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僕と関東旅行 第二回「ジェイコブ・コリアー編」

どうもこんにちは、「最近、眠い。」だ。

筆者は8月17日~8月20日の間、関東近郊に旅行をした。この文章はその4日間の出来事を記した体験記の第二回である。(旅行の概要などが記された第一回はここから読むことができます

全五回を予定しているので、よろしくお付き合い頼む。


オープニングタイトル

さて、前回はダラダラと長い文を書いてしまい、読者諸君に不快な思いをさせてしまった。
そのため、今回は本題に入るまでを要約し、オープニングタイトルとして文章にまとめた。興味のない読者諸君は読み飛ばしていただいて構わない。
それでは…


第1章:決戦の地、豊洲。

日が暮れ始め、ビルの灯りが息を吹き返す豊洲の黄昏時。
ついに邂逅した我々(TRON氏と筆者)は待ち合わせ場所から移動し、豊洲PITに到着した。

当日の豊洲PIT前。

見渡す限りの人、人、人。兎にも角にも人が多い。我々は犇く人の波をかき分け、整理番号に従って列に並ぶ。
周りを見渡すと、今回のオーディエンスは20~30代後半あたりが多いように見える。外国からの客もまぁまぁいた。見るからに明るそうな人ばかりではあったが、事前にTRON氏から警告されて危惧していたような「陽キャ」感はほとんどなく、割と居心地は良かった。

第2章:ジェイコブ・コリアーについて、なんとなく考えていること

さて、ここでジェイコブコリアーについて軽く説明しておこう。

ロンドンの音楽一家に生まれる。
2011年から多重録音のアカペラと楽器演奏による動画を自宅のベッドルームからYouTubeで配信し何百万ヴューを獲得するなど世界中で話題となる。それがクインシー・ジョーンズの目に留まり2016年にデビューを果たし、2017年にはグラミー賞を2部門で獲得。一躍スターとなったジェイコブはその後ハービー・ハンコック、ハンス・ジマーなどとのコラボレーションを実現し、ファレルとも共演を果たした。

様々な楽器を操るシンガー、作曲家、アレンジャー、プロデューサーとして、2度のグラミー賞に輝いている天才マルチ・ミュージシャン。

UNIVERSAL MUSIC JAPANより引用

筆者がジェイコブコリアーについて一言で言い表すのなら、この言葉である。

「神」

まさにこれだ。ジェイコブコリアーはおそらく音楽に関する神であろう。

ジェイコブ氏は音楽理論(特にジャズ)に深い理解や造詣がある。
ジェイコブ氏がマルチプレイヤーとして楽器を体の延長のように使いこなす事と同じく、音楽理論も自らの感覚の延長として深く理解し、使いこなしている。
まるで中高年のジャズプレイヤーのような理解と演奏を、29歳の体力と能力を用いて行なっているのだからヤバいのである。

また、ジェイコブ氏は自らの持つ音楽の知識を発展させ、独自の理論も編み出していると思われる。
特に和音や和声、リズムやグルーヴに関しては他の追随を許さぬ勢いで独自に発展している。
筆者はお馬鹿スカポン狸の御鳴ら野郎なので音楽理論のオの字もわからないが、ジェイコブ氏の音楽を聴いていると、良い意味で”引っかかり”のあるコードやグルーヴが聴こえることがある。ジェイコブ氏の独特な感覚と理論に関しては、この駄文を読むより実際に聴いた方が早い。

Woke Up Todayでは、彼の独特なリズム感の片鱗が味わえるだろう。下手すれば全てのリズムやハーモニーが相容れなくなりそうなところを、彼特有の最適なバランスによってなんか気持ちよく聞こえてしまうのである。理論を完全理解しているからこそできる”遊び”がふんだんに詰め込まれた楽しい曲だ。

この楽曲、素人の筆者が聴いてもわかるが後半戦は特に普通の進行をしていない。それでも気持ちいいのである。型があるからこそできる、楽しむための完璧な型破りである。気持ち良すぎだ。

これは彼のYouTubeキャリアの最初期に投稿されたものの一つだ。Stevie Wonderの同名楽曲のカバーであるが、最初っからこれである。才能の塊だ。

上記した独自性の高さに関連し、ジェイコブ氏の感覚がそもそも一般的な音楽家とは違う、興味深い場所にあるような気がする。今後ジェイコブ氏が音楽活動を続けるにあたり、ジェイコブ氏固有のセンスや感覚の地平が”普通”と混ざり合うのが筆者は楽しみで仕方ない。ワックワクである。

