見出し画像

詩「僕の地図」


今日こそ
海に僕の地図を捨てるつもりだ
流されて
何処かへ行ってしまえばいい

そう思った僕の足元に
誰かが落とした古い地図が落ちていた
泥だらけで手垢だらけの
今にも破れそうな
汚らしい地図

恐る恐る開いて見てみると
知らない国の言葉ばかりが書かれていた
様々な国の形の上に
僕の知らない国の言葉
この地図の持ち主は
短い人生の時間の中で
これだけの国を巡ったらしい

そして地図の端っこに
日本語でこう書かれていた
「自分がどうなろうと例え失おうと他の誰かの為になれるのならそれで良い。」
それは
僕のまだ知らない感情だった

僕は今まで僕の為にしか生きてこなかった

これから長く人生を歩んでいったら
こういう感情にも巡り会えるのだろうか?

僕の地図は ほぼ真っ新だ
ほとんど書き込んでいない
全てはこれからだということなのかもしれない

僕は海に捨てようとした地図を
また胸にしまった

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?