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学生に向けて書いた言葉に、自分がいちばん励まされた話。

縁あって、山形にある東北芸術工科大学という学校で講義をした。
新3年生に向けた「キャリアデザイン」がテーマだ。

普段はテンパっている僕も、コロナ禍の在宅勤務は
規則正しい生活ができるくらい業務量も落ち着いている。
何より子どもの頃、お医者さんか学校の先生になりたかったので
この手のお誘いに目がない。職場のメンターなんかも大好きだ。

さてどんな話をしようか。
僕が大学生だった時代にそんなカタカナは無かった。
氷河期だったのにバンドマン目指してリ◯ナビの登録すら
したことがない僕は「せっかくだから何かいいこと言おう病」にかかり、
数日、頭を悩ませた。

いや、いいや。嘘ついても仕方ないし、かっこよくないし。
キャリアデザインとか真面目に考えたこともないって開き直っちゃえ。
学校に叱られてもそれが僕です!と言おうと腹を括った(無責任)。

声をかけてくださった先生が
※余談だがこの先生は以前おなじ会社で働いていたのだ。人生は縁だ。
「林さんの人生がもはやコンテンツなのでそのまま話してくださいね」
と背中を押してくださったこともあり「全ページ、サビ」を意識しながら
自分がいちばん楽しみながらパチパチとキーボードを叩く。
(仕事でもこのくらい筆が進めばいいのにね)

紙芝居は

●高校は第一志望に受からなかった
●大学受験でリベンジの気合いは早々に失った
●大学4年生の7月でリク◯ビ無し・内定無し
●バイトからそのまま入った会社でヤ◯ザ事務所軟禁&捺印
●毎朝タウンページの「あ」から全件テレアポ
●コピーライターになれたと思ったら前日7人退職してた
●TCC新人賞と引き換えに自律神経失調症
●帰宅ラッシュの東西線で営業に全力で泣かされる
●初めて任された企画でブチギレられる
●30歳で坊主にされる(寝坊して新感線乗り遅れる)
●それどころかハードコア円形脱毛症になる


などなど、表に出しても支障がないものに絞っても
まあまあ面白がってもらえそうな”雑草魂”な紙芝居が完成した。

ZOOMで50名近い学生に向かって話をするのは
ウケているのかスベっているのかが掴みにくく不安だったのだけれど、
話を進めていくうちに大きく頷いてくれる学生、
チャットに書き込んでくれる学生が増えてきてすごくうれしかった。
(大半が「やべえw」とか「www」だったけど。当たり前か笑)

調子に乗って喋り過ぎたために残り時間はほとんど残っていなかった。
せっかくたくさん質問してくれているのに
慌ただしい質疑応答のまま終えてしまって、
うーん、もすこし上手にディスカッションしたかったな。
と反省していたら、ピコピコとFacebookの友達申請が届き始めた。

うそ!うれしい!

(林調べ:最近の学生はあまりコミュニケーションが積極的ではない、
 というか突然目の前に現れて偉そうに講義していたおっさんになんて
金輪際コンタクトしてこない確率が高い←被害妄想)

予想は裏切られたのだ。
講義のグラレコを送ってくれた学生、
講義中には言えなかった悩みを打ち明けてくれる学生、
林が別のインタビューで話した記事などを実は事前に読み込んでくれていた学生…

うれしすぎて泣けた。
ありがとうございました! じゃないよ、
お礼はこっちが言いたいよ。言わなきゃいけないよ。

時間内に答えられなかった学生のみんなの質問には、
さらに気持ちを込めて回答した。
それはどんなコピーを書くよりも楽しかった。

コロナ禍で新しい生活様式、新しいビジネスのあり方と、
これまで以上に僕らの業界はイノベーションが求められている。
でも本音を言うと、僕はそんなに崇高な気持ちで
仕事をしようとおもったことはあまりない。

なぜその仕事をしているの?これからどうしたいの?
と尋ねられてもかっこいいことは思いつかない。
目の前の人によろこんでもらいたい。人に必要とされたい。
君に頼んで良かったなって笑ってくれたらそれでしあわせなんです。

それだけ。承認欲求ってやつ。
最近「ダサっ!」って言われがちなやつ。

でもいま、僕の中では当たり前のこの想いを
胸を張って言いにくい空気を感じる。
この肌感覚は自分が身をおいている環境に左右されるから
(別にそんなことないけどね)
という人が多いのは理解しているつもりなんだけど。

もちろん仕事の特性として、
これまでに無かったもので社会をより良い方向に向けたり
あっと驚くものをつくって喜んでもらうことはたいせつ。

いや、でも、自分らしく生きたいな。
そんなことを考えていたら、そういえばこの前学生のために書いた言葉って
正真正銘の本音(深層心理)なんじゃないかとおもえてきた。

*

過去の出来事は変えられないけど
過去の意味は変えることができる

最短距離で目的地を目指す人よりも
寄り道してきた人のほうが面白い

自分が何に夢中になれるかを
知っている人は誰にも負けない


*

大好きな家族や友人、恋人と。
大好きな小説や映画、音楽と。
大好きなご飯と心地よい汗を。
たくさん、たくさん、感動を集めてください。


*

Hello, Again.
誰かにそうおもってもらえる
素敵な大人になってください。
どんな仕事に就いたって、
誰かがちゃんと見てくれています。
仕事のご褒美は仕事。
やりたい仕事は、任された仕事を
頑張った人にだけやってきます。


*

noteにテキストを打ち直しながらひとりで照れている
まったくもって救いようのない変態だけど、
自分から生まれた言葉は自分にも向けられているのだな、
と素直に受け止めようとおもった。

<もしよかったらおすそわけ>
就活をしている学生のみなさん、
こんな人生だけどなんとかうまくやってるよ。
という前向きな気持ちにだけはなれるとおもいます。
このnoteに書いていた紙芝居をアップロードしたので
お時間のあるときに、箸休めにでも、どうぞ。
※2020年5月26日当時のものです
※公開用に一部加筆修正をしています
※言わずもがなこれまでお世話になったすべての会社と人に感謝しています

最後に。芸工大のみんな、ありがとう。がんばってね。

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