やりたくないことは、できない
私は朝が苦手なのだけれど、翌日朝から予定があって、だけど起きたくないな…と思う時、起きてみると何かが起きていて(電車が遅れる、予定変更、など)、結局私の"起きたくない"は正しかったんだな、と思うことがよくある。ほかにも…この予定微妙だな、と思っていれば、それは私がcontrolできることでなくても、キャンセルされたり動いたりする。
気が乗らないことは、気を乗せなくていいこと。だからその感覚には従う…というか、なんとかなるんじゃないかな、と思う。もちろん、起きないとやばいぞ…とは思い続けるのだけど。
動けない
家族が来た。
基本的にずっと一緒に過ごすつもりだったのだが、数時間案内したところで、ものすごく疲れてしまった。
家族は、文字通り土足で私の部屋に入った。母は、私の部屋の物を壊し、勝手に座るべきではないところに座った。(境界線を越えられたというやつ)
自分の部屋に3人いるというのが、とても狭くて嫌だった。ひとりになりたかった。
Housematesにもあいさつしなかった。
自然となってしまう声の出し方が、のどに負担がかかる。stand.FMを録音しているときにはそんなこと感じたことないのだけど…musicalのために、のどは守っておきたい。
自分の声も低かった。親しいと低くなると言われたことがあるけれど、これは良くない。
何よりcode switch/persona shiftが好きじゃない。楽しい自分で接したいのだが、うちの家族はそんなノリのいい人たちではない。
暑かった。たくさん歩いた。人も多かった。
疲れたので、バスに乗りたいな…と思ったのだが、歩きたいと言われてそうした。
予想外にholidayで、お店が軒並み閉まっていた。
Lunch orderの一部がなぜか来なかった。こういう時に、来てないよ、と言わないと何のサービスもしてもらえないのが海外なわけだが、母はそうしない。私と弟が聞いて持ってきてもらった。
この場所は~と説明しても、弟について行く、が母のmottoなので、のれんに腕押ししている気分でつまらなかった。面倒を見なければならない、自主的でないところが、疲れた。
英語ができない家族にとっては、"私が出ているmusicalを見る"というだけで満足。今まで精一杯やってきて、たくさん工夫もしてきたことが伝わらないことが、私としては不満だった。
Brussels Pride Paradeのため、rainbow flagsがたくさんかかっていて素敵だと思ったのだが、家族はそのflagすら知らなかった。Coming outするつもりはないけれど、通じないんだな…とは思った。
そうして、ひととおり案内が終わり(なんたってぶるぶるは狭い)、バスに乗るころには、私はすっかり疲れていた。降りても、家族は私の数歩後ろをついてきた。家で私がトイレに直行した中、家族は外で立ち尽くしていた。
部屋に戻り、着替えて横になり、一人にしてくれ、と言ったところ、出て行った。夜はそれぞれで、ということになった。
時間を一緒に過ごそうと思うものの、体が動かなかった。
そのあと私は泣いて、少し寝た。
頭で決めない
起きて気づいたのは…私はBrugeにもAmsterdam/Keukenhofにも、行きたくないのだ、ということ。
Ideaとしてはいい。頭ではいい。だけど…やはり旅行するのは面倒くさい気分が続いている。ずっとこうだっけ…HallerbosとFloraliaには行ったけど。
Brugeを見てみたが、特に興味は惹かれない(ベルギーがツボじゃないのと同じように)。Tulipsだって見たし。
行くにしてもひとりがいい。ぞろぞろ連れて行くのは、そして話すことがないのは、苦痛だ。朝も早い。落ち着かない。母の話もおもしろくない。
すっかり忘れていたけれど、母と泊まりの旅行で嫌な思いをしたから、もうやめるという結論に至っていたじゃないか。帰省はなんで大丈夫だったんだ…?
っていうか、French class, integration, Dutch class, Musical, paper…と、休めていない気がする。私は休みが必要なのでは?
