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理想と現実の隙間から いちばん星をさがしていく 夢みるアドレセンス「 MAKING THE NOTE」

歌というのは世界観や発想が自由なので、どうしても理想を語ってしまいがちになる。もちろん、それが悪いわけではないし、理想なしの味気ない日常ばかりを歌ってもしょうがないだろう。

けれども、そこで歌われているようなことを現実に落とし込むとなかなか上手くいかないことも多い。理想と現実の乖離は大きく、それこそ「理想」のまま終わりそうな気もする。
そこであきらめてしまうでもなく、かといってなかなか叶わなそうな「理想」をひたすら求めるのではなく、両者の落としどころ、「隙間」に「いちばん星」を探していく。

夢みるアドレセンス(夢アド)が2019年末、新体制となって初めてリリースした「MAKING THE NOTE」は、そんな足元をしっかりと見据えたようなメッセージに包まれている。
タイトルにもある文章は、サビで歌われる、この曲の象徴とも呼ぶべきフレーズである。

とはいえ、それは「妥協」とも違う。サビではこう繋げる。

いつか見たあの夢じゃダメダメなの
惜しくも もう少しでもない

「いちばん星」を求めるためには、「もう少しだったのに...」なんて思いは慢心でしかない。

そのために、「前に進む」ことを「MAKING THE NOTE」では説いている。
じっと待っているんじゃ、時を止めるのと、下を見てるのと変わらないからだ。

前向きな歌詞は続く。

蒔いた種 踏んでも 走り出そう
壁も 正面から 吹き飛ばす

落ちサビでは、それでも夢のままに終わってしまいそうな「理想」について語られる。

ほら語り合ってた うまくいった未来
そこにいなくとも 落ちることないんだよ

結局、そんな「いちばん星」にもたどり着けていないかもしれない。
でも、落ち込むことはない。
最後にはこう締められる。

僕らが見たあの場所へ向かうよ
この先へ 行こう 一緒に 行こう

これらのメッセージ性に富んだ歌詞を、ノリの良いギター、ドラムが下で支える。

夢アドメンバーの鳴海寿莉亜さんは、この曲を一番のお気に入り曲としていた。
別世界にいるような、大きいステージで披露しているような感覚が得られるから」とのことだった。
将来夢アドが大きいステージでこの曲を披露するようなとき、この曲で歌う「いちばん星」に近づけた感覚が得られるかもしれない。
鳴海さんは、そんな未来を、頭のなかで豊かに育てているのかもしれない。

この動画でもお気に入り曲として挙げている。


苦労でさえも笑顔に

ここからは「MAKING THE NOTE」のMVに関して。
特筆に値すると思ったのが、リーダーである山口はのんさんの頼もしさと言おうか、お姉さん感である。

僕にとっての夢アドの記憶は、オリジナルメンバー5人で活動していた4年前の時点で止まってしまっていた。この記憶は、先日久しぶりにイベントに行ったことで再び動き出したのだが。
この4年の間に、山口はのんさんと山下彩耶さんを含む3人のメンバーが夢アドに新たに加わった。しかし、最終的には彼女ら2人を残して他のメンバーは卒業してしまった。去年の暮れの話である。

インディーズ時代から走り続けてきたオリジナルメンバーがごっそりと抜けてしまった訳で、看板だけ残された山口さんと山下さんにかかる負担はとりわけ大きかっただろう。しかもこの状態で新メンバー2人を迎えたのである。この苦労は、察するに余りある。

しかし、そんな苦労を感じさせないかのように、このMVで、特に山口さんの笑顔は弾けている。苦労でさえも包み込むような、素晴らしい表情だと思う。
この曲自身は明るい雰囲気でありながら、新体制一発目の曲ということもあり「これから夢アドはどうなっていくんだろう?」という少しばかりの不安、緊張感をどこか覚えてしまう。

しかし、山口さんの表情はそんな不安を払拭するかのようである。むしろ安心感すら覚える。

メンバーの多くを一新し、心機一転の決意とともに少しばかりの緊張感も感じられるこのMV。「この先へ 行こう」と新しいページをめくる夢アドが向かう先はどうなるのか、とても楽しみになるような一曲である。

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