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詩「大河の様に」


茶色い濁流が波立つ
砂の一粒一粒が ぶつかり合いながら弾ける
白い泡を吹きながら 川はうねる
沢山の感情がぶつかり合う
(それぞれが自分が正しいと信じ それぞれが己が正義だと思っている。腹の底にナイフを沈めているから 迂闊には横切れない。)

事実と真実が交錯する
過去ばかりが尊重され 今を見失う
私達の感情さえ のみ込もうとする激しい流れ
ただ流されない為に 手を差し出す
(目を背けず 真正面から向き合うことで人は人となる。)

上流の激しさが嘘の様に
下流は自然と調和している
穏やかで ゆっくりと時が流れる
そこに光は差し込む
水上が キラキラと揺らめく
その中を人魚になってヒラヒラ泳ぐ
腹の底から曝け出す
同じ人間どうしとして
手を繋ぎ 同じ時代を泳いで行く

魚は自由に跳ねていた

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