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失敗から学ぶしか気付けないこと【アリス 帰らざる日々】

子どもの頃たくさん失敗をしました。
取り返しのつかない失敗がなくて幸いでしたが、人よりも多く失敗をしてきたと思います。

成功した体験、記憶よりも失敗した時の方が色濃く頭に残っています。

あれはもう何十年も前
雪国の田舎の小さな木造校舎
私は小学校2年生でした。
担任の先生は若い女先生で、名前はもう覚えていません。
お腹の大きな先生で、もうすぐ女の子が産まれるとのことで産まれたら産休に入り違う先生が代わりにやってくるということです。

その日は雪の降る日で、教室の煙突ストーブは今日も大量の煙を吐き出して、教室には灯油の燃やされたなんともホッコリと懐かしい臭いが広がっていました。

先生は大きなお腹ですが、私たちと元気に毎日遊んでくれました。

今の子どもはもうしないと思いますが、その頃のガキンチョのイタズラといえばカンチョーでした。
え?カンチョーを知らない?
カンチョーとは両手を目の前で組み、両人差し指をピンっと立てて、相手の肛門にめがけて真っ直ぐに突き刺すという、モラルも品のかけらもない、下劣極まりない攻撃方法を指します。


私はお腹の大きな先生に純真無垢な下心の一切ないカンチョーをお見舞いさせました。
いつもはニコニコしてて怒ることのない先生の顔が、見たこともない形相になり、力一杯のビンタを喰らいました。
一瞬何が起こったのかもわからず茫然としていた私の左のほっぺたが、ジンジンと痛くなり、私は痛みのあまり泣き叫びました。

なぜ叩かれたのだろう
なぜ先生はこんなに怒っているのだろう
カンチョーとはそんなに酷いことなのだろうか


小学2年生の私にはわかりません。
なぜ怒られたのか説明している先生の声など聞こえません。
今振り返ってもなんと説諭されたのかは覚えていません。

ただ大人から力一杯ビンタされました。
人生で初めての出来事でした。

今でもあの時の教室の映像、先生の顔は思い出せます。
今教師が生徒を叩いたら、ヤレ親が、ヤレ教育委員会が、不登校になったらどーすんねんとか言われる時代になったので、大問題に発展する案件でしょう。


今ならわかります。
私はビンタされるべき人間であり、してくれた先生には感謝しきれません。
よくぞ叩いてくれました、叩いていただきました。

何十年経っても、おそらく死ぬまで忘れない大事なことを教えていただきました。

「妊婦にカンチョーは絶対してはいけない」

それ以来、妊婦の方にカンチョーはしなくなりましたとさ
めでたし、めでたし

本日は私の父親が大好きだった谷村新司さんを偲んで、小学生の頃父親の車でよく流れていたアリスの曲です。
なぜかこの切なく儚い歌が好きでした。

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