僕と関東旅行 第四回「サマソニ編」
どうもこんにちは、「最近、眠い。」だ。
筆者は8月17日~8月20日の間、関東近郊に旅行をした。この文章はその4日間の出来事を記した体験記の第四回である。(第一回、第二回、第三回はこちらから読むことができます)
全五回を予定しているので、よろしくお付き合い頼む。
最初に
最初に、筆者が参戦したのはSUMMER SONIC TOKYOの1日目(8月19日)である。
また、今回紹介するアーティストの他にもchilldspot、落日飛車、GABRIELS、THUNDERCATなどを観賞したが、途中まで、もしくは途中からの観賞になってしまったので今回は割愛させてもらう。
さて、本題に移る前に今回が夏フェス初参戦となった筆者の所感を述べよう。
そして、以下に今回のサマソニで思ったことを羅列する。
暑い
暑い
暑い
暑い
暑い
読者諸君はもうお分かりだろう。暑いのである。
サマソニ運営は「過度な不安を煽らないように」と、どこかの取材で行っていたような気がするが、正直”不安”は持っておいた方が良い。
無論、その”不安”は”参加しない”という選択肢に繋がるものでは決してない。筆者は、参加するからこそ自分の体調と相談し、最良の状態で音楽を体感することが大切だと考える。
もし、読者諸君の中に来年のサマソニに参加したいと考えるものがいるなら、一つ言っておこう。
サマソニは暑さとの戦いである。
日焼け止めや帽子、涼しい服装といった”甲冑”で重武装し、大量の塩分・水分といった”斬馬刀”を片手に乗り込めば、必ず勝てる戦である。
「参戦したい」と思った瞬間が最高のチャンスだ。必ず暑さ対策をして、最高に楽しむと良い。
さぁ、それでは本題へと移ろう。前回(第三回)のすぐ後から物語は始まる…。
SUMMIT All Stars
人混みに流されてサマソニ会場へとエントリーした筆者は、千葉マリンスタジアムに設けられたMARINE STAGEへ入場した。
日も高く昇り、暑さが牙を剥き始めた午前11時、SUMMIT All Starsのステージが始まった。
SUMMIT All Starsとは、ヒップホップレーベル・SUMMITに所属するラッパーのユニットである。
PUNPEEをはじめ、BIMやOMSB、COSAにMARIAにin-dにVaVaと、筆者の好きなラッパーは大抵SUMMIT所属であり、即ちこのステージは好きなラッパーのオンパレードであったため興奮した。というかDJ陣含め全員好きな人たちだったので、筆者は観賞した1ステージ目でもう元を取った気分だった。
1曲目、SUMMITの顔・PUNPEE氏の「Renaissance」から始まり、流れるように同氏とOMSBによる「Life Goes On」へ。
好きなラッパーが”あんじょうやっとる”ことを認識し、フェス初参加なのになんだか実家に帰ってきた気持ちになってしまう。
MARINE STAGEは広いため比例してスピーカーも大きい。よって、クソデカいスピーカーからヒップホップライブ特有のクソデカ音の”low”が筆者の五臓六腑に響き渡った。
いつものスピーカーじゃカットされる生の”low”をでっかいスピーカーの前で聴き、フェス初心者小僧の筆者も一口大の大人にチェンジした気がした。
3曲目からは怒涛のグループコース。人気曲から最新のトラックまで、各々のセンスやSUMMITのラッパーらしい緩さやユーモラスさが自由なラップに乗って流れてくる。謎の亀キャラまで出てきて会場は最高潮である。
そんなこんなでラスト、お馴染みの「Theme Song」でお別れだ。”All Stars”と付くだけあってとにかく大量のラッパーが襷をつなぐようにラップをしていく。
筆者は思った、「ヤバすぎ、寿命来たんか」と。それぐらいヤバかったのである。
いつかまたこの景色を眺めてみたいので、その日まで生きようと決心した。
(そういえばP氏、いつもの極地の兵隊が被ってそうな帽子の下に冷えピタつけてたな)
SUMMIT All Starsのセットリスト
Renaissance - PUNPEE
Life Goes On(あんじょうやっとります) - PUNPEE,OMSB
There is - TWINKLE+,Nipps,MARIA,GAPPER
Taste test - CreativeDrugStore
Intelligent Bad Boy - BIM,C.O.S.A.,Daigos
Mikiura - C.O.S.A.,KID FRESINO
Theme Song - SUMMIT
