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中高生探究活動#01 滑川寛さん 〜ファブ活動からSFCへ〜

滑川寛さん

今回は、弊社主催MONO-COTO INNOVATION参加者の中より、中高時代より学校外を拠点に自身のテーマに対する探究活動を継続してきた滑川寛さんにインタビューを行いました。

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MONO-COTO INNOVATION 2019参加時

滑川さんは、中学2年生よりファブラボ鎌倉を拠点にものづくり活動を継続しつつ、自身のテーマを学問領域との接続を考えつつより体系的に深めようと、慶應義塾大学環境情報学部(通称SFC)への進学を決意し、AO入試を経て2022年度進学しました。

ここでは滑川さんの制作物紹介に合わせて、滑川さんが継続してきた自身のテーマ探究やAO入試に挑むきっかけ、自身のテーマを探究するポイントなどについて、インタビュー内容をまとめました。

滑川さんの制作物

01:未来の楽器 〜手ルミン〜

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テルミンになりたいー! そんな夢を叶えるのが手ルミン! 手に装着すればもうあなたもテルミンに!距離センサーで地面との距離を測定し音の高さが変わります。

紹介文より

02:鎌倉観光をもっと楽しく!「カマピクト」

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人気の観光地「鎌倉」。日本全国から、そして、世界各国から、沢山の観光客が訪れます。
しかし、小道などの静かな場所が多い鎌倉。初めて来た方や目の不自由な方が行きたい場所になかなか行けず、少し困ってる様子を見かけたことがあります。
そんな方々に、「もっと楽しく鎌倉を観光してほしい」と思い、まったく新しいピクトグラム「カマピクト」を考えました。
「カマピクト」を使って、どんな方にとっても楽しんでもらえる街「鎌倉」をつくります。

紹介文より

03:「Pao」〜二人がグッと近づく楽器〜

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「Go To トラベル」も始まり、コロナウイルスが少しずつ落ち着いてきた今だけれども、「感染させてしまうかも」と思い、なかなか会えない相手も多いでしょう。
~~「Pao」は遠く離れた二人がグッと近づく楽器~~
感染させてしまうかもと思い帰省できず会えなかった祖父母と孫とで演奏したり、海外に住む友達と演奏したり。
「たとえ会えなくても少しでも一緒にいる感を味わいたい」そんな思いで「Pao」を考案しました。
会いたい誰かと「#Play the Pao」しませんか??

紹介文より

インタビュー

小林先生が「ファブラボが合うんじゃないか」声をかけてくれた

Q.どのよう流れで、SFCのAO入試に合格されましたか?
中学時代の恩師、小林先生にファブラボ鎌倉ってデジタルファブリケーションの工房を教えて頂いたのが中学2年生の時です。それ以来作りながら学ぶということで、中2〜3あたりで作りたいものをひとつ決め、そのために3D プリンターやレーザーカッターなど、どんなツールを使えば作れるか考えながら色々な道具の使い方や電子工作など学んで行きました。今のAO入試のテーマに近づいたのが高校1年生の時で、ファブ3DコンテストというものをSFCが主催していました。それは、AO入試的な意味で言うと一次試験が免除になるコンテストです。でもコンテストに取り組んだ意味としては、特に一次免除を狙った訳ではなく、やっぱりコンテストとかそういうトリガーみたいなものがないと、ものづくりのやる気が続かないので、中2から毎年応募していくことにしました。

高校1年生の時のコンテストテーマは「ファブを街に生かす」こと。デザイン思考で街の課題を解決をして、デジタルファブリケーションで作りました。課題解決のために3 D プリンターを使うことに出会って以来、3Dプリンターを社会や街に活かしていきたいと考えるようになりました。ファブで街を作ってみたい、どんどんファブを社会に進出させていきたいなって思いが生まれ、SFCのAO入試の対策を始めました。

具体的にSFCへの進学を考えたのは、中学3年生の時にファブラボ鎌倉でSFCの大学生と一緒に作業したのがきっかけです。その時にSFCのリアルな話を聞いて興味を持ち、またAO入試の存在を知りました。高校2年生の冬に志願理由書などを調べ始め、ファブとまちづくりという大きなテーマがある中で、どのようなテーマを設定しようか考えていました。高校2年生の冬から3年生の春ぐらいまで田中浩也研究室の卒論や田中浩也先生の本などを読み、情報を集めつつ、卒論や本を読む中で4Dプリンティングの研究分野にすごく興味を持ちました。4 D プリンティングをどんどん社会に生かすことで、自分のつくりたい未来が描けるということに気づき、志願理由や自由記述だとか諸々作り始めていった感じです。 

Q.どのように、自身の興味関心領域は変化していきましたか?
中学1年生の時は特に何も活動していませんでしたが、その後MONO-COTO INNOVATIONに参加し、いろいろな年代の方と出会いました。人から刺激を受ける面白さにそのころには気づいていたので、そういうものを求めてたのかなっていうのはあります。 

Q.どのようなきっかけで、ファブラボ鎌倉に出会いましたか?
小さい頃からものづくりが好きだったのもありますが、鎌倉学園(滑川さんの母校)で文化祭があった時に、小林先生が僕を気にかけてくれたのがきっかけです。学年のなかで有志チャリティーバザー的なものを行った時に、Google のスプレッドシートでクーポン券を作るなどデザイン的なことをしました。そういうのを見ていた小林先生が僕に対して「ファブラボが合うんじゃないか」と考えられて、声をかけてくれました。

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元々、僕は3Dプリンタやりたかったとかプログラミングやりたかったっていうわけではないです。先生から紹介してもらって、とりあえず一回ファブラボ鎌倉へ行ってみたらハマった、みたいな感じですね 。

「フッ軽」というか、とりあえず行ってみるかみたいな感覚

Q.小林先生から声かけられたときに「とりあえず行ってみよう」となったのは、なぜでしょうか?
小林先生を信頼していたからだと思います。MONO-COTO INNOVATION も小林先生に教えてもらいました。締切日前日か当日くらいに言われて、よくわからないけど書いてみたