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特定商取引法をひも解く~概要~

特定商取引法という言葉を最近よく聞くようになった。通販やネットショップなどでも「特定商取引法に基づく・・・・」などという表示がされている。では特定商取引法ってどういうものなのか?ちょっとひも解いてみた。

|特定商取引法とは

特定商取引法は、略称「特商法」ともいわれており、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律である。

具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めている。


|特定商取引法の対象となる類型

① 訪問販売
事業者が消費者の自宅等に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引のこと。

そのほか、喫茶店や路上での販売、またホテルや公民館を一時的に借りるなどして行われる展示販売のうち、期間、施設等からみて、店舗に類似するものとは認められないものも訪問販売に該当。
キャッチセールス、アポイントメントセールスを含む。

② 通信販売
事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引のこと。

「電話勧誘販売」に該当するものを除く。

③ 電話勧誘
事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引のこと。

電話を一旦切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当。

④ 連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせる形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のこと。

「この会に入会すると売値の3割引で商品を買えるので、他人を誘ってその人に売れば儲かる」とか「他の人を勧誘して入会させると1万円の紹介料がもらえる」などと人々を勧誘し、取引を行うための条件として、入会金や保証金など名目を問わず1円以上の金銭負担をさせる場合であれば「連鎖販売取引」に該当。

⑤ 特定継続的役務提供
長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。

現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされている。

⑥ 業務提供誘引販売取引
「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。

例えば、
・ 販売されるパソコンとコンピューターソフトを使用して行うホームページ作成の在宅ワーク
・ 販売される着物を着用して展示会で接客を行う仕事
・ 販売される健康寝具を使用した感想を提供するモニター業務
・ 購入したチラシを配布する仕事
・ ワープロ研修という役務の提供を受けて修得した技能を利用して行うワープロ入力の在宅ワーク
などが該当

⑦ 訪問購入
事業者が店舗等以外の場所、例えば消費者の自宅等を訪問して、契約の締結等して物品の購入を行う取引のこと。

訪問購入における対象物(政令指定物)は下表のとおり。

特定商取引に関する法律施行令より抜粋

|特定商取引法の規制概要等

① 行政処分等
特定商取引法では、事業者に対して、消費者への適正な情報提供等の観点から、各取引類型の特性に応じて、以下のような規制を行っている。
特定商取引法の違反行為に対しては、業務改善の指示や業務停止命令・業務禁止命令の行政処分の対象となるほか、一部は罰則の対象にもなる。

☆ 氏名等の明示の義務付け
特定商取引法は、事業者に対して、勧誘開始前に事業者名や勧誘目的であることなどを消費者に告げるように義務付けている。

☆ 不当な勧誘行為の禁止
特定商取引法は、価格・支払条件等についての不実告知(虚偽の説明)又は故意に告知しないことを禁止したり、消費者を威迫して困惑させたりする勧誘行為を禁止している。

☆ 広告規制
特定商取引法は、事業者が広告をする際には、重要事項を表示することを義務付け、また、虚偽・誇大な広告を禁止している。

☆ 書面交付義務
特定商取引法は、契約締結時等に、重要事項を記載した書面を交付することを事業者に義務付けている。

② 民事的ルール
特定商取引法は、消費者と事業者との間のトラブルを防止し、その救済を容易にするなどの機能を強化するため、消費者による契約の解除(クーリング・オフ)、取消しなどを認め、また、事業者による法外な損害賠償請求を制限するなどのルールを定めている。

☆ クーリング・オフ
特定商取引法は、「クーリング・オフ」を認めている。
クーリング・オフとは、契約の申込み又は締結の後に、法律で決められた書面を受け取ってから一定の期間内に、無条件で解約することができる。

筆者作成

☆ 意思表示の取消し
特定商取引法は、事業者が不実告知や故意の不告知等を行った結果、消費者が誤認し、契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときには、消費者が、その意思表示を取り消すことができるとしている。

☆ 損害賠償等の額の制限
特定商取引法は、消費者が中途解約する際等、事業者が請求できる損害賠償額に上限を設定している。

|おわりに

個別詳細な説明は、長くなるので改めて行うことにするが、いずれにしても特定商取引法は、消費者の利益を守ることを目的とする法律であり、そのために事業者に対していろいろな規制を行っているのだ。

この法律の趣旨目的にそって適切に運用され、消費者が泣くことのないようにして欲しいですね。

消費者も、だまされないようにするためにともに勉強しましょう~♪

<参照>
特定商取引法ガイド https://www.no-trouble.caa.go.jp/
クーリング・オフチラシ 
 
https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/cooling_off.pdf

特定商取引法ガイドより引用 https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/cooling_off.pdf


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