Amsterdam帰りのtrain ticketは、まだ買っていなかった。つまり私は無意識に、考えたくなかったのだ。3時間の電車が、今は面倒なのだ。
家族の面倒をすべて見る必要はない。Classはないの?と聞かれたし、母はともあれ弟は自分で動ける。ひとりにしてくれ、と言えば、帰って行ったし。
だけどなあ、と思うのは、面倒を見たいという、私の気持ちで良さでもある。私は案内するのが好きだし、家族が来ることがうれしかった時期もあったはずだ(すっかり忘れている)。
執着は手放したことだし、依存でもないと思う。突き放してもいない。
ただ…私にはできることとできないことがあり、やりたくないことは、できない、ということ。自分を守るためには、今まで無理をしていたことは、やめる必要があるということ。感情に気づくよりも先に、文字通り体が動かなくなってしまったので、そうするしかなかったんだけど。。。
Amsterdamは変更可のホテルを取っていたので、慌てて新しく部屋を取り直す。電車はしょうがないけれど、もし請求されたら、払えばいい。私にはそれだけの財力がある。自分を守るために、予定を変更することにお金を使ってもいい。それは無駄じゃない。
夜は会うつもりだけど(Mouleは食べたかった…笑)、朝は行けたら行くし、行けないなら行かないのでよろ、と伝えて寝る。せっかく来てくれたんだから、気が変われば一緒に行動してもいいのでは…とは思う。だけどやっぱりそういう気にはなれない。
状況は変わる
ここ数か月で、私は目まぐるしく変わっていた。
Musicalがあまりにも楽しく、仲間たちと時間を過ごすのも好きなのだが…長いこと一緒にいると、情が移ったり、距離を取らなくて大丈夫なのか、影響されてしまうのではないか、と不安になったり、もっと自分を開示したくなったり、自分の"past existence"を知られることでこの人たちが私を見る目が変わったらどうしようと不安になったりした。もうすぐ終わりで、私はBelgiumを出なければならない、というさみしさもあった。
そんな中、家族が来ること、案内しなければならないこと、時間を割かなければならないこと、code switchすることが面倒に感じていた。打ち上げもあるのに、翌朝Amsterdamに行くため、早く帰らねばならない。
舞台の上での仲の良さを家族に見られることも、恥ずかしかった。
反抗期を経て自分を確立する、をやり直している、みたいな??
実際のところ
Musical1日目をやってみると…前日に不安・不満になり、当日は超絶楽しく、翌日は幸せすぎて何も手に着かなかった。
その翌日…家族がやって来た。
これまでshowsをやったことがなかったから、わからなかったけれど、2日目前日の本音を言えば、のどを休めておきたいし、覚えてはいるけれど一通りrehearsalもしたい。Brugeに行って、夕ごはんまで時間を取られるのは嫌だ。showのあとの打ち上げも、翌日のtrainを気にせずに楽しみたい。Amsterdamに行かないなら…予定が被っていたものにも行ける。行けないだろうとわかっていながら、申し込んでいたのは、本音ではこっちだったからか。。。
再び泣く
翌日は、Musicalのために整えることで1日を使い、連絡を無視していた。
しばらくして見てみると、文句は来ておらず、夕ごはんも私抜きで勝手に行っていた(結局私は行かなかった)。
さすがに忙しいなら問題ないと言っていただけのことはある、私の想像はいつだって現実よりもひどい…とパターンに気づいたのも束の間、既読に気づいた母から、いつもの"助けて、見放すなんてひどい"messageが来た。
「Musicalと組織の名前は?時間は?どこに行けば?」
というものである。
私がこれだけ一生懸命やっているのに、今回の旅行の目的はこれなのに、知らないとは失礼じゃないか。前日に説明したのに、調べればわかるのに、調べもしないとは。メールも転送したのに。大事なことだから確認するね、ともっと早く言ってくれれば違ったのに。
結局私は、こうやって母に縛られてきたんだなあ、と泣くことになった。その後、insensitiveとかCassandraとかを調べて、"悪気がないけど脳の構造が違う"というのを見つけて気が休まったところで、期待していたことを書いてみた。
弟に地図や交通手段をすべて任せるのではなく、主体的に動いてほしい
私に会うこととmusical以外にも、楽しみを見つけてほしい
英語を勉強してほしい。海外に移住したいと言っているのは母本人なのだから尚更
私のmusicalや、ほかにやっていることに、興味を持って聞いてほしい
等々。
たしかにこの期待を持って失望しているのなら、それは自作自演だ。そして…私にはあたりまえにできることは、私がすごいからできるのであって、いかに私が日本を飛び抜けているかという価値を受け取ることにしよう。
と、気づいたところで、housematesと話した。
「母のそういうところ、今発見したように言うけれど、ずっとそうだったんでしょ?うちの母も物を壊すことはあるし、ホテル名を忘れることもあるわよ。でもあの年ではもう変わらない。愛情があるのなら、形が違っても、私は気にしないわ。まあ、うちの母はcoolだし、褒めてもくれたし、毎日電話したいからしてるんだけどね」
