くら

元国立大学教授。食生活学(特に食育)、食品学が専門。 博士(学術)。和漢薬膳士。中学校…

くら

元国立大学教授。食生活学(特に食育)、食品学が専門。 博士(学術)。和漢薬膳士。中学校・高等学校教諭免許(家庭)。 子ども、親子、外国人向けの料理教室を運営。 その他、大学での非常勤講師、自治体の食育アドバイザー、企業の食育顧問を担当。

最近の記事

第4回薬膳料理研究会

4月18日に第4回の研究会を開催しました。 今回のテーマは「春を健やかに過ごす献立」です。 〇献立 ・鰆と春野菜のアクアパッツァ ・ささみとアスパラガスの春巻き ・薬膳いちごパフェ 〇漢方食材:クコの実、松の実 〇食材:鰆、あさり、春きゃべつ、菜の花、プチトマト、にんにく、ささみ、アスパラガス、梅干し、いちご、牛乳、ヨーグルト 〇調味料など:塩、こしょう、白ワイン、オリーブオイル 〇解説 ・春は「養陰補肝」といって、肝の働きを良くし、陰(血・津液)を養うことが良いと

    • 第3回薬膳料理研究会

      3月23日に第3回の研究会を開催しました。 実は2月に開催予定だったのが、諸事情により延期になったため、食材の時期が少しずれてしまいました。 今回のテーマは「血を補い、血を巡らせる」です。 〇献立 ・クコの実とほうれんそうのナムル ・いかのしょうが・にんにく炒め ・豚肉と大根と青梗菜のスープ 〇漢方食材:クコの実、山査子 〇食材:ほうれんそう、くるみ、、ごま、いか、豚肉、大根、青梗菜、しょうが、にんにく 〇調味料など:塩、醤油、酒、オリーブオイル、ピンクペッパー、黒こ

      • 生薬:人参

        ウコギ科オタネニンジンの根。気を補う重要な生薬であり、様々な漢方薬に用いられる。日本では「高麗人参」「薬用人参」と呼ばれる。 五性:微温性 五味:甘味・微苦味 帰経:肺、脾 体質:気虚、陰虚 効能:大補元気(だいほげんき) ・全身の気を大きく補う(特に胃腸) ・倦怠感、息切れ、食欲不振、下痢、嘔吐など ・水分を補う 参考サイト 薬剤師・国際中医師 中垣亜希子先生による人参の効能と使い方 実験による機能性のエビデンス (株式会社ツムラ 生薬本部 生薬研究所監修「生薬一覧

        • 秋の食材:白木耳・銀耳(白きくらげ)

          きくらげはシロキクラゲ目シロキクラゲ科Tremella fuciformis Berk. の子実体。桑の木や槐の木に寄生するキノコの一種で、その形が耳に似ていることから「木耳」と呼ばれる。キクラゲには老化を防ぐ作用や、滋養強壮作用があり、中国では昔から食用や薬用として利用されている。季節の変わり目などに、風邪予防や体調を整えるために、スープにして飲まれている。 五性:平性 五味:甘味 帰経:肺、胃、腎 体質:陰虚 効能:滋陰潤肺(じいんじゅんぱい) ・肺に潤いをもたらし、

        第4回薬膳料理研究会

          漢方食材の下処理

          ・枸杞子(クコの実) 水、酒などに30分~1時間漬けて戻して使用する そのまま食べることもできる。 ・竜眼肉 水、酒などに15分ほど漬けて戻して使用する。 そのまま食べることもできる。 ・銀耳(白きくらげ) 水に2~3分間漬けて戻し、一口大にちぎって用いる。 生で使う場合は熱湯をかける。 乾燥食材の場合は、2時間から一晩水に浸けて戻す。 ・髪菜 水に5分ほど漬けて戻す。 ・冬虫夏草 水に30分ほど漬けて戻して使用する。 ・金針菜(乾燥物) 水に30分~1時間ほど漬け