Kroi
KroiとNewJeansは時間が被っている。
懸命な読者の諸君は「あれ、NewJeans見ないの?」と思ったことだろう。
残念、筆者は”NewJeansあんまり興味ないおじさん”なのである。無論、後からハマって見なかったことを後悔する日は来るだろうが。
幕張メッセ内に設けられたSONIC STAGEに筆者が到着してまもなくKroiのステージが始まった。
Kroiは5人組のバンドである(バンド名の発音は「トトロ」と同じニュアンスらしい)。
ロック、ヒップホップにファンクがミックスされたようなグルーヴィーな音作りが筆者のフィーリングにバッチリ合い、出演すると知った時から見にいくと決めていた。
1曲目の「Juden」が始まった。
ここで筆者は気づいた。彼ら、演奏が上手いのである。
筆者はここに来る前にKroiのライブ映像をいくつか見てきている。もちろん、どの演奏もうまかったが、筆者は今回のサマソニの演奏がこれまで見たライブ映像よりも良いものだと感じた。
バンドとしての経験を重ねるごとにどんどん上手くなっているのだろうか。すでにこんなに上手いのに、まだ伸び代がある。
筆者は長らくそういったバンドを見つけられていなかったので、嬉しくなった。
その後「Balmy Life」「Page」と演奏し、筆者はそのグルーヴにノリまくった。
続く「Monster Play」ではクール&ザ・ギャングの「Jungle Boogie」サンプリングが入るなど、ファンクバンドとしてのセンスやヒップホップらしいリスペクト精神にも溢れている。
MCではボーカル・内田氏が「みんなNewJeans見たかったでしょ」と笑いながら戯けていたが、筆者はあなたたちの方が断然見たかったです!!!!
ラストの「Fire Brain」後半では、とにかく溜める溜める。
アウトロは無限遠に延長し、ずっと気持ち良い、寸止めみたいな状態が続く独特なステージとなった。
必死に楽しく、良いものを届けようとしているのが聴いて分かる素晴らしいバンドだった。
Kroiのセットリスト
Juden
Balmy Life
Page
Monster Play
Fire Brain
ペトロールズ
真夏の日差しが最も強く照りつける13時45分ごろ、筆者はペトロールズを見るために千葉マリンスタジアム横のビーチに設けられたBEACH STAGEにやってきた。
ペトロールズとは日本のスリーピースバンドである。
メンバーは、多くのミュージシャンのギターを担当し東京事変では浮雲として活動する長岡亮介氏、ヒップホップバンドのLOOP JUNCTIONでベースを担当しKID FRESINOなどのベーシストとしても活動する”ジャンボ”こと三浦淳悟氏、長岡氏の高校時代からの友人であり繊細で正確なドラムが特徴的な”ボブ”こと河村俊秀氏の3人。
筆者がBEACH STAGEに到着したのは、ちょうど1曲目の「TANOC」が終わったタイミングだった。
2曲目は筆者の好きな「表現」。独特なリズムに、いつもながら他とは一線を画するギターとベースの技術、ドラムの対応力、コーラスの心地よさがあり最高だ。
ペトロールズは独特の雰囲気を持っている。取ってつけたようなものではない、芯のあるお洒落さや、ふわふわした格好良さが漂うステージは彼らの専売特許だろう。
5曲目は人気曲の「雨」。
猛暑・青天だったにも関わらず、ペトロールズのステージを見ていたその場の全員が自由に、ゆるやかに楽しむ様が面白い。
最後の曲は「Fuel」。
もう言うことがないほど良い。これを読んでいる読者諸君も一度ペトロールズのライブは見た方が良い。
現在の日本の音楽が展開されている場所から浮いている独特のライブが見れて、筆者は不思議な楽しさを感じた。技術的、音楽的にある種完成されたバンドだからこそできる”遊び”に溢れたステージだった。
ペトロールズのセットリスト
TANOC
表現
NO
KA・MO・NE
雨
Not in service
闖入者
Fuel
UMI
ペトロールズのステージを楽しんだ筆者は、BEACH STAGE近くに設けられたテント内で休憩し、14時50分からのUMIのステージに備えた。
UMIはアメリカ・シアトル出身のシンガーソングライターであり、心地よい歌声とローファイなビートやアコースティックなトラックが特徴(アーティストネームの”UMI”は本名のミドルネームでもあり、日本語の”海”から取られたそう)。
近年のブラックミュージックの影響を強く受けているが、日本人の母の影響から日本の音楽も取り込んで自らの音楽スタイルとしている。