「確かに母にできないことを期待をしていたのは私。これだけ私が一生懸命やっていることを、わかってもらいたいって思った自分がいた。嫌なことは伝えてやめてもらえばいいのはわかるけど、また傷つくし、正直話もつまらない。私は母にあまり興味がなくてさ…友達だったら、友達になってないタイプなんだよね」
そして…financially independentである私は、母と縁を切ったところで、何も困らないことにはっとした。
Boundary setting
そうして、翌日Musicalが終わった後、何も言わずに突っ立って待っている家族に、私は舞台の上から叫んでいた。
「うざいんだよ。私がこれだけ一生懸命にやっているMusicalで、今回の目的なのに、組織名も舞台の名前も知らないって失礼じゃない?興味があったら調べるでしょ?」
「興味…ないわけじゃないよ。だから見に来たんでしょう?」
「ほら!本当に興味があったら、"興味あるよ!"って言うでしょう。今言わなかったってことは、そんなに興味ないのが本音なんだよ」
「英語ができないから、簡単に調べられないんだよ。旅行について来ないのはいいけど、突然無視しないでよ。最近親戚が亡くなったでしょう。こんな形で今生の別れになっても、いいの?」
「…うん。いいよ?」
と言いながら、本当に、それでもいいな、と感じている自分に気づいた。心はつながっているから、会わなくても連絡を取らなくてもなんてことないな…と。
しかし、こうやって罪悪感を刺激する形でしか、人をつなぎ留められないと思うなんてね。母の母から学んだやり方なんだろうけどさ…
「確かに期待してた。英語も勉強してほしいし、もっと興味も持ってほしいし、主体的に動いてほしいって思った。でも普通の日本人にはできないってわかった。だからもういい」
「期待しないでよ、できないんだよ。なんで頼っちゃいけないの」
「一回返事したらどんどん聞いてくるじゃない。自分で調べればわかることは聞かないで。私にも弟にも頼るのはやめて。フレームを壊われたことも、土足で部屋に上がったことも、housemateにあいさつしなかったことも嫌だった。
泊まりの旅行は無理。普通の日本人とはいたくない。母の日の花は贈るし、愛情があるのも、それぞれのやり方で気にしているのもわかるけど、頼るのはやめて」
そう、と言って家族は去って行った。
そうして舞台裏に降りて気づいた。
今まで母に怒られたときは、いつも怒って緊張して泣き出してしまって、うまく答えられなかったし、言いたいことなんか言えなかったけど、今回は何度も言い返せた。
震えず、泣かずに母と話せたのは今回が初めてだった。
Musicalのあとで、強気になっていたし、英語でずっとやった後でもあった。
すかっとした。罪悪感も後味の悪さも一切なかった。感傷的にもならなかった。しばらくして、あれも言っておけばよかった、もっといい言い方があった、と思ったのだが、これは後悔ではない。私は貴重な一歩を踏み出したのだから。
手放して愛でつながった上で、ここは無理、とboundaryを引いたとしか、私には思えなかった。
母の家の荷物を置くなと言われることはあるかもしれないけれど…私にはもう一人親もいるし、弟もいる。どうしてもなら処分する。
それくらいしか、母に使える武器はない。"住所を知っているから会いに行く"という脅しは、もうできない。
Musicalの感想とか、ほめるとか、そういうことは、一切なかったなあ、と思った。Housematesに言ったところ、
"Strange"
と言われた。うちはそういう文化ではないので(ほめない)、私は驚かないし、がっかりもしないけれど。
"無理なの"
思い出してみれば、そうだった。
高校受験で、栄養のある朝ごはんが食べたいから作ってほしい、とお願いしたときも。兄弟げんかで、言い分を聞いてよーと言ったのにうるさいで片付けられたときにも。じいじが亡くなってから、"老いて子供返りしちゃったの~わかんないの~てへ。老後の面倒見てね"を母が繰り出したときも。
母はいつもそうやって、"自分は無理"の一点張りだった。いつだって私の望みは聞いてもらえない。同じできないにしても、不安な気持ちをわかってあげる、寄り添うといった方法もあるのだけれど、もちろんこの母にはできない。頼んでやってくれた小さいこともあるけれど、こうして思い出せるくらいに、私は似たようなheart breakを繰り返してきたな…と、泣くのではなく、けろっと思い出す。
自分が馬鹿になって依存する形でしかつながれないのだろう。嫌だからやめてと言っているのに、それを聞き入れないって普通にまずい。
親鳥がえさを持ってくるのを待っているヒナみたいなんだよね…
今私が思うのは…cashをもらっておきたかったということ、何もいらないと言ったもののさすがにお菓子くらいは持ってきてほしかったこと(musical friendsに配るものがあるとステキだった)、持って帰ってもらった服をドライクリーニングに出してほしいことである。笑
この話について、少し喋りました↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?