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2023年中の30日以内死者数を読み解く

30日以内死者について前回記載しましたが、今回は警察庁が公表したについて読み解きますね。


|30日以内死者数の推移

前回も掲載したが、交通事故死者数の実態をより正確に把握するために、全国の警察で、令和5年(1993年)から「30日以内死者数」の統計を取り始めた。

その推移をみると以下の表・グラフのとおり。
従来の24時間死者数と比較しても大きな変化はなく、この30年間の年別における差をみると24時間死者数の最大1.23倍程度(123倍)である。

警察庁公表資料より

|令和5年の30以内死者数

令和5年(2023年)の交通事故死者数は、2,678人と公表されているが、この数字は24時間以内死者数だ。

では、30日以内死者数ではというと、24時間以内死者に30日死者数(交通事故発生から24時間を超え30日以内に死亡した人の数)は585人であり、30日以内死者数としては3,263人ということになる。

つまり、24時間以内死者数2,678人+30以内死者数585人=30日以内死者数3,263人ということになるのだ。

|30日以内死者数の推移

30日以内死者数の推移をグラフにしたものが下表であるが、近年減少傾向にあったのだが令和4年から増加傾向に転じている状況が伺える。
24時間以内死者数では、昨年(令和5年)増加に転じたということだが、実は30日以内死者数では令和4年から増加に転じていたのだ。

警察庁公表資料より

|状態別死者数

30日以内死者数を状態別にみると、歩行中(1、211人)と最も多く、次いで自動車乗車中が(945人)などとなっており、下表のとおりである。

警察庁発表資料より

なお、30日以内死者数と24時間以内死者数を比較してみると
自転車乗用中の構成率が24時間以内死者よりも30日以内死者の構成率が高く(約2.4倍)となっている。
自動車乗車中の構成率は30日以内死者数よりも24時間死者数の構成率が約2.4ポイント高くなっている。

|経過日数別の死者数

交通事故発生から死亡までの経過日数別に30日以内死者数等構成率(令和5年中)をみてみた。

子細は下表のとおりであるが、交通事故発生の日の翌日(下表の2日)から4日以内の死者が216人と死者が多く、この数は3日間で「30日死者」585人中の約36.9%を占め、30日以内死者数の8割を占めている。

概ねこの傾向は過去においても同様であり、交通事故による死者は24時間を経過後3日以内(事故発生から4日以内)に死亡していることが多いといえる。

警察庁発表資料より

※上記表の1日は交通事故発生から24時間以内である。

|都道府県別

30日以内交通事故死者数都道府県別にみると下表のとおりである。
なお、30日以内死者比率の最も高いのは熊本県であった。
24時間死者37人に対し、30日死者は15人30日以内死者数は52人である。
つまり24時間以内死者数の1.41倍の人が30日以内に死亡しているということになる。

警察庁発表資料より

|おわりに

30日死者統計については余り耳にしない人も多いかもしれないが、交通事故の場合、24時間以内死者のようにほぼ即死に近い状態の交通事故も悲惨であるが、実は病床に伏したまま意識を回復しないなど何日も危篤状態で生死をさまよい、結果的に死亡するという「30日死者」の事故は、当事者や家族にとっては精神的、金銭的も大変に辛いといわれる。

自賠責保険は「傷害」補償の上限が120万円とされているので自賠責保険はすぐに底をついてしまう。そこで任意保険「対人保険」の加入は不可欠である。しっかりと保険の備えをしておくことが大切だ。

<参考>

自動車はもちろんであるが、自賠責制度の対象となっていない自転車による加害事故にも備え自転車保険等の「賠償責任保険」への加入が必須である。
なお、筆者の加入している家族ぐるみの個人賠償(日常賠償)、交通傷害補償の付いた自転車保険は年間7千円余りで家族全員が補償されるという優れものもあるのでぜひご加入を。↓


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