筆者はこの人の優しい歌声が大好きであり、普段なら落ち着きがなく1分以上何もしないと発狂してしまう筆者も、この人の音楽を聴くと落ち着き、安らぐことができる。
14時50分、UMIのステージが始まった。
1曲目はなんと、音楽ではなかった。メディテーション(瞑想)タイムが始まったのだ。
普段は瞑想する人間ではない筆者も、「今日くらいはいいか」という気分で、UMIの声に従い心を落ち着けてみた。
瞑想は目を瞑って行われる。
BEACH STAGEはその名の通り、右手側に太平洋を望むロケーション。視覚からの情報はなく、波の音が聞こえる。
波の音とUMIの声だけを聞きながらゆっくりと息を吸い、吐き出す。
お、落ち着くぅぅぅ…
まさか夏フェスに来てこんなに落ち着くとは思わなかった。
周りには知らない人だらけなのに、その中で目を瞑り落ち着いているなんて、こんなことUMIのステージ以外ではあり得ない、筆者はかけがえのない経験をした。
落ち着いて耳がよく聞こえるようになったところで、1曲目の「Introspection」。ゆるやかなビートにローファイなギターの音が心地よい曲である。
その後、日本語で作詞された4曲目の「Sukidakara」が披露された。
UMI曰く、この曲の日本語は正しくないと日本の親戚に言われたそうだが、言葉は気持ちを伝えるものであるから、気持ちが伝われば文法の”正しい”か”正しくない”かは関係ないという。
筆者もその通りだと思う。こと音楽に関してはこの考え方が重要視されるべきであるとも思う。
”正しさ”に固執している人ほど無知な人間はいない。
その後は2022年のアルバム「Forest in the City」より、「wish that i could」「everything will be alright」を歌唱、さらにはUMIが敬愛する宇多田ヒカルの「First Love」のカバーが披露された。
9曲目は最新曲の「happy im」。自己理解と幸せに関する曲だ。
最後にUMIのサマソニ出演のきっかけとなった曲「whatever u like」が披露された。
その時である、BEACH STAGEのすぐ横にある海から心地よい海風が吹いてきたのだ。
真夏の15時30分、しかもビーチ。本来ならば一番暑い時間、一番暑いロケーションである。
しかしUMIの歌によって落ち着いた心、海風によって適度に涼を持った体によって、夏の心地よい部分だけを楽しむことができた気がした。
まさに、自然と音楽、海とUMIが繋がったかのような、奇跡のような音楽体験があるステージだった。
UMIのセットリスト
Meditation time
Introspection
Down to Earth
Love Affair
Sukidakara
Ordinary
wish that i could
everything will be alright
First Love - 宇多田ヒカル
happy im
Butterfly
Remember Me
whatever u like
HONNE
17時20分、筆者はHONNEを見るため幕張メッセ内に設けられたMOUNTAIN STAGEにやってきた。
HONNEはUK・ロンドンのシンセポップデュオだ。日本語の「本音」を名の由来として持つ(ちなみに、彼らのレーベル名は「Tatemae Records」らしい。どっちなんだ)。
プロデューサーのJames Hatcherと、ボーカル/プロデューサーのAndy Clutterbuckによって構成される。電子的なサウンドのポップスを得意とし、Tom MischやBTSのRMなどとのコラボでも知られる。
1曲目、「IDGAF ABOUT PAIN」で完全にHONNEワールドに引き込まれ、人気曲「Me & You」へ。4曲目の「Location Unknown」からはしばらく、アルバム「Love Me/Love Me Not」からの楽曲が続く。
HONNE独特の、シティポップのようにアーバンなR&Bとエレクトロポップの融合はライブでも健在。彼らにしか生み出せないアーバンでありながら温かみのあるサウンドで会場は盛り上がった。
続く「Warm on a Cold Night」では大合唱が起こり、筆者も歌った。
最後の「Day 1」でも同様に合唱が起こり、高揚に包まれながら温かみのある素晴らしい演奏で会場が一体となった。
今回のHONNEのステージは古いアルバムからの楽曲が多く、ファン垂涎のセットリストだったように感じる。
