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Columbia Road Flower Market【滞在記・ロンドン①】

いつもの滞在記だが、ちょっと趣向を変えて書いてみる。

・・・

「私って晴れ女なんだよね」

ロンドンの空は、どんよりして曇っている事が多いという話だった。私にはあまりわからない。大体の空は晴れていたからだ。由理恵は本当に晴れ女だったのかもしれない。

Brexit後しばらくしてから滞在していたが、彼女はしきりにポンドがやすいと言っていた。確かにそれまでは170円台とかだったのが、140円とか130円台くらいにまで下がったのだから、暴落と言っていいだろう。ドルが110円から70円になったら?と考えるとこれは凄まじい価格破壊だ。

あれはいつだったか、日曜日の朝だっただろうか。

「ほら、起きてよ。昨日約束したじゃん」

なんの約束だったっけ。私は彼女に叩き起こされて目が覚めた。無理やり私をベッドから引きずり出そうとする。インドアの私は誘いがなければいつまでも寝ているか、さもなくば引きこもってゲームをするような男だ。寒いと外出する気など失せるにきまっている。ねむい。ねたい。

そんな私の事情などを察する彼女ではなく、どう考えても不味そうなインスタントコーヒーに牛乳が入れられて、手に持たされる。熱い。

「ああ、どっか行くんだっけ?」
「花を見に行くって話、覚えてないの?」

そういえばそんなことを言っていたような。

「んじゃあシャワー浴びてきていい?」
「えー、早く外出したい。私は浴びたし。寝癖は帽子かぶればいいじゃん。今日しかあいてないんだよ、すっごい混雑するし早くいきたいの!」
「お、おう...」
「顔は洗ってね」

はいはい。

・・・

早朝の外は寒い。10月か11月だったと思うが、すでに日中の最高気温は10度を切っている。歩いていると、晴れていることもあって身体がぽかぽかする。にしても、本当にいい天気だ。ロンドンの空は青い。

Bethnal Greenというところに宿があって、そのエリアには有名な花の市場がある。Columbia Road Flower Marketという。色とりどりの花が、所狭しとひしめきあい、売られている。ココが目当てだったらしい。

「わあ、見てこれ。かわいい〜」
などと言いながら、彼女は楽しそうに花を物色している。ゆっくり見物したところなのだが、人の数がすごい。さながら初詣の神社か、ライブ会場といったくらいの混雑具合である。

おしあいへしあいしながら、ゆっくりと列は進んでいく。結局何も買わずに市場を後にした。

「何か買いたいんじゃなかったの?」
「うーん」

気が乗らなかったのだろうか。

近くには飲食店が立ち並ぶエリアもある。屋台のようになっていたが、何が売られていたのかは覚えてない。その飲食店がお店を出していたような気がする。

「なにか買い食いする?」
「うーん、まだいい」

マーケットの周辺は住宅街になっていて、ところどころぽつりぽつりカフェだったりレストランが有る。赤レンガが基調の町並みで、歩いているだけでワクワクすると彼女は言っていた。

車の通りから離れた通りは、どこか平和な空気が流れていたように思う。

マーケットを南下して、私達はBrick Lane Marketへと向かった。

つづく

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