そして様々な映像や解説から読み解くに、ジェイコブ氏の根本は音楽理論ではなく、音楽を楽しむことにあると思える。故に彼が音楽をする様はまさに無我夢中に見えるのだろう。
ジェイコブ氏が音楽について解説する動画資料がいくらかあるが、どの資料でもジェイコブ氏は音楽を理解するよりも楽しむことを尊重している様子を見せる。本当に音楽を愛しているのだろう。
個人的にではあるが、最近の筆者は「オタクというものは本来、知識を押し付けるよりも楽しさを伝えるべきなのでは」と考えていた。
筆者の最近の思考と照らし合わせると、筆者にはジェイコブ氏が「最高の音楽オタク」に見える。

第3章:ジェイコブ・コリアーのライブ

入り口でドリンクを取り、我々は会場へと入った。ステージを見ると、真ん中に馬鹿デカいドラがあるではないか。なんじゃありゃ。

筆者とTRON氏の間では、ライブの開場前BGMを調べることが通例となっている。TRON氏が調べてくれた此度の開場前BGMがこちらである。

  1. Everywhere - フリートウッド・マック

  2. Playa Playa - ディアンジェロ

  3. Cycle Song - イモージェン・ヒープ

  4. Lala Aicha - Karim Ziad

  5. What Go Around Come Around,Kid - サイプレス・ヒル

  6. Born Under Punches(The Heat Goes On) - トーキング・ヘッズ

そんなことをしていると会場が暗くなった。ここからが本番である。
ここでライブの流れと各楽曲演奏中に筆者が思ったことを記す。

With The Love In My HeartCount The People

始まりの2曲がワクワクする系の曲で筆者はすでにテンションMAXだった。しかもこの時点でジェイコブ氏はステージを慌ただしく駆け回り、多数の楽器を駆って大量のトラックを使っている。今までインターネットから眺めているだけだった光景が目の前に広がっていることが、まるで夢のようだった。多分夢だろう、違いない。

FeelHideaway

始まった、ジェイコブ氏お得意の聖歌ディアンジェロタイムである。静かに、しかし強く、そして美しく重ねられたコーラスと、ゆったりリフレインするネオソウルのようなビートが心地よい。
4曲目は、これまた心地よいギターの音色とジェイコブ氏のよく通る優しい声、カントリー的な感じに安心を覚える。
この心地よさ、夢に違いない。

Don't You Know

この曲を演奏している間、筆者は気になっていた。いくらなんでもジェイコブ氏が多数の楽器を演奏しすぎではないかと。この男、当たり前のようにステージ上の70%近くの楽器を一人で演奏しながら歌っているのである。やば。こんなのきっと夢に違いない。

The Sun Is In Your Eyes

はぇ~、落ち着くぅ~。この人のギター、上手いけど上手いだけじゃない。一音一音、鳴らす音が全てはっきりと心地よいのである。こんなこと普通の弾き語りでは起こり得ない。寝ちゃいそう、これきっと夢だ。

Can't Help Falling In Love

ジェイコブ氏は歌がうまい。しかし、ジェイコブ氏の喉は歌を歌うだけでなく、使いかた次第で楽器にもなる。この曲の間、ジェイコブ氏のコントロールされた重厚で深い声に沈みながら、上空に浮かぶジェイコブ氏の声の倍音が生み出した天使を聴いていた。今まで夢だと思っていたが、これは死んだ可能性がある。ここは死後なのかもしれない。

In Too Deep → Time Alone With You

ヒップホップ&ネオソウルタイムであるが、筆者はここら辺で蘇ってきた。ビート面でもハーモニー面でもジェイコブ節が遺憾なく発揮されたin too deepは静かで美しく、筆者の個人的な感覚として日本らしいスケールの曲であり、ライブで聴けて嬉しかった。time alone with youはジェイコブ流ネオソウルの極地である。気持ち良いグルーヴに身を任せ、筆者は夢心地である。夢じゃん。

