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短歌まとめ_10

直近の採用歌や賞の結果などについて書きます。
※敬称略

1. 新聞歌壇

読売歌壇 俵万智選 入選 2022.3.7

花よりも先に花瓶を買うようにまだ恋じゃないけど抱きしめて

東京歌壇 東直子選 特選一席 2022.3.13

湯気みたく生きているひと花のころにおいのしない場所で会おうね

東直子さんより評をいただきました
【評】湯気のようにはかない「ひと」を思ったが、「みたく」というカジュアルな口調で少しポップな印象に。刺激の少ない場所で会いたい、という関係性。
2022年3月13日 東京新聞 朝刊より引用

東京歌壇 東直子選 入選 2022.3.27

ふるさとの古びた耳鼻科の看護師の擦り切れたサンダルがふるさと

読売歌壇 俵万智選 特選二席 2022.3.28

あれ桜だったらいいねと言っていたあなたと答え合わせがしたい

俵万智さんより評をいただきました
【評】花もなく何の木だかわからない頃、上の句のような会話があったのだろう。「したい」という希望の言い方で、そうではない現実を表した結句が切ない。
2022年3月28日 読売新聞 朝刊より引用

東京歌壇 東直子選 特選二席 2022.4.17

流星群 ぼくらも誰かから見ればそういうものなのかもしれないね

東直子さんより評をいただきました
【評】とても遠くで光っているものとして眺める流星群の側に視線を置くことで、景色が新しくなる。感慨の中に諦念と絶望と希望が混じり合っている。
2022年4月17日 東京新聞 朝刊より引用

読売歌壇 俵万智選 入選 2022.4.18

卒業生一同として起立する咲く寸前の花火みたいに

読売歌壇 俵万智選 特選三席 2022.5.10

触れていたものに体温が移るのは魔法みたいであなたの魔法

俵万智さんより評をいただきました
【評】結句の出し方が、とても鮮やかだ。散文ではできない方法で、二人の触れ合いと温もりの共有が表現された。
2022年5月10日 読売新聞 朝刊より引用

東京歌壇 東直子選 入選 2022.5.15

萩の月 行ったことのない場所に咲く花のすべてがうつくしいこと

東京歌壇 東直子選 入選 2022.5.29

腕時計をみんなでつけて電車じゅうきらきらきらきらさせて 終焉

読売歌壇 俵万智選 特選三席 2022.6.27

きみのバースデーケーキを予約してきみより先にしあわせになる

俵万智さんより評をいただきました
【評】祝いごとの準備は、当然祝われる本人の喜びより前にスタートする。当たり前のことを、こんなふうに味わえたら素敵だ。
2022年6月27日 読売新聞 朝刊より引用

毎日歌壇 加藤治郎選 入選 2022.7.12

外来種の花いっせいに咲いていて友達と呼べるひとの少なさ

東京歌壇 東直子選 入選 2022.7.17

雨降って癖毛に戻るぼくたちはしずかに猿の末裔だった

毎日歌壇 加藤治郎選 入選 2022.7.26

きみの腕のなかに飛び降りるときわかる季節はきっとこうして生まれた

2. うたらば

Photo Tanka Collection 第12回

ビル、鉄塔、風車がスリーピースバンドみたいでぼくらは泣ける生き物


3. 短歌研究新人賞

第六十五回短歌研究新人賞 佳作
短歌研究 2022年7月号 5首掲載

ひざまくら・みみかきという看板を見てふるさとを想ってもいい

うがいするとき首の裏に体温があるのを知った 生きてるんだね

街なかにフラペチーノは飲みかけのまま放置され 性欲ってなに

ライオンズマンションにいるライオンと三越のライオン ならべたい

本屋だった場所にATMたちが横並びで立つ体罰みたく


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