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詩「境界線」


私は そちら側には行けない
背筋をピンと伸ばして
爪の先から花の香をさせ
肩の辺りから浅紅色の気配を漂わせる人達の中には…
空気の中に線を書く

通学電車の窓から海を見た
反射する光を自分の色にして広がっていく
また違う顔色をして波打つ
私は いつもその先へ行きたかった

電車は沢山の人間と私の重さを乗せて鈍く進んでいく
ゆらゆらゆらり
ゆらゆらり…
自分の周りにも太い線を書く

跨げば自由になれるのに
私は そちら側には行かなかった

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