていても電波法に違反するおそれがあります。

総務省資料

まして無線局免許を得ることなく、また無線従事者免許を取得することなく使用することも違法行為となるのです。

総務省は「電波利用ホームページ」の「その他の制度」の項目に、新たに「アマチュア無線は仕事に使えません!」というページを開設して、

「アマチュア無線は、仕事(企業等の営利法人等の営利活動)に使用することはできません。アマチュア無線を仕事に使用すると、無線従事者免許や無線局免許をもっていても、電波法違反となります(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)。アマチュア無線は、ルールを守って楽しみましょう」

と呼び掛けています。

あわせて「免許をもっていても電波法違反です」と明記するとともに、電波法に違反した場合の罰則などを細かく紹介したPDF版のリーフレットを作成し公開していますので参照してください。https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/others/cannot_use_for_work/leaflet.pdf

https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/others/cannot_use_for_work/leaflet.pdf

|おわりに

記載したように、通信販売などで購入できるアマチュア無線機や海外のサイトで販売されているアマチュア無線機ようのトランシーバなどを使用すると電波法違反となる可能性があります。

仕事で無線を使用する場合には、届出だけで使用できるデジタル簡易無線(登録局)や、届け出も不要な特定小電力無線、IP無線、トランシーバーアプリなどがあります。
それぞれの目的や使用用途などに応じて、適切なものを使用することが大切です。

購入するに際し不明な場合は、販売する電気店などにご相談を!

<参考>


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