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コワーキングスペースの未来は?:アクセアカフェの利用体験記と今後の伸びしろ

ここ数年で、コワーキングスペースやレンタル会議室といったサービスが増えてきた印象がありますね。
おそらくコロナの影響でリモートワークを導入する企業が増えて、仕事をする場所は「会社」じゃなくても良くなったことが大きいのかなと思います。

自宅で勤務可能とはいえ、なかなか仕事モードに切り替えられないとか。
密を避けるために会社の近くの会議室を押さえて人を分散させるとか。
個人と企業どちらにも需要があったのでしょう。
実際にコロナ前の2019年から2022年にかけて、コワーキングスペースは2倍以上に増えたという研究結果もあります。

それはさておき!
前置きが少し長くなりましたが、今回はコワーキングスペースの「アクセアカフェ」をはじめて使ってみた感想と考察を書いてみました。

具体的には、アクセアカフェのターゲティングやプライシング、立ち位置やそれらに関する課題について個人的に考えてみたことを記載しています。
今年はサービスをただ使うだけじゃなくて、もし自分がサービスを提供する側だったら利益を伸ばすためにどうするか?を考え文章に起こすトレーニングをしたいと思っていて、それでnoteを使い始めました。
稚拙なところもあるかと思いますが、少しずつ文章力も思考力も向上させていきたいです。

ちなみに今回の筆者の使用目的はオンライン英会話とその復習です。
テレワーク目的で使っとらんのかい。でもまあ、今後はそういった用途の多様性も含めて検討することが大事になってくるのでは?というお話です。

アクセアカフェとは?

アクセアカフェはテレワーク等に使用できるコワーキングスペースです。


内装は落ち着いたカフェ、といった感じです。
めちゃくちゃお洒落というわけでもなく
かといって事務的すぎずという具合。
テーブル席、ソファ席、防音のテレワークブース、カウンター席など様々なタイプの席が用意されていて、自由に席移動OK
防音のテレワークブースに関しても、追加料金なしで使用できます

引用元:https://cafe.accea.co.jp/map/kodemmacho.php アクセアカフェ小伝馬町店


設備は、電源とWi-fi完備。今回利用した店舗はキーボードも無料貸出してました。
飲食物の持ち込みOKですが、店内に飲料の自動販売機があり(上の写真の右奥に設置されているもの)、無料で利用できるのでこだわりがなければ持ち込み不要かと。オフィスグリコやカフェごはん等のサービスを導入しているので軽食を外に買いに行く必要もなし。
ここまでぐるっと見渡して、第一印象は漫画置いてないオープンなネカフェという感じ。

あと、全席で会話も通話もOKだそうです。
(今回行った店舗は静かだったので声出しづらいなあと感じました)
印刷等もできますし、仕事環境としては悪くないかな。


アクセアカフェでできること

アクセアカフェは個人利用、企業利用の双方を視野に入れてサービス展開しているようです。

個人利用としては、勉強・PC作業・通話・オンラインミーティングはもちろん、ちょっとした休憩に使うのも全然あり!と感じました。
主に都市部の主要駅付近、ビジネス街に店舗を展開しているので、出張や商談の合間に仕事をする場所として活用しやすいと思います。Wi-fiや電源を使えるカフェも最近では多いですが、仕事や勉強で席を占領してしまうのは心苦しいですよね。
その点、専用のスペースだと心置きなく仕事も勉強もできますし
利用時間に対して料金が課金されていくので、長居することへの罪悪感もありません。個人的にはこの点が超ありがたい。


企業利用としては、全国各地のアクセアカフェ店舗をサテライトオフィスとして活用することができるそうです。
月額料金プランというものがあって、月に累計〇時間までいくら、というような料金設定になっています。時間課金制なので何人使用してもOK
店舗によってはミーティングルームもあるようなので、複数人での会議にも使うことができます。
※ミーティングルームと会議室があって、会議室のほうは予約&別途費用が必要とのこと。

引用元:https://cafe.accea.co.jp/ ミーティングルーム



アクセアカフェの利用方法

詳しい利用方法は公式ページを見ていただくとして、
まずは専用アプリ「BizSPOT」をダウンロードして会員登録(無料)。
カフェの入り口でアプリを使ってQRコードを読み込んで、料金プランを選択してチェックイン。
退室するときもアプリを使ってQRコードを読み込んでチェックアウト。
料金はアプリに登録したクレジットカードで支払われます。
アプリをダウンロードして入室というやり方は他のコワーキングスペースでもやってたりしますね。

BizSPOTはアクセアカフェ等のコワーキングスペース利用目的だけでなく、
ビジネスマッチング目的でも利用できるアプリのようですが今回は趣旨から外れるので詳細は割愛します。

