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本の世界

 幼少期の頃は毎日が宝石のようにキラキラと輝いていた。「今日はどの本を読もうかな?」「この小説の最終巻があるから他の人に読まれる前に今のうちに読んでおこう。」「この作家さん、詩集も出しているのか。読んでみたい。」毎日毎日選り好み。本の世界なら大嫌いなものからおさらば出来る。平凡な日常から脱出出来る。非日常な世界に入れる。勇者になって魔王を倒せる。魔法使いになり世界を王家を救える。孤高の海賊になって大海原を冒険出来る。金品・財宝が手に入る。暖かい家族に迎えられて心がホッコリする。義兄弟の契りが交わせられる。本の世界に入るごとに面白かった。楽しかった。ちょっぴり怖かった。可愛かった。本の世界が好きだった。大好きだった。

 大人になってもう一回本の世界に入ってみた。幼少期の頃は本の世界が宝石だったのに、今では道端に落ちている灰色の石ころへと変貌した。大人の本の世界はビジネス、IT、人間関係、コミュニケーション力、SNSが中心となった。愉しさ、面白さよりも勉強が情報が重視されるようになった。もうあの頃の非日常は味わえない。本の世界が大人色に染まった日はいつの日からなのだろう。

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