大きな会場でありながら温かい雰囲気や優しいポップさに包まれた、HONNEらしい盛り上がりと穏やかさのあるステージだった。
HONNEのセットリスト
IDGAF ABOUT PAIN
Me & You
free love
Location Unknown
306
Shrink
Crying Over You
la la la that's how it goes
Warm on a Cold Night
no song without you
Day 1
星野源
本丸である。
何を隠そう、筆者は星野源さんの大ファンである。
筆者は星野氏のステージが始まる20分ほど前に、千葉マリンスタジアム横に設けられたBEACH STAGEに舞い戻った。
BEACH STAGEには、人の波が広がっていた。そう、入場規制である。
数分後、ステージ袖から出てきたバンド隊が楽器類のサウンドチェックのため星野氏の「Down Town」が演奏された。豪華すぎて、すでに筆者は気絶寸前である。
ここで星野源さんについて説明しておこう。
といっても、さすがに全部説明していたのではいくら時間があっても足りないので、今回のサマソニに係ることのみ説明する。
星野氏は、今回・8月19日のサマーソニック東京公演でBEACH STAGEをキュレーションしており、「”so sad so happy” Curated by Gen Hoshino at SUMMER SONIC BEACH STAGE」と銘打って、星野氏が招待した世界各国のミュージシャンと共にステージを作り上げた。
つまり、先ほど紹介したペトロールズやUMIなどは星野氏に誘われて出演したものである。その他にもコロンビア出身のラテンポップの天才・CAMILOや、ヒップホップグループ・A Tribe Called QuestのALI SHAHHED MUHAMMAD、さらには筆者がこの旅行記の第二回で紹介した究極天才・Jacob Collierなどが出演した(さらにDJとして、サイトウ”JxJx”ジュンや、俳優・松重豊として活動するDJ豊豊なども出演した)。
さて、開演の時間がやってきた。
ステージ袖から星野氏が出てきた途端、入場規制級の黄色い声援がビーチ中で巻き起こる。
1曲目は「地獄でなぜ悪い」。
赤い照明が目紛しく辺りを照らし、楽しい地獄が始まったことがわかる。アップテンポでズカズカ進む演奏が気持ちよく、1曲目にはピッタリだ。
後々、星野氏のラジオなどを聞いてみると、このとき星野氏は本物の”地獄”にいたらしい。BEACH STAGEのキュレーターである星野氏は猛暑の中でも休憩がなかなか取れず、自分の出番の頃にはすでに疲弊し切っていたらしい。呼吸すらままならなかったそうだ。
2曲目は「SUN」。夏に合うダンスナンバーだ。
星野氏は「夏なので、昼は過ぎちゃったけど」といっていたが、むしろ日が沈んでからの方が演出が際立つので嬉しい。
この曲の最中、星野氏がとんでもないことを口にした。
「もっと自由に踊ってください」と言ったのだ。「自由に踊る」と言うワードは星野氏のライブでは頻出する言葉である。
しかし、周りを見ても、先ほどと様子が変わったようには見えなかった。
追い討ちをかけるように、星野氏は「これ(腕を上げて前後させる動き)じゃなくて!!もっとばらばらに」と言った。
この一言で、一瞬にしてその場の雰囲気が変わった気がした。というか、筆者自身が変わった気がした。
フェスやライブでは、周りの観客と同じ動きをして楽しむ瞬間が多々ある。
しかし、そういった瞬間でないにも関わらず、周りに合わせて同じ動きを強制されているような感覚になることが、筆者にはあった。
このモヤモヤとした”自分が楽しめてない感”を抱えたままこの1日を過ごしていた筆者にとって、星野氏の二言はまさに天啓であった。
筆者は周りを見るのをやめ、ステージとそこから飛び出る音、そして自分自身の楽しむ感情に集中した。決して大きくはないが、筆者の人生が変わった瞬間だった。
星野氏とバンドが奏でるグルーヴに合わせて筆者は自由に踊った。おそらく周りもそうしたことだろう。
ありがとう星野源。お陰様で、今更ながらフェスを楽しむ準備が整った。
3曲目は「ドラえもん」。まさかやるとは思ってなかったので嬉しすぎる。
ライブで演奏されるドラえもんは、いつも豊かでユーモラスなアレンジがかかっていて楽しい。「ドドドドドドドドドっド~ラえもん」のところが歌えて、とにかく楽しい時間だった。
4曲目は「不思議」。
キーボードの櫻田氏が最初のコードを鳴らした。
湿度高っ!!!!