          漢方食材の下処理

          季節に合わせた食材

          【春】 ・養陰補肝(よういんほかん) ・血を巡らす肝の機能を高め、陰(血・水)を養う ・肝臓のはたらきを補う「酸味」の食材 ・新陳代謝を促す「苦味」の食材 【夏】 ・補陰養心(ほいんようしん) ・陰(血・水)を補い、心臓の機能を高める ・体を冷やす「涼性」の食材 ・余分な水分を体外に排出する食材 ・心臓・胃腸の機能を高める「苦味」の食材 ・消化の良い食材 【秋】 ・培陽潤肺(ばいようじゅんぱい) ・肺を潤す作用のある「辛味」の食材 ・体を温める「熱性・温性」の食材 ・冬の

          季節に合わせた食材

          第2回薬膳料理研究会

          2月2日に、奈良の薬膳料理店「茉莉花 (ジャスミン)」で薬膳ランチをいただいてきました。 このお店は毎月テーマを変えて、それに沿った料理が提供されます。 2月の薬膳ランチのテーマは〈腎機能を養う〉でした。 お店からのメッセージは以下のとおり。 『中医学では冬は腎機能が弱まると言われています。体の表面が寒さ(寒邪)を受けやすくなり、手足が冷えたり血の巡りが滞り〈腎〉が消耗しやすくなるからです。そのため冬は〈腎に作用し腎を養う〉ミネラル分を含んた食材を補うのが中医学の基本です。

          第2回薬膳料理研究会

          第1回薬膳料理研究会

          薬膳料理研究会を立ち上げました。 薬膳食材を使った料理を作り、食材への理解を深めます。 本日(1月13日)、第1回の研究会を開催しました。 【献立1】白きくらげとあんこうのピリ辛鍋 〇和漢食材:銀耳(白きくらげ) 〇食材:あんこう、きゃべつ、水菜、ねぎ、くずきり、豆腐、まいたけ 調味料など:みりん、酒、こんぶ、だし醤油、豆板醤、ゴマ油、しょうが、ねぎ 〇食材の分析  帰経:脾、肺  体質:気虚、陰虚 〇感想など ・次男の知り合いの石巻の水産加工業者から入手したアンコウが

          第1回薬膳料理研究会

          生薬:寒性

          〇金銀花(キンギンカ):寒性、甘味、肺・胃。 スイカズラの花。 イノシトール、ロニセリン、ルテオリンを含む。 利尿、解熱、整腸作用を持つ。関節炎に用いられる。 〇髪菜(ハッサイ):寒性、甘味、脾・胃。 陸生藍藻を乾燥させたもの。 たんぱく質、ミネラルを含む。 痰を切る、利尿作用、抗ウィルス作用を持つ。 〇蒲公英(ホコウエイ):寒性、甘味・苦味、脾・胃。 タンポポの根。 コリン、ビタミン類を含む。 解熱、消炎、健胃作用があるとされる。 〇シルクパウダー:寒性、甘味、心・肝

          生薬:寒性

          生薬:涼性

          〇金針菜(キンシンサイ):涼性、甘味、肝・脾・肺。 ユリ科のノカンゾウ、ホンカンゾウの花蕾を乾燥したもの。 鉄分を多く含む。 血液浄化作用、貧血、精神安定に良いとされる。 〇薏苡仁(ヨクイニン、はとむぎ):涼性、甘味、肺・脾・胃。 イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を乾燥させたもの。 コイキセラノイド、アミノ酸、ビタミンB群を含む。 むくみ、美肌、免疫力向上に効くとされる。 〇緑豆(リョクトウ):涼性、甘味、心・胃。 マメ科のブンドウの種子。 鉄分、食物繊維を含む。 利水

