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死亡診断書と死体検案書

知っているようで知らない・・・「死亡診断書」と「死体検案書」の違い
について、あなたはご存じですか・・・


|死亡診断書と死亡検案書ってどうちがうのかな?

○法的根拠
医師法第 19条その第 2 項は、

「診察若しくは検案をし、又は出産に立ち会つた医師は、診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」

と規定されており、死亡診断書を含む診断書一般と死体検案書等の文書の交付義務を規定しています。

つまり実務的には、入院等により治療行為の中での死亡の場合には「死亡診断書」、そして「最終診察から時間が経過している場合」や「搬送時に死亡していることを確認する行為を行った場合」には「死体検案書」となっています。つまり死体検案書は、死体(すでに死亡した人)を検案して死亡と死因を確認した場合に作成する書類ともいえよう。

○書式
一般的な診療内容を証明する診断書には法的に決められた書式は存在しません。
しかしながら死亡診断書と死体検案書については、医師法施行規則第20条(第四号書式)に共通の書式が定められており、表題部分の不要な方を二重線で消去することとされています。

|作成権限者は

これらの医学的文書のうち、「死亡診断書」医師と歯科医師が作成することができるものの(医師法第19条第2項、歯科医師法第20条、同施行規則第19条の四)、「死体検案書」については医師以外には作成できないこととされてます。
このことも当然といえば当然ですね。実務的には、死亡の確認は救急救命士でもできますが、書類作成する権限が法的にはないのです。

|死亡診断書(死体検案書)

死亡診断書は、
1.人間の死亡を医学的・法律的に証明する、厳粛かつ重要な文書である。
2.我が国の死因統計作成の基礎となっている

※死因統計は基幹統計である人口動態統計として公表され、国民の保健・医療・福祉に関する行政の重要な基礎資料となっている。

(筆者撮影)

|両者の使い分け

基本的には、医師が「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡した」と認める場合には死亡診断書を交付し、それ以外の場合には死体検案書を交付するものとされている(厚生労働省「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」)。
https://www.med.or.jp/dl-med/doctor/member/kiso/g04.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/

両者の使い分けについては、臨床の場でもしばしば戸惑うことがあるという。
特に、最終診察から 24時間以上経過している場合には、改めて死後の診察を行い、死亡原因が診療中の疾患に関係するものと判断されれば、死亡診断書を交付することが可能であるとされています。

一般的な見解としては「入院中などに死亡した場合は『死亡診断書』」、「病院に搬送されたときには死亡していた」または「すでに死亡している死者」の死亡を確認した場合などには「死亡検案書」を使用することが多いです。

|死亡診断書や死体検案書の役割

端的に言うとこの両者とも「人の死」を証明する書類です。
そしてこれらの書類は、市役所等への死亡届、火葬・埋葬許可申請などに使用されるほか、相続関係や生命保険等の申請、事業の廃止届などの際に必要になる書類ということになります。

(筆者撮影)

|市役所に提出するときの注意点

市役所に提出する前に、死亡診断書・検案書(死亡届)の書類は、必ず10部程度は複写(コピー)しておくとよいです。

なぜなら、銀行などの金融機関、保険会社、携帯会社の解約や、その他名義変更の手続きなど、さまざまなことに死亡届のコピーが必要になることが多いからです。
市役所に一度提出した死亡届は、返却してもらえません。

ちなみに死亡届は亡くなったことを知った日から、7日以内に市役所に出さなければなりません。
海外等にいて期間内の提出が困難な場合でも3ヵ月以内とされています。
提出する市役所は、故人の本拠地か現住所、もしくは、死亡地の市役所になります。
提出期限を過ぎると罰金刑の対象となりますので注意しましょう。

※火葬をするために必要な「火葬許可証」や埋葬するための「埋葬許可証」は、死亡届の提出と同時に、市役所に申請する書類です。
葬儀社によっては、市役所への死亡届の提出や、火葬許可証の申請を代行してくれることもあるので要確認。

(筆者撮影)

|死亡診断書・検案書の再発行は?

死亡診断書を医師に再発行してもらうことはできます。
再発行ができるのは「3親等内の家族か配偶者のみ」であるとか、「身分証明証」「戸籍謄本」「委任者からの署名・押印がある委任状」といった書類が必要となるなど、一定の条件があるようなので、病院等に確認して対応しましょう。

市役所へ提出後は原本の返却はしてもらえませんが、死亡診断書・検案書(死亡届)を提出した市役所やその管轄の法務局にて
 「死亡届の記載事項証明書」
という、死亡届の写しを発行してもらうことが可能。ここで発行してもらった死亡届の記載事項証明書をコピーして、故人に関する手続きに使用することができます。
※ただし、死亡届の記載事項証明書は、年金関連や郵便局の100万円を超える簡易保険金の支払手続きに使用するケースでしか発行できないようです。

死体検案書は、警察署に申請すれば再発行してもらえるようです。
いずれにしても、関係機関に確認してください。

|おわりに
「死亡診断書」も「死体検案書」も通常は余り関係のない書類ですが、家族や親族の万が一の死亡の時には必要な書類です。
私も両親がそれぞれ亡くなった際に、葬儀や相続のためにコピーをとりながら使用しました。
あらかじめお願いすると数通発行していくれる病院もあるようです。


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