見出し画像

外国人はお荷物か、人財か?

こんにちは。牧です。卒業式の季節となり、桜🌸も咲き始めましたね。
 
本日、わたしは東京入管(正式名称:東京出入国在留管理局)に来ており、仕事の合間にこの記事を書いています。先日、3月3日のnote記事でCWS Japanが主催した外国人相談会の報告をさせていただきました。その相談会に来場した相談者の一人が難民申請者であり、本日、入管でインタビューを受けるにあたり、彼の支援者として同行しました。



遠い思い出の国からやってきた彼との出会い

実は彼の出身国は、私が以前仕事で駐在していた国です。その当時は、部族間の対立により多くの人々が虐殺された国でしたが、政権交代後はめざましい発展を遂げ、他国からは賞賛を受けているほどです。私は任期を終え、帰国後、部族間の様子が気にはなっていたものの、残酷で悲しい戦争から立ち直った優秀な国のサクセスストーリーを遠くから耳にするだけで安心していましたし、再び訪問することはありませんでした。それが数十年の時を経て、内戦直後に生まれた彼がわたしたちの相談会に現れ、難民申請中であることを知って大変驚くと同時に、なぜえんもゆかりもない日本にやってきたのか、大変興味を持ちました。

2022年開催外国人相談会受付の様子©CWS Japan

彼の身の安全を考えると、詳しいことはここで説明することができませんが、彼によれば、外部者の目には歴史的な虐殺という事件を乗り越えたように見えても、実際は、部族間のわだかまりは続いており、婚姻こんいんなどは未だに困難な状況もあることを聞かされました。また、短期間の国家再建や発展の裏には多くの犠牲が伴ったこともほのめかしていました。そのような彼のストーリーをヒアリングし、これまでの不勉強さや、その後のフォローを怠っていた自分を恥じました。また知ろうとしなかったことを反省し、彼に謝りました。彼が出身国で暮らし続けることが危険になってしまったのは、もしかしたら、そのような短期間の国家のめざましい発展の陰で様々な無理と対立があり、ある意味、そのしわ寄せが彼にも来たのではないかとも想像しました。

今、目の前にいる人との伴走

わたしが入管同行支援を行った相談者は彼が2人目です。現在、日本政府は現行の入管法を改定し、彼のような帰国することが命にかかわるような外国人も早く国外退去処分ができるようにしようとしています。難民申請者のなかには難民ではない外国人が含まれているのではないかという否定的な意見を耳にします。それを聞くと、かつて私が勤務していた難民キャンプに虐殺の加害者が難民として紛れているという事実が知らされ、支援中止を決めた支援団体が撤収したことが思い出されました。誰が真実を語っているのかを判断するにはそれを裏付ける膨大な情報収集が必要ですし、全ての証拠を提示できる訳でもありません。そういうことから、当時は、加害者が紛れていた可能性はあっても、目の前にいる難民と協力しながら、支援活動を続けることしかできませんでした。

それは、今も同じことです。彼らのストーリーに耳を傾け、何度も面会し、コミュニケーションをとることで、お互いに信頼関係を作っていくようにしています。その時間と経験を共有するなかで分かってくることを信じて、伴走支援を続けています。

東京出入国在留管理局©CWS Japan

信頼に値する人に国籍は関係なし

わたしはこれまでの経験から、信頼に値する人間に国籍も宗教も関係ないと思っています。とは言え、このような支援は大変時間と労力が必要であり、いわゆるタイパ(タイムパフォーマンスの略)的には最悪であり、支援団体の資金がいつまで続くのかは常に課題となっています。最近では、外国ルーツの人々を支援対象とした助成金も増えてきたものの、在留資格がないため就労できず、無保険者で生活困窮する外国人を支援するための医療費・家賃補助・給付金を提供できる助成金は非常に限られているのが現実です。

なぜ、これをするのか?

先日、ある外国人から「なぜこんな支援を行うのか?彼らからお金をもらっているのか?」と問われました。その時は「これがわたしの仕事だから」と適当に受け答えしてしまいましたが、あとから考えると、それは、善意とか正義感よりもある種の「仲間意識」であるかもしれません。わたしたち日本人も一歩日本を出れば外国人です。これまで外国人という立場で他国に勤務し、暮らし、現地で仲間を得てきた自身の経験が現在の活動に大きく影響しているかと思います。

オモテナシの国日本

最後に、外国人は日本社会にとって、お荷物なんでしょうか?

最近では、「高度外国人材」という言葉をよく耳にするようになりました。高度な専門性を持つと日本政府に認められた、つまり、オモテナシするに値する外国人には様々な優遇措置があります。その一方で、難民申請し、非正規滞在者として扱われ、就労が許されず、あらゆるセーフティネットを失う立場に置かれた多くの外国人がこの日本で暮らしています。それでは、彼らも人財としてカウントしてはどうでしょうか?少子高齢化が進み、人財不足に悩む日本社会で彼らが活用されないのはもったいないことだと考えています。

そんな隅っこに追いやられ、見えない存在とされている彼らのスキルや能力を見出し、それを証明できる場や機会を提供できることを目指しています。

(文:ディレクター 牧 由希子)

▼みなさまの温かいご支援とご協力をお願いいたします▼

銀行名:三菱UFJ銀行(金融機関コード:0005)
支店名:神田支店(331)
口座種類・口座番号: 普通 0360959
口座名義: 特定非営利活動法人 CWS Japan 理事 ショウ ラジブ
カナ: トクヒ)シーダブリユエスジヤパン リジ  ショウ ラジブ

CWS Japanでは各種SNSで活動をタイムリーに発信しています📢

公式フェイスブック
公式インスタグラム
公式ツイッター

この活動の一部は、赤い羽根ポスト・コロナ(新型感染症)社会に向けた福祉活動応援キャンペーン 外国にルーツがある人々への支援助成案件として採択され、実施しています。


この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?