          生薬:涼性

          生薬:平性

          〇枸杞子(クコシ、クコの実):平性、甘味、肝・脾。 ナス科のクコおよびナガバクコの成熟果実。 βカロテン、ビタミンB群、ビタミンC、鉄などのミネラルを含む。 疲労、視力低下の予防、美肌に効く。糖質の吸収を阻害? 〇竜眼肉(リュウガンニク):平性、甘味、心・脾。 ムクロジ科の竜眼の果実。 スクロース、グルコース、ビタミンA、酒石酸を含む。 滋養強壮作用、鎮静作用、貧血、健忘症、不眠症に処方される。 〇高麗人参(コウライニンジン):平性、甘味・微苦味、肺・脾。 ウコギ科のオタ

          生薬:平性

          生薬:熱性・温性

          ※以下の薬効については、東洋医学に基づく薬膳の書籍やサイトを参照しています。今後、少しずつ西洋医学の手法によるエビデンスについても調べていく予定です。 〇八角茴香(ハッカクウイキョウ):熱性・温性、辛味、肝・脾・腎・胃。 シキミ科のダイウイキョウの果実。 アネトールを主成分とし、精油、脂肪、たんぱく質を含む。 健胃作用に優れている。 〇海松子(カイショウシ・松の実):温性、甘味、肺・肝・大腸。 マツ科の高木チョウセン五葉松の種子。不老長寿を願って食べられてきた。ビタミンB

          生薬:熱性・温性

          五性:熱・温・平・涼・寒

          食べ物を五行の考え方で「熱・温・平・涼・寒」の5つ(五性)に分類する。体を「中庸」に整えるために、体質に合わせた食品を取ることが大切である。 寒性:水分を補い、炎症を鎮めて毒を排泄する 涼性:過度に活性化した体を鎮める。寒性より控えめだが、体を冷やす性質がある 平性:体を温めたり冷やしたりする性質がない 温性:体を穏やかに活性化する。熱性より弱く体を温める性質がある 熱性:内臓を活発に働かせ、エネルギー代謝を向上させる それぞれの性質を持つ食品

          五性:熱・温・平・涼・寒

          「五臓・六腑・五情」

          五臓 東洋医学では内臓全体のことを「臓腑」といい、「臓」には 「肝・心・脾・肺・腎」がある 五臓のはたらき 肝:「気」や「血」の巡りを良くし、「血」を蓄え、血流をコントロールする臓器。自律神経をつかさどり、「肝」が弱るとイライラしたり、強いストレスを感じたり、片頭痛や過敏性腸症候群などになりやすくなったりする。 心:血液を全身に循環させる臓器。心や感情、思考をつかさどり、「心」が弱ると動機、不眠、イライラ、口内炎などが起こりやすくなる。 脾:消化機能をすべて含む。食物を

          「五臓・六腑・五情」

          「五味調和」

          五味とは 料理に活かす五行の考え方 酸味(さんみ):酸っぱい味 苦味(にがみ):苦い味 甘味(かんみ):甘い味 辛味(しんみ):辛い味 鹹味(かんみ):塩辛い味 五味調和 五味を示す食材 参考:五味の作用 (漢方ライフ 薬日本堂株式会社HPより) 酸味 〔 収斂作用 〕筋肉を引き締め、汗や尿などが出過ぎるのを止める 苦味 〔 清熱作用 〕体の熱を冷ます 〔 瀉下作用 〕便を下して出す 甘味 〔 補益作用 〕滋養強壮 〔 緩和作用 〕痛みを止め、緊張をゆるめる 辛味 〔

          「五味調和」

          「五行」の考え方

          五行説とは 人体を含む自然界に存在するすべてのものを「木・火・土・金・水」の5つの性質に分け、この5つの全体がバランスを保つことで成り立っている、という考え方。季節、方角、自汗、色、味、体の機能・部位・臓器、感情が5つに分類される。薬膳にも応用されている。 木:樹木が成長して枝葉を延ばすように、柔軟に伸び、広がる 火:炎や火が燃えるように盛んになる 土:植物や動物が土の中で育まれるように、豊満重厚である 金:透明でさらさらとし、純粋なものを取り込んだり、守ろうとしたりする

          「五行」の考え方