HSPの筆者がPMS期間中にパワハラを受け、適応障害で休職した話②
前回の続きです。
長くて短い1ヶ月
診断書を管管理職の上司に渡した際、休むこととなった経緯について面談する機会があった。
PMSが元々あったが、仕事量が増え負担も増えたこと、通院していること、そして決定打となったAさんとの出来事について話した。
上司は理解を示してくれ、Aさんの態度について上司として相応しくないと判断をした。とても有難く、ゆっくり休んでくださいと労わってくれた。
管理職の上司、つまりこの施設のトップの人からそのような言葉をかけられ、これで正式に休んでも良いのだと安心した。
1ヶ月間の休みを貰ったので、何かしようかなと思っていたが、体がとにかく重くて最初の数日間はあまり動けなかった。
仕事を休んでいる立場でどこかに出かけたりするのはダメだ、と自分の中で思っていたのもあるかもしれない。
とにかく家に籠ってゲームしたり、寝たりしていた。1ヶ月は長いようで短く、あっという間に残り1週間となった。
今後の仕事をどうするのかについて、上司と再度面談が行われた。
仕事をしていくために
仕事に復帰したい意向を主治医に伝え、筆者自身の希望で抗うつ薬を処方してもらった。
副作用が比較的少ないという薬ではあったが、それでも食欲不振や吐き気がしばらく続いた。
体が薬に慣れてきた頃、今まで通りの8時間労働で復職した。
パワハラのAさんとはシフトが被らないように、という配慮が行われることとなった。また、PMS期間中になるべく休みになるようにと調整をして貰えた。
職場に復帰をすると、他の職員からも利用者からも良い反応が得られたので嬉しかった。あまり話していなかった職員からも労る言葉をかけられた。これまでしてきた仕事の成果を感じるような気持ちだった。
休職中にあまり動いていなかった為か、疲労はなかなか抜けなかった。薬を飲んでいてもPMSはやってきた。PMSの期間の約1週間のうちの何日かは休みになったが、それでも仕事の日は働かなければならず、再び休むことはできない、と体を動かしていた。
筆者が休職している間、職場全体でパワハラについてのアンケートが行われることとなった。筆者の手元にも郵送でアンケートが届いていたので、送った。
そのアンケート結果が出ていたので見ると、パワハラの具体的な記述がいくつも書かれており、あの時のことを思い出して胸が苦しくなった。職場でのパワハラの可視化という意義のあるものではあったが、他人の傷つきのエピソードを見ても己の傷はすぐには癒えなかった。
みんな苦しい思いをしているのだから仕方ない、ということにはしたくない。
Aさんは変わらず働いていた。パワハラが明らかになってから、多くの人から指導があったようだった。実際、筆者以外にもAさんからパワハラを受けた人は大勢いたようで、個別で上司に報告をする人がいたようだ。
それがあってか、Aさんとシフトが被った職員は、「以前よりも優しくなった気がする」と話していた。それでも、言いやすいのであろう人にはきつく言っているのを見かけたが。
身近な支援者
ある日、Bさんと話す機会があった。
Bさんとは、Aさんとよく好きなアイドルグループの話をしたり、愚痴を言い合っている人である。
BさんはAさんほどきつい言い方はせず、必要なことは理由を含めてきちんと教えてくれ、時には褒めてくれるような人だった。
以前、Aさんとのパワハラについて話をした時に、「Aさんは筆者に期待をしているから厳しくしてしまったんだろう」という意見をしていた人だ。
なんとなく、BさんはAさんと仲が良いのだろうと思っていた。
しかし、Aさんとの話題になると、衝撃的な事実が分かった。
Bさんは
「Aさんが孤立をしないように、自分だけは味方でいようと思っている」と話していたのだ。
仲が良いふうに見えていたのは、BさんがAさんに合わせていたためだった。
Aさんはその言動から苦手意識を持っている職員が多く、楽しく話が出来る人は限られている。これ以上孤立してしまわないように、自分は味方につくという立場をとっている、と話していた。
BさんはAさんの身近な支援者だったのだ。
視点の変化
Bさんからの話を聞いて、Aさんへの見方が変わった。支援が必要な人だったのだ。
Aさん自身が気づいているかはわからないが。
Aさんのこれまでの言動を振り返り、調べていくとASDの特徴に当てはまっていた。
診断を受けていないし、Aさんからの告白があった訳でもない。
だが、こう思った方がなんだか筆者の中ですっきりした。
仮に、対人コミュニケーションにおいて障害があったとしても、勤務年数の長いAさんの立場上は、部下に適切な指導をするものだ。今回の件は不適切な指導であったので、パワハラという形となった。
全て水に流した訳では無い。
行われたことに関して許していない。
それでも、Aさんと仲の良いと思っていたBさんが支援者であったのを知ってからは、利用者を見るのと同じような、支援者の目でAさんを見ることが増え、自分に余裕ができた。
訴えるかどうか?
丁度Bさんとの話をしたのと同じタイミングで上司から「今回の件は外部の機関に訴えても良いと思うが、どうか?」という話を持ちかけられた。
だが、筆者は訴えようとは思わなかった。
先程Aさんへの見方が変わったと書いたが、Aさんの事は自分の中で、「脅威的で力を持つ上司」から、「支援が必要な上司」という見方になっていた。
既に終わったこととして認識していたのだ。
Aさんがどうなろうと興味がなかったし、むしろ手間だと感じてしまい、何もしなかった。
Aさんは支援が必要な人である。
だが、自分はAさんの支援者にはなれない。
誰か別の人がAさんの支援者となれば良い。
改善するかどうかはAさん次第だ。
翌年、Aさんは異動となり、役職もなくなっていた。それだけで良い。Aさんにも生活があるし。
最後に
Aさんは異動となったが、勤務地は同じなので、今でも時々顔を合わせる機会がある。
その時は、必ずこちらから挨拶をする。筆者を見る度に思い出してくれれば良いと思っている。
この記事はパワハラを肯定するものでは無い。
自分がパワハラだと感じたらそれがパワハラだ。今回の件は職場内で終着したが、外部に訴えたって良いのだ。
最後に、パワハラで悩んでいる人がいたら、1人で抱え込まず、誰かに相談して欲しい。
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