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シンガポールで世界の仏像の歴史をたどる

はじめに

シンガポールへの旅行は、お買い物だったり街を楽しんだりするのが目的だったりします。街にはさまざまな文化が入り混じっており、建物を見たりするのはもちろん、食べ歩きも楽しいです。ただ、古い仏像を見に行くような目的地ではたぶんないです。
そのため、シンガポールで仏像めぐりができるとは予想していませんでした。調べてみて古い仏像が保存されている場所があることを知りましたが、コレクションの数やクオリティなどあまり期待していませんでした。実際に訪れてみて、そのコレクションの充実ぶりに驚かされました。かなり楽しめました。


そもそも、なぜシンガポールには古いお寺がないのか?

シンガポールは東南アジアの真ん中にある国です。
周りには東南アジア各国があります。それぞれ長い歴史を持つ国で、世界遺産に載っているような仏教遺跡もあります。例を挙げれば、インドネシアのボロブドゥール、タイのアユタヤ、カンボジアのアンコールワット、またミャンマーのバガン、など。いずれもシンガポールから数時間のフライトで行くことができる場所で、日帰りすら可能な距離だったりします。
そんな仏教遺跡にアクセス抜群なシンガポールなのですが、シンガポール自身に仏教遺跡はありません。遺跡はおろか、苔むした古いお寺もありません。
これはシンガポールの歴史をひも解くと理由が分かります。19世紀初頭にイギリス人がやってくる前まで、シンガポールは数百人だけが住む漁村にすぎませんでした。そこからおよそ200年かけて現在のような世界有数の大都市に発展しました。シンガポールは、ほかの東南アジア諸国と異なり、歴史的には若い国なのです。
シンガポールが独立したのは1965年。経済発展を国是として発展を目指してきました。順調に経済発展も進み、20世紀末あたりから余裕が生まれてきました。経済だけでなく文化面にも目が向くようになりました。
(なお、このあたりのシンガポールの歴史については、シンガポール国立博物館に行くといろいろ分かります。独立のさいにリー・クアンユーが受けたプレスインタビューの有名なビデオもここで見ることができます。覚悟を持って国づくりを始めたことが感じれます。)
その流れの中、佛牙寺やアジア文明博物館が2000年前後にオープンしました。それぞれ、ガンダーラ期や唐代にさかのぼることができるような歴史ある仏像から現代のタイやミャンマーの仏像まで、時代も場所もさまざまな仏像のコレクションを持っています。どちらも中心地にあり、賑わっています。

佛牙寺(Buddha Tooth Relic Temple)

別記事にまとめました。

アジア文明博物館
(Asian Civilization Museum)

こちらにまとめました。

おわりに

シンガポールで仏像の歴史がたどれるとは思っていませんでした。予想以上の充実ぶりでした。これだけのものを一度に見ることは、日本国内でも難しいでしょう。
なお、現在シンガポールの地元の人たちによって仏教は信仰されています。市内各所にお寺があって、日曜日には多くの人がおいのりに訪れます。私もいくつかのお寺にお邪魔しました。おなじ仏教であっても日本のものとは異なる雰囲気などが感じられます。これも興味深かったです。

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