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創作大賞2023 大山博士の奇妙な話


#創作大賞2023
#エッセイ部門

 私の名前は大山嵐次郎。
 宇宙の真理に近い者。
なんて自負してるわけであるが、およそこの世に生まれ落ちて真理の探求をしなくては生まれてきた甲斐がないではないかと、常日頃から思っているわけであるから今現在私が知り得た情報を公開したいと思う。
まあ万が一日本政府のみなさん、アメリカ国防省の諸君私をどうにかしようとおもってもそうは問屋が卸さぬと釘を刺しておこう。
私には強力なバックボーンがおるのだ。
この小説の読者に関係者がいないとはいえない故。
さて、前置きが長くなったが何から話そうか。
まず私の日頃の研究テーマは宇宙物理学である。
無論アマチュアであるから詳しい方程式だの計算式だのは他に譲るとして、まず我々が昔から神と言っておる存在というのは宇宙そのものが脳のような構造をしており、我々はその脳が見ている夢のようなものであるということ。
何を馬鹿なと言われるかもしれないが、ちょっとGoogleで宇宙の写真を検索してみたまえ。
本当に脳の構造にそっくりであるから。
しかも、ネットの記事を検索すると私と同じようなことを語っている海外の学者がおるではないか。
断言しよう、私は物心ついたことからこの事実に気づいていたと。
いくらアマチュアとはいえ、ノーベル賞級の発見を先を越されたとあっては非常に惜しい。
いずれこの小説がネイチャーに載るやもしれず、この記事が価千金であると信じるものである。
さて宇宙が人間の脳と同じ構造を持っているということはいかなる理由か?と考えたとき水が高きより流れる如く必然性があるに違いないと思い至った。
宗教に出てくる神様が魔法を使ってこの世を生み出したと考えるのは、いかにも不合理で理性を放棄したと言わざるをえない。
よって私はかく考えた。
元々この宇宙空間そのものが知性を帯びているのではないかと。
物理学によればこの宇宙に真の無は存在せず、有と無がひしめきあっている状態なのだという。
いわゆる真空エネルギーがあるという。
だからこそ宇宙は何もない無からも生じ得るのであるが、元々原子の粒々であったものが恒星になり、銀河になりかくも雄大な宇宙に進化し、そして我々のような人類が生まれたというのは不思議の一言ではすまされぬ。
もはや空間が粒子が知性を持って我々人類というゴールに向かって邁進しているようではないか。
私はネットで「未来からきた存在」なる怪しげな者とメールのやり取りをしたことがあるが、彼によれば、この宇宙、光、空や風、石や水にも意識はありますなどと書いており、当時まったく理解不能であったが今となってはよく解る。
すぐに音信不通になったがあのネットの住人は本当に未来からきたのかもしれぬ。
日常生活でもよくあり得ないような偶然、シンクロニティというそうだが、それが頻繁に起こる原因も空間が知性を有していると解釈すれば説明がつく。
ある人の脳内で起こったイメージも電子の動きに違いないのだから、それに近い事象の電子の動きに磁石のごとく引き付けられるのも理の当然であろう。
ホーキング博士いわく、神が光あれ!などと叫ばなくてもこの宇宙はごくごく自然に生成され、ビッグバンには何も不思議なことはないそうだが、さもありなん。
この宇宙の始めも終わりもずっと知性は存在しているのだから。
考えてもみたまえ。
あの美しい夜空の星々。雄大な山、川や谷。鳥の囀り。あんな素晴らしいものがひとりでにできると?
いやそんなことはない。
すべての原子たちが星々になろうと、山になろうと、川になろうと鳥になろうと緻密な計算のもと互いに協力しあって極めて知的にこの世界は成り立っているのである。
そう、そして何よりあなたこそがまさしく大いなる知性の賜物である。



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