今まで不思議のライブアレンジはいくらか聴いてきたが、今までのどれよりも湿度が高い。DX-7のような響きのサウンドに包まれた会場が不思議に色づいた。
星野氏が歌い始めると、これがまた夜のビーチに合うわ合うわ…。
これまでで一番ロマンチックなステージだったかもしれない。
5曲目は「くだらないの中に」。
ステージ袖から星野氏が愛用するギターが出てきた瞬間、まさかとは思ったが、「くだらないの中に」の演奏が始まった。
これだけ大人数の、しかもどちらかと言えばウェイウェイしてるような観衆のなかで、ポロポロと弾き語りをする様はなんだかグッとくるものがある。
終盤でバンド隊の演奏が入り、エモーション極まれりの筆者は爆発した。
どうやら星野氏本人はこの曲を歌ったことでスッと呼吸が楽になり、無我の境地に達したそうだ。凄すぎる。
「くだらないの中に」の演奏後、星野氏から発表があった。
筆者とSam Gendelとの関係は長い。
ーーー過去回想ーーー
あれは忘れもしない、2019年にNHKで放送された音楽番組「おげんさんといっしょ」の第三回の番組内でのことだった。
ロサンゼルスを中心に活動するマルチインストゥルメンタリストのLouis Coleが2018年にリリースしたアルバム「Time」より、1曲目の「Weird Part Of The Night」が紹介されたのだ。
当時高校生であった筆者はそのドラムテクに大いなる感銘を受け、Louis Coleやその周りのミュージシャンについて調べまくった。
その結果、たどり着いたのがSam Gendelである。きっかけはこの動画だった。
「ルイスコールの横にいる、このサックス激ウマ男の演奏をいつか生で聴きたい」
その思いを胸に、Sam氏のディスコグラフィーが更新されるたびに、毎回いち早く聴いていた。
ちなみに筆者のお気に入りは、21年の「Music for Saxofone & Bass Guitar More Songs」と、22年の「blueblue」、そして23年の「COOKUP」である。
そうして過ごしていたある日、星野氏とオードリーの若林正恭氏がトーク番組をNetflixで配信することになった。しかも主題歌の「Mad Hope」には、フューチャリングでLouis ColeとSam Gendelの名前があるではないか。
筆者は腰を抜かした。この数ヶ月後、真夏の千葉県内でこれを遥かに超える衝撃を味わうとも知らずに…
筆者は腰を抜かした。数ヶ月前に腰を抜かした時とは比べられないほど盛大に腰を抜かした。
そして叫んだ。
「Sam Gendel?!?!?!?!」
と。
そう、普通に叫んでしまった。あのとき前にいた観客の方、驚かせてしまってすみませんでした。
一方、ステージにいる星野氏はSam氏と共に3曲披露すると言い放ち、6曲目となる「Pop Virus」のSam Gendelのサックス追加バージョンを歌い始めた。
サビ手前でSam氏のサックスソロが入った(PUNPEEやMC.wakaがラップパートを入れていたところである)。
「なんじゃこりゃ?!」と筆者は思った。Pop Virusのサックスソロとして想定されるものを軽々と超え、全く予想のつかないフレーズを吹いている。
後半の星野源バンドお馴染み・サックスの武嶋聡さんとのダブルサックスも聴きごたえがある。とんでもないものを聴いた気がした。
7曲目の「Ain’t Nobody Know」もSam Gendelを迎えて演奏された。
星野氏による官能的とも言えるような歌唱、長岡亮介氏によるギターソロ、Sam Gendelによるリズミカルながらも奇想天外でまるで叫ぶかのようなサックスが素晴らしい。
8曲目はサプライズでいち早く披露された新曲「Mad Hope(feat.Louis Cole,Sam Gendel)」だった。
特別に追加されたサックスパートでは、Sam氏と武嶋氏によるトーンの違うサックスの掛け合いが突き抜けるように鳴り合い、もう最高潮だ!
