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教室と大人世代をつなぐ  Vol.11 「教室と大人世代をつなぐ、はじめの一歩」

成果を学校の外に出す

高校の探求学習では社会課題の解決をテーマに、生徒の皆さんが世の中の課題を見つけ出し、実態を調べ、解決策を考えています。それらは授業で発表するために、パワーポイントなどなんらかの形にまとめられていることが多いと思います。コロナでGIGAスクール構想が進んだこともあり、探求学習の成果や途中経過をクラスのみんなで共有できるようになっている学校もあると思います。
パワーポイントなどでまとめられた探求の成果は、一般にはクラスや学年などに閉じられたクラウドなどに置かれています。生徒や先生は見ることができますが、外部の方は見られないようになっています。まずはこれを外部に公開するところから始めてみませんか?学校で使っているクラウドにそのままアクセスさせるのではなく別のクラウドを用意し、探求の成果は匿名にしておくなどの加工は必要かもしれません。またアクセスできる外部の方も最初はある程度、限定したほうがいいでしょう。

「探求学習」が学校と大人世代をつなぐ架け橋に

とにかく、こうして成果を世に出すことによって、街の皆さんが、「いま高校生は授業でこんなことをやっているんだ」ということに、おそらく初めて気づきます。探求学習のことなんて高校生の子息を持つご両親くらいしか知りません。いや、ご両親であっても知らないかもしれません。もちろん、それを知ったところで街の皆さん全員が興味をもってくれるわけではありませんが、ほんの少しでも、「これはおもしろそうだ!」と思ってくれる人を見つけていきましょう。
同じく新しい学習指導要領のもとで始まったプログラミングなら、おもしろそうだと感じる方はいるかもしれませんが、これまでの国語、数学や理科系、社会系の授業を見ているだけでは、誰もおもしろそうとは思わないでしょう。それはこれまでの科目は先生から生徒への一方向的な教えだからです。それに対して探求学習は生徒が自ら探して調べて答えを出すものです。さらにその答えには正解がありません。だからこそ、「探求学習」は学校と大人世代をつなぐ架け橋になりうるのです。

先進事例はあるけれど

探求学習は今年度から正式に始まったのですが、その何年も前から先進的に実施してきた高校もあります。ある県立高校では、数年前から1年生と2年生で探求学習を実施しており、その成果を5分程度の動画にまとめさせています。パワーポイントに生徒自らのナレーションを付けたものですが、2学年で100本以上の成果というか、これはもう作品ですね、が公開されています。誰でも見られるようになっていて、投票もできるようになっているのですが、その街の方に聞いてみると誰も知りません。
まずは成果を外部の方も見られるようにすることですが、その次は見られるようになったことを知らせること、そして今度は大人世代側が成果を見た感想なり、意見なりを、生徒たちにフィードバックすることです。
ここでもう1つ、重要なのは、探求学習の成果を受け取ってからの仕掛けは、忙しい学校の先生ではなく、街の大人世代側が作らなければいけません。

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