犠牲にして手に入れたもの
なんとか走り出したグルーマー人生ですが、あの頃はまだまだペット飼育への価値・意識が低く、それと共にグルーマーという仕事への理解も低かったため、技術職にもかかわらず『薄利多売』な業界でした。
年末には終電が無くなるくらいまで働くのが当たり前(都会の話ですが)
薄利多売だから一日に今では考えられないくらいの頭数をこなさなければならず、当然心も身体もボロボロ。
給料なんてスズメの涙ほど。
私の専門学校時代の同時期の子達も辞めていく人が多かったです。
そしてお店同士や個人などの繋がりはほぼ無く、どちらかと言うと敵対視しているほどでした。
ペット業界と言えどその中にペットの健康を守る獣医、私達グルーマーの美容、問題行動に対するしつけなどを行うトレーナー、ペットショップなどに生体を卸す繁殖、犬猫の個体ごとのスタンダードを守るために適正な繁殖を目指すブリーダー、そのブリーダーが主にドッグショーでチャンピオンを輩出することを目指されている事が多いという、目的がバラバラな業態が一括りに『ペット業界』となっているようでした。
その中でも学校時代から感じていた繁殖に対するブラックな部分。
モデル犬として来てくれてた子達はひどい糞尿の臭い、ガチガチに毛はもつれ、まぁ…ケージに入れられっぱなしなのが想像できるくらいな子達でした。
でも、、この子達がお金儲けに使われてるとわかってても、私達が技術の練習するためには必要な存在だったんです。
悔しいけど。
本当にそのモデルになってくれた子達に感謝しつつ、自分のサロンでは絶対に私達グルーマーの仕事の価値を下げてはいけない、それはペット達の価値を上げることに繋がると思い、地域では多分1番高い価格設定にし、昭和の飼い方のまだ残る田舎だからこそ室内飼育を勧め、狂犬病を含むワクチン接種の必要性、定期的な美容で清潔にする事は身体のチェックもでき、病院へかかるまでの健康管理にも繋がると伝え続けてきました。
そうやって今、当店のお客様はキチンとペットの為に毎月時間を取り、その子のために通ってくださっていて、獣医さんにいつも褒められるほど状態が良かったり、早めに病気が発見できて元気になってくれたりと、飼い主様もペットとの関わりでとても笑顔になっていただけています。
ペット達は家族の笑顔が大好きで、飼い主さんが笑ってそばに居てくれるだけで幸せだと思うから、陽のあたる場所で暮らせなかった子達の分も家族ができた子達には幸せになって欲しいと願い続けています。