「Mad Hope」が終わるとSam氏は星野氏とハグをして退場した。
ここで星野氏から「週末だし踊らないか」とオーディエンスに提案があった。確かにこの日(8月19日)は土曜日。
ってことは…。
9曲目の「Week End」が始まった!!最高ーーー!!!
観客による大合唱、各々が自由に踊り、ビーチが音楽に飲み込まれていた。
歌唱中に星野氏が「言うの忘れてたけど、これが最後の曲です」と言った。寂しいが、もう最高の週末である。サプライズもあったし、もう全部全部最高だ。
最高の週末・最高の音楽をありがとう、星野源!!
あれ、星野源だけ退場しない…
ん?ステージのセッティングが始まってる…。
そして、星野氏が喋り始めた。
どうやら、「”so sad so happy” Curated by Gen Hoshino at SUMMER SONIC BEACH STAGE」のフィナーレをやるらしい。
本来は、星野氏の後に控えるJacob Colierのステージが終わった後に予定していたらしいが、Jacob氏が膨大な量のチャンネルを使うことになったらしく、急遽この時間に行うことになったそうだ。確かに、この旅行記の第二回で見てきたJacob氏のライブもすごい量のレイヤーだった気がする。
「(え、ちょっと待て。てことは、今から何か演奏するのか)」
筆者の頭にこの考えが浮かんだ瞬間、ステージ袖からUMI、Camilo、Sam Gendel、そしてJacob Collierが出てきた。
星野氏曰く、今からこの4人と新曲を披露するのだという。
ここで筆者のサプライズ耐久値は0になった。もはや何が起きてるのか理解不能である。
フィナーレとして演奏される新曲の名は「Memories」。
UMI、Camilo、Jacob Collierとの共作であり、今回は特別にSam Gendelを迎えて演奏されるという。
筆者が状況を理解する前に演奏が始まった。
あ、あまりにも素敵すぎるー!!!!全てが美しく流麗に流れる、素晴らしい曲だった。イントロの、Jacob Collierによるリフは今でも頭に残っているし、Sam Gendelによる美しいサックスも頭に残っている。UMI、Camilo、そして星野源による優しい歌唱も頭に残っている。
演奏し終わると、星野氏が集結させた世界中のミュージシャンたちはお互いにリスペクトを払い、ステージを後にした。
本当に、一生記憶に残るステージを見た。
星野源のセットリスト
地獄でなぜ悪い
SUN
ドラえもん
不思議
くだらないの中に
Pop Virus (with Sam Gendel)
Ain't Nobody Know (with Sam Gendel)
Mad Hope - Short (feat.Louis Cole , Sam Gendel) (with Sam Gendel)
Week End
Memories - 星野源 , UMI , Camilo , Jacob Collier (with Sam Gendel)
YOASOBI
星野源のステージを見た筆者は、クソデカ感動と激ヤバ記憶を抱えたまま、YOASOBIを見るためにMOUNTAIN STAGEにやってきた。
幸か不幸か、YOASOBIのあまりの人気にMOUTAIN STAGEでは入場規制がかかって開演時間が遅くなり、星野氏のステージのことを頭の中でどうにか整理する時間が生まれた。
YOASOBIについて、今更ではあるが軽く解説しよう。
YOASOBIとは、ボーカル・ikuraとボカロPでコンポーザーのAyaseによるインターネット発の音楽ユニットである。あとは調べれば出てくるので、読者諸君が調べなさい。
入場規制のため大幅に遅れたものの、ぎゅうぎゅうのMOUTAIN STAGEで遂にYOASOBIのステージが始まった。
1曲目はなんと、代表曲の「夜に駆ける」であった。初手からぶっちぎりの選曲に会場は大盛り上がりだ。
何よりも筆者が驚いたのは、YOASOBIや周りのバンドメンバーの雰囲気である。歌が上手い、演奏が上手いのもあるが、とにかく華があるのだ。どうしても目がいってしまう魅力のようなものがステージ中に漂っていた。
