見出し画像

教室と大人世代をつなぐ  Vol.10 「まずはお互いに課題を認識する」

大事なのは「何を」課題と思うか

高校生たちが取り組む探求学習にちょっとだけ大人世代の知恵を加えることで、2つの世代に新たなつながりが生まれ、もしかすると新たな事業を創出できるかもしれません。それは高校生たちの未来をも変えてしまうような体験にすらなり得ます。
高校生たちと最初につながるのはその地域の大人世代が望ましいと思います。高校生側も地域の課題を解決するための探求をしているのですから、大人世代も地域の方が適任と思うのですが、この組み合わせでまずやるべきことは、お互いの認識のすり合わせです。具体的には、「何を」課題と思ったのかを両者で知り合うことです。だから大人世代もいま地域のどんなことが課題だと思うか、きちんと自分の意見を持たなければなりません。また、もう1つ重要なのが、「どうやって」解決するのかは後回しにすることです。「どうやって」から議論してはいけません。そうなってしまうとたいていは大人世代側が高校生側の考えをつぶしてしまいがちです。「そんなことできるのか?」「やってみたことがあるのか!」「甘い!」「俺の若いころは」、、、こんな発言が出たら最低です。そんな大人は即刻、退場していただきたいです。

課題を見つめ合う

実際には課題の内容をもっとブレイクダウンする必要がありますが、たとえば高校生たちが地域の高齢化に関する課題を出したとします。大人世代にとっては切実な課題です。大人世代では両親の介護をどうしようとか、もう少し高齢の方ならご自身の10年後をどうするかといった立場で課題ととらえています。一方、高校生たちは自分のおじいちゃん、おばあちゃんを助けてあげたいといった目線になるでしょう。自分の50年後の姿、2070年の世界を想像している子もいるかもしれません。同じ課題でも世代ごとにとらえ方が違うので、いろんな側面を共有することができます。どういう状態になれば課題が解決したといえるのかは、世代や立場によって変わります。だからこそ「どうやって」解決するかを議論する前に、じっくり時間をかけて課題を見つめ合い、どういう状態にしたいのかを話し合うことが大きなポイントになるのです。また、高校生側からしか出てこない課題、大人世代からしか出てこない課題があれば、お互い相手の話を聞く機会を設けてみましょう。気づきが得られる可能性が高いです。
いまは解決策より課題が求められる時代といわれています。AIやIoTをはじめとする技術革新で高度で安価な解決策が次々と生まれていますが、「何を」解決すればよいのかがわかりにくくなっています。1つの課題を幅広い世代が参加して見つめ合うことは、とても重要なのです。

「どうやって」つなげばいいのか

ここまで、「どうやって」は後回しという話をしてきましたが、後回しにできないものがあります。それは高校生たちと大人世代を「どうやって」つなげるかです。校内に外部の方がヅカヅカとリアルに入っていくことは、いまの世の中的に考えにくいです。ここはITを駆使して、高校と地域の大人世代をつなぐ仕組みを早急につくりたいところです。そのシステムを運用し、仕組みを回していく中間組織のようなものが必要かもしれないですし、その組織を全国規模でネットワーク化していくことも視野に入れたい。ここを起点に高校DX、地域活性化DXを起こしていきたいのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?