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【詩】ハルの雨


密かに 縫い付けられた
微睡みが混ざった月灯りの下
誰もいない 駅のホームで
爽やかな 花の雨に濡れる

星が散らばった 異空間
少し時間の進みが遅いみたい

チリチリと唇にあたる炭酸を
ひとつひとつ噛み潰しては
緩やかなトキの流れに身を委ねて
いい匂いだなぁとウットリする

あの日は、皆がいたね

緩やかに解ける記憶は
鮮やかに放物線を描いて
そこらじゅうに充満してく

今はカラッポな僕らの遊び場(イバショ)は
何時までも消えない 魔法みたいだ

濃い群青の絵の具を
何度も 何度も上から塗り直した
はやる気持ちを隠すみたいに
強く 強く 上書きして

揃うことがない片道切符は
風に吹かれて どこかに飛んでった

素足に水を浸して
君の暖かさを思い出す

白いワンピース
片足を浸して振り返る君の横顔
僕の寝顔に そっと寄り添って
太陽と引き換えに 溶ける

ワンピースだけが、水の中に落ちる

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