2曲目は「祝福」。筆者が好きな曲だ。
そして、これもまた人気曲である。
スピード全開のまま、3曲目の「三原色」へ。
あまりの飛ばしっぷりに筆者も半分気絶しながらノリまくる。
続く「セブンティーン」「ミスター」と、とにかく人気曲だ。
ikuraさんの高すぎる歌唱力に、Ayaseさんの煽り、独特なポップさのあるバンドの演奏、そしてステージ上のライトや効果の演出も素晴らしい。
10曲目「ツバメ」が流れると、筆者の隣にいた小学生が大喜びしていた。よかったね。
11曲目「怪物」は、BPMや曲調が似ているせいか「アイドル」と勘違いしてしまいそうだったが、とにかくかっこいい。演出も壮大で、観客の熱量も凄まじかったように感じる。
12曲目の「群青」では、多くの手拍子と合唱が起きた。
YOASOBIのステージから観客を牽引する力がおそらくサマソニ出演者の中で一番大きく、さすがは現代日本のキングオブポップだとつくづく思う。
これだけ大量のオーディエンスを引っ張る華やメジャーさこそがYOASOBIの魅力なのかもしれない。
「群青」で終わりと見せかけて、実はまだあった。
13曲目は、早くもYOASOBIの代表曲となりつつある「アイドル」(もはや「怪物」のイントロがブラフのように感じる)。
筆者は、もう、言葉がでねぇ…。完璧なのである。
間違いなくこの日一番の盛り上がりだっただろう。個人的には「アイドル」に含まれているオタクコール的な要素をウェイウェイしている人たちがやっていたのが面白かった。
もはや”オタク的”と言われる文化はアンダーグラウンドのものではなく、日本の文化にしっかりと刻まれたものなのだと筆者は改めて実感した。
ステージ全体を引っ張るパフォーマンス、ド派手だけどYOASOBIらしい芯の通った演出、Ayaseさんの盛り上げ、ikuraさんの歌唱力。どこをとっても完璧で、どこをとっても華があった。
まさに唯一無二で、多くの人が好きになるであろうエンターテインメントであり、筆者は歴史的なものを見た気がして、本当に見てよかったと思った。
YOASOBIのセットリスト
夜に駆ける
祝福
三原色
セブンティーン
ミスター
もしも命が描けたら
たぶん
ハルジオン
アドベンチャー
ツバメ
怪物
群青
アイドル
最後に
まずは、今回筆者が見たミュージシャンがサマソニで演奏したセットリストを纏めたものをここに貼っておく。ぜひ聴いてみてほしい。
今回の筆者的ベストアクトは、強いて言うなら星野源かYOASOBIである。強いて言わないなら全員だ。
本当はもっと見たいアーティストがたくさんいたが、残念ながら持ち越しだ。
とはいえ、見たい人はまぁまぁ見れたのでよしとしよう。
筆者がどちらかといえば、いや、どちらかと言わなくても陰の者なのであるが、「音楽を聴く」と言う共通目的で括られていたので陽の気にあてられることなく楽しむことができた。
読者諸君も、少しでも行きたいと考えたのであればしっかり暑さ対策をして行ってみることをお勧めする。
*今回提示したセットリストは順番や曲名にミスがあったり、曲が抜けている可能性があるので、間違いを見つけた場合、もしよろしければコメントなどで指摘していただけると助かります
第四回まとめ
第四回はここまでである。次回は最終回「帰宅編」だが、たいして重要なことは書かないと思う。
さて、読者諸君の心から「分かりやすくまとめろ」というシンガロングが聞こえてくる。それでは今回起きたことをまとめておこう。
筆者「最近、眠い。」は関東旅行3日目、夏フェスの「サマーソニック」に参加した。
筆者は熱中症の危機と戦いながら、朝から晩まで音楽を楽しんだ。
今回は少したりとも要約できず、長ったらしい文章になってしまった。フェスというもの自体筆者は初参戦だが、かなり楽しめていた方だと思う。
次回「帰宅編」はもう後日談みたいな感じなので、筆者的にも肩の荷がおりる。長々と四回分お付き合いいただいた読者諸君に改めて感謝申し上げる。
それではまた次回!!!!
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