WELLLLAll I Need

夢じゃなかった!!!!!!!!!!!!!!!!!!目の前にいます!!クリーンに歪んだギターを弾くジェイコブが!!!脳が追いつかないまま大名曲”All I Need”へ。アルバム”Djesse Vol.3”の各楽曲の要素を取り入れながらひたすら楽しく進んでいる!!やばいやばい。

I’ll Never Smile Again (Piano Ballad)

う、美し…。何やら哀愁のある不思議なメロディから作り出した和音がピアノから迫力満点で美しく鳴り響き、とんでもなく広い声域でジェイコブ氏が歌う。これが恒例のコーナーとは、音楽というものはとんでもないところまで来たもんですなぁ。

Sleeping On My Dreams

たのぢぃ~!!筆者、この曲大好きである。これは夢でないし、今日はいい夢見れそうだ。

encore:Somebody To Love

Love~~~~~!!!Find me somebody to love~!もう最高!!ありがとぉ~~ジェイコブ~~!!!(この時点で語彙などは消えている。「こんな説明じゃわからんよ」という読者諸君は、ジェイコブ氏のライブを観よう)

追加1:Audience choir

ようつべなどで常々見ていたこのコーナーに筆者も参加した。最初は不安でしょうがなかったが、やってみると意外とできるもんである。結構楽しかった。
マルチプレイヤーは世界に数多く居れど、”観客”まで楽器として演奏してみせるのは古今東西探してもジェイコブ・コリアーだけだろう。

追加2:September

ライブが終わった瞬間、事件は起きた。上演後BGMとして、Earth, Wind & Fireのかの有名な”September”が流れ始めたのである。
こんなすごいもの見せられた観客、当たり前だが冷静でない。冷静でない客にSeptember、何も起きないはずはなく…

合唱である、もう大合唱である。

みんな歌った。みんな踊った。気づくと横にいたTRON氏も歌っていた。というか筆者も歌っていた。気づいたらみんな歌っていた。なんでジェイコブコリアーの観客は皆Septemberの歌詞知ってんのかが謎であったが、筆者も覚えていたのでとにかく歌った。
あんなことは今まで経験したことないし、これからあるかも怪しい。いい音楽体験をした。

我々は楽しい余韻に浸りながら会場を後にした。後にも先にもない、いい経験をしたと思う。
帰り道は、TRON氏が語る家族の思い出を右耳から左耳へ流しつつ、ジェイコブ氏のことを考えていた。
豊洲を歩く筆者の心は、非常に豊かで晴れやかであった。

第二回まとめ

第二回はここまでである。次回はここおじ(心だけおじさん)の2人が東京観光をするだけの回になる予定なので読み飛ばしてもらって差し支えない。

さて、上記した長文を読むのが面倒くさいと駄々をこねる甘えん坊な読者諸君に向け、今回起きたことをまとめておこう。

  • 筆者「最近、眠い。」は東京観光の1日目、親友のTRON2049とともに音楽家のジェイコブコリアー氏が8月17日に行なった単独公演を鑑賞してきた。

  • ジェイコブコリアー氏のライブは、超~ぉ~ぉ楽しかった。そして来場した観客たちによる「September」の大合唱に参加できたことも、超~ぉ~ぉ楽しかった。

アレコレとやることをやってたらいつの間にかライブから時間が経ち、当時のテンションをそのまま文章にすることができなくなってしまっていた。やはりライブはナマモノなので、早めに文章として書き起こし、何度も行くのが良い。
ちなみに今回のライブは、筆者にとっての”海外勢ライブ童貞さようなライブ”でもあった。最初の海外アーティストライブがジェイコブ氏なの、ちと豪華すぎないだろうか。

筆者は音楽素人であるためジェイコブコリアーのように理論的なことはさっぱりであるが、もっと詳しく知りたいという方向けにいくつかジェイコブ氏本人の動画資料やライブ映像、それらの解説ページを貼り付けておく。

https://youtu.be/dDZoGcQVjJg?si=ep9UXdKw8F9b0u0q

https://jazztokyo.org/column/analyze/jacob-collier-woke-up-today/

また、理論に関しては”五度圏”、”ネガティヴハーモニー”、”リディアン・スケール”、”ボーカル・ボイシング”などといった言葉を足がかりに調べてみるのが良いようだ。

どうか諸君も音楽を楽しんでいただきたい。

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