![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144873078/rectangle_large_type_2_59b39feb5a6cc21d910d950f35d49625.png?width=800)
Photo by
zakkisou
詩「蚊」
溜まった温い水から湧きでる命
あそこには生命の源が
たくさん たくさん沈んでいるのです
そうして ゆらゆらと揺れているのです
季節の熱と共に
私という個体は何十年も この世界を
生き永らえているというのに
ブルブルと小刻みに羽を震わす事も出来ない
お腹の中に痛みを抱えて うずくまっているのです
(灰色の硬い石像の様だ。)
世界は広くて自由だというのに
今日も小さく体を丸めて
その場に倒れ込んでいるのです
彼等の生命の誕生には欠かせない赤い血液
酸素を運んで燃えている赤い血液
私の鼓動で血管の中ゆらゆらと揺れている
生命の輝きと共に
ただ
今日も彼等は私の前を通り過ぎ
血を吸おうとはしなかった
(私は おそらく 生きた石像となったのだ。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?