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CX Clip 週間ハイライト(2021/6/7)

編集部より

CX Clip編集部の長島です。いつもCX Clipをご覧いただきありがとうございます。

今週は客観的な情報や実績だけでなく、自ら体験し感じたことや直感をもとにアクションすることの大切さについて、お話ししたいと思います。

私は、家電や住宅設備メーカーにて、15年近くマーケティング業務に携わってきました。そのような経験の中で、客観的な情報やデータをもとに課題を抽出し、その課題に対する改善策を検討、アクションする。そして、そこから得た実績をもとにレビューするといったサイクルで業務を進めていくことが多かったです。このように課題を理解し、改善策を考え、実行していくサイクルはCX向上においても非常に大切なことだと思います。

ただ、このサイクルのスタートである「客観的な情報やデータ、実績をもとに課題を抽出する」だけでは、ひょっとすると目の前で起きている本質的な問題や課題に気づけないかもしれません。

私がメーカーでマーケティングを担当していた頃の話になりますが、ある商品について量販店の方から「機能が多く、店員が説明し難いため、より簡単にお客様に説明できる対応を考えて欲しい」といったリクエストがありました。それであれば、「商品カタログ」をよりポイントが分かりやすい内容に改善すればよいと考えました。

ただ、実際に店頭に行き、顧客の立場で接客を受ける中で、様々なメーカーを扱っている店頭において、都度、店員さんがカタログを取りに行き、該当ページを見せながら顧客に説明することは、店員さんにとっても、顧客にとっても手間と時間がかかることであると気づきました。そのため、カタログ改定に留まらず、店員さんのポケットに入るサイズで、かつ、ポイントを絞り、そのままトークに活用できるコメント集を新たに製作し、多くの店員さんに活用いただくことができました。

当初「単にカタログを改定すればよい」と考えてしまったのは、本質的な課題まで掘り下げようとしなかった私の意識の低さが問題ではあるのですが、背景として、店頭ツールの中でカタログの活用率が高いという事実(データ)と、ツールは少ない方が望ましいといったこれまでの経験則(実績)があったため、より思考停止状態に陥っていたように感じます。

もちろん、情報やデータ、実績などは、非常に価値あるものですし、そこから得られる学びも多くあると思います。ただ、それだけで本質や事実を捉えた気になったり、今を正しく理解したつもりになってしまうことは、時として、誤った判断やアクションを引き起こす要因にもなると感じています。

大切なことは、データや実績から大局、傾向を捉えること、その上で、自ら体験し感じたことや直感を重ね合わせ、次の体験を創造することではないかと思っています。

私の話が長くなってしまいましたが、先週は2つの記事を公開しています。

チャネルを超えて体験をつくる。大手アパレル企業が語る、店舗とアプリで相乗効果を生み出す方法」では、目先の数字にとらわれるあまり、時に見落としがちな顧客との向き合い方・顧客視点に立ち返る重要性が語られており、自らが「徹底的にユーザーになる」ことの大切さに触れられています。

また、「データは、直感的な行動を後押しする“学びの源泉”──7年ぶりに新著刊行の矢野和男、データ・ドリブンな幸福論を語る」では、ルールやPDCAサイクルに縛られては、「予測不能の時代」に対応できないこと、根拠がなくても「直感的に動ける」ことが、幸せに直結することなどが語られており、データから普遍的に見えてくる部分は頼りにしつつも、それでも予測不能なことが多い時代にどうあるべきかについて、多くを学ぶことができます。

今回の記事を通じて、「よい体験とは何か?」「データとはどういう存在か?」などを考えるきっかけになれば嬉しいです。

先週の更新記事

データ活用を主眼とした活動に取り組まれている企業や研究者に話をうかがいながら、体験の向上に寄与するデータ活用のあり方を考えていく連載企画「Data for Experience(D4X)」。第1回は、心理学や経営学の学術成果に基づき、「幸福」のマネジメントを軸とした企業経営を実現する事業に取り組む、ハピネスプラネットCEOの矢野和男さんをたずねました。企業は今後、いかにしてデータに向き合い、顧客体験(CX)や従業員体験(EX)の向上に取り組んでいくべきなのでしょうか?

「APP DIVE」は、プレイドが主催する顧客視点の施策およびプロダクト改善に主眼を置いた企業横断的に学び合う場です。第4回では、「アパレル業界のしくじりから学ぶユーザー視点のプロダクト改善」をテーマに、株式会社ライトオン、株式会社ストライプインターナショナル、株式会社アーバンリサーチの3社にご登壇いただき、しくじりから学んだ店舗との協力体制の築き方や顧客の声との向き合い方などをお話しいただきました。

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