話を戻して…
アクセアカフェは、カウンターでのやりとりが無いので(有人店舗ではできなくもないようですが)、無駄な時間ロスが無くて個人的にはありがたいです。
おそらく料金プランも使用用途もシンプルなので、スタッフによる懇切丁寧なプラン説明が不要なんでしょうね。
店内はフリーアクセスなので、ネカフェみたいな店側の席管理も不要。
人件費コストを極力かけずに運用できるのは素晴らしいですね。

ちなみに、Wi-fiのIDとパスワードは入室後にアプリに表示されます。
そのほかの備品についても必要に応じて説明が掲示してあるので、スタッフがいなくて困るということは特になかったです。


実際に使ってみてのメリット・デメリット

総じて、アクセアカフェを使った感想としてはレンタルスペースよりは(使用用途によっては)使い勝手がよく、コワーキングスペースとしては突出したものがないが正直なところです。

筆者はアクセアカフェ以外にもレンタルスペースやコワーキングスペース利用経験があるので、まずはそのあたりと比較してメリット・デメリットを記載したいと思います。

アクセアカフェのメリット

  1. 入会金なし、予約なしで利用可能

  2. 防音の個室ブースを追加料金なしで使える

  3. 短時間利用しやすい

まず第一に、面倒な予約なしでぱっと利用できるのがメリットかなと感じます。アプリインストール&会員登録というひと手間はあるものの、それさえ済んでしまえばふらっと立ち寄った時に使えるので、他のドロップイン(一時利用)が可能なコワーキングスペースと比較しても利用ハードルは低いと感じました。

次に、防音の個室ブースを追加料金無しで、基本的には好きなタイミングで利用できること
今回の利用目的としてはこの防音の個室ブースが必須だったということもありますが、テレワークの観点からしても、相手ありきのお仕事だと電話が入ったり、ミーティングが入ったりすることは珍しくありません。
周りに人がいる中で仕事の話をするのって、少なくとも私は若干気が引けますし、社外秘の内容はもっての外ですよね。
その点、アクセアカフェは空いていれば席を移動して個室ブースに入ることができるので便利です。
但し、音は聞こえなくとも全面ガラス張りなので中の様子は筒抜けです。

最後に、短時間利用のしやすさを挙げています。
冒頭で記載したとおり、アクセアカフェは最短15分毎の時間課金制なので、ちょっと所用で使いたい!が可能な施設です。
一時間単位で見ればアクセアカフェくらいの価格帯で、かつ一時利用可能な、お洒落なコワーキングスペースはなくはないのです。が、15分単位で使える施設は今のところ筆者は知らないです。


アクセアカフェのデメリット

  1. コワーキングスペースとしては突出した特徴がない(内装デザイン、設備、サービス)

  2. 防音個室ブース等、特殊な席の空き状況が事前に把握できない&予約できない

  3. なんか入りづらい外観(オープンじゃないから?)

まず一番目ですが、良くも悪くも必要最低限のサービス提供。Weworkのような超お洒落な空間デザインでもなく、美味しいこだわりの珈琲が提供されるわけでもなく(個人的に飲み物に不満があるわけではないです!)、異業種交流がはかられるような雰囲気もあまりない(店舗によってはあるのか?)です。
お洒落な空間で仕事したいとか、異業種交流があったらいいな、みたいな方は別のコワーキングスペースが良いかもしれません。
でも、仕事や作業をする目的ならば全く問題ない環境です。

次に、特殊な席の空席状況の確認ができないことと、予約ができないこと
これに関しては一長一短かなとも思うのですが、防音個室ブースって、使いたい人は確実に使いたいと思うのですよね。
今回の筆者はまさに防音個室ブースが空いてるなら入ろうくらいの気持ちだったので、空席状況がわかると便利だし、予約できるなら確実に利用します。
一方で、フリーアクセスなので利用者がちょっとしたタイミングでぱっと使いたいときに、外から予約が入ったから絶対使えませんだと困る訳で、そのフレキシブルさが売りと言えば売りとも言えます。
ちなみに、筆者の利用店舗はブースにかかっているホワイトボードに使いたい時間帯を書いて利用するルールでした。
そして4つあったブースで常時埋まっているのは1つか2つ。この状況ならもっと有効活用しても良いのでは?と思います。

最後に、外観がなんか入りづらい雰囲気を醸している点。
作業している人があまり外からの視線を気にしないようにという配慮もあるのでしょうが、あまりにもクローズドな外観なのでちょっと入るのに勇気がいります(私は)。
入り口付近だけでも少しオープンな明るい感じにして、内部構造の工夫でそれぞれのブースを屋外の視線からシャットアウトできるような動線にできると良いかもしれません。


アクセアカフェのターゲット

ターゲットは間違いなくビジネス利用層ではあるのですが、
コワーキングスペースとしての競合他社と比較すると、
・ノマドワーカー
・個人事業主
・起業希望者
といった層への訴求はやや弱く、
企業に所属している会社員をメインターゲットに据えている印象です。

