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2024年7月の記事一覧

凶悪を観た

凶悪を観た

ピエール瀧の演技が素晴らしいとの噂で気になっていた作品。回想パートが残虐すぎて久々に映画を観たなという感触。そしてそれと並行しての山田孝之の危うさに心揺らされるし、池脇千鶴のギリギリの演技もとても心に迫る。

ピエール瀧とリリー・フランキーの直接対決、山田孝之の裁判所でのシーン、最後の面会シーン、と終盤までぎっしりと詰まっていた。告発後の山田孝之の正義感が恐いなという感触もしっかりと回収され、とて

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時ひらくを読了

時ひらくを読了

三越本店を舞台に置いた6人の作家による短編集。逆に三越が出てくること以外共通点はないのかもしれない。

子供の頃引越しの多かった私はいつものお決まりの外食の思い出や、今は小さく感じる公園の遊具といったエピソード的な、日常の中に思い出と呼べるものが少ない。親と話す時以外、幼少の頃を想起することはないかもしれない。

そんな私だが、主人公が家族の思い出を反芻する第一話で危うく涙を流しそうになった。少年

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