「私のこと好き?」ってきみは言った
「私のこと好き?」ってきみ言った。
ふたり並んで桜を眺めたあの日の公園。
えへへとぼくは照れて笑って。
足許はいちめん真っ白な花びらで。
あれからいくつ季節がめぐってもときどき思い出す。
ままごとみたいな恋愛だった。
ぼくは今でも子供のままで…。
「私は好きだよ」
その言葉は今も大切なお守りのように胸にしまってある。
つらいこと苦しいこと嫌なことがあるたびにあの言葉を思い出す。甘く切ない感傷。
10年ぶりの同窓会。
あのことをきみに語ろうと思ったけどきみはもういない。
遠い異国へ嫁いだそうだ。
多分もう会うことはないだろう。
ぼくらの前には幾千の可能性がありどこまでも行けそうな気がしていた。
本当は今だってどこへでも行けるのさ。
これからぼくはどこへ行くのだろう?
今年もまた桜の季節がやってくる。
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