コワーキングスペースの住所を登記住所として使えるサービスや、荷物・郵便の受け取り等のサービスは提供していないようですし、見る限りコミュニティイベントを積極的に自社開催しているわけでもなさそうです。

前述のメリット・デメリットを踏まえると、アクセアカフェは「急な(前もって予定していなかった)一時利用」に強みがあると感じたので、
・出張中のビジネスマン
・客先訪問が多いビジネスマン(営業担当など)

に利があるのではないでしょうか。

また、ビジネスマンという枠に捕らわれず、
急な一次利用ニーズがある幅広い顧客層、使用用途を検討しても良い
のではないかと。
たとえば、今や企業の採用はオンライン面接が主流になってきましたので、ビジネスマンが終業後に転職のためのオンライン面接を受ける場所としての利用も考えられます。
新卒採用面接を控える学生の利用可能性もありますね。面接前まで履歴書やエントリーシートを集中して作成する。それらを印刷する。オンラインで面接練習をする。選考の合間にオンラインの説明会に参加する。などなど。

単なるコワーキングスペースというくくりではなく、アクセアカフェが持っている設備や利点をフラットに見たときの競合は自宅、オフィス、そしてネカフェ、図書館、スターバックス?もしくはカラオケボックスかもしれない。
そういった競合と比較したときのアクセアカフェの強みから、ターゲットを設定し戦略立案すると楽しそうです。


アクセアカフェの価格設定(プライシング)

アクセアカフェの30分あたりの利用料金は、店舗によって異なりますが286円~440円。1時間換算だと572円~880円。
他のコワーキングスペースと比べてもすごく高いわけでもなければ、すごく安いわけでもないという価格帯
一方で、レンタルスペースと比較すると時間単価が安く(大体狭い部屋で700~1000円/時間くらいの単価)、ネカフェのブース利用と大体同じくらいの単価かなというところ。

この状況で、仮に単価を上げることによる売上の増加をはかるならば、私なら曜日や時間帯によるダイナミックプライシングを取り入れます。

ダイナミックプライシングとは、需要と供給の状況によって価格を変える価格戦略です。需要が高いときは価格を上げて売上高を増やし、需要が低いときは価格を下げて売上数を増やすという考え方で、 ホテルや飛行機の価格設定はこれを取り入れていて想像しやすいですね。

現在アクセアカフェの大半は8~10時から20~22時頃までの営業時間としている店舗が多いですが、アプリでの入退室管理で無人運営ができるのであれば基本的に24時間稼働も可能だと思います(※既に24時間営業している店舗もあります)。
その場合、需要のある曜日・時間帯の料金を引き上げ、需要のない(空席が目立つ)曜日・時間帯の料金を引き下げるといったダイナミックプライシングを導入することで、効率よく利益を生み出し、利用客のコントロールも可能になるはず。
カラオケでも、二次会利用や終電を逃した層を対象に(多分)夜間の部屋利用料金は高く設定されていますよね。
需要のある時間帯や曜日であれば、使いたい人は少しくらい高い価格帯でも利用するわけで、一律の価格設定ってもったいないな~と感じます。


アクセアカフェの課題

目指すべき姿を利益の最大化ととるのであれば、下記2点と感じます。
・ある程度は、どの時間帯でも空席を埋められるようになること
・取るべきところで料金を取ること(ダイナミックプライシング)

他の施設やサービスと比べても、やはり一時利用のしやすさ・ハードルの低さは売りだと感じます。特に一回利用してしまえば、二回目以降は家に帰るくらいのハードルの低さ(?)です。

なので私なら、まずは初回客を増やすための施策を考えます。
事前の下調べなしでもたどり着けるようにGoogleマイビジネスのインサイト機能を活用し、どんなキーワードで検索する人が現在集客できているのか?今後はどのキーワードを取っていきたいか?を考えることが大切ではないかと。
たとえば、「カフェ 作業」で検索したときに、アクセアカフェ出てこないんですよね…超もったいない。

初回客が効率よく獲得できれば、現在(2023年5月現在)やっている「クレジットカード登録したら30日間は利用料20%OFF」キャンペーンはとても有効ですよね。
せっかくなら30日以内に2回目、3回目と使ってみる気になるじゃないですか。
そうするとどんどん利用ハードルが下がっていくので習慣的に利用することに抵抗がなくなります。


総括

結論、アクセアカフェはちょっとした作業や仕事をする場所として、もっと幅広い顧客層を囲い込むのはいかがでしょうか、という意見でした。

正直これから出社率はまた上がっていくような気がするので、完全なリモートワーク想定の場所よりも、オフィス街や主要駅といったアクセスを活かして一時利用目的の顧客を増やしていったら良いのではないかと。
他のコワーキングスペースはどのように方向転換していくのでしょうね。
個人事業主や起業家がターゲットならそんなに影響はないのでしょうか。

私は職場から近い場所にアクセアカフェがあったので、朝の出社前の時間に勉強場所として継続利用させていただこうと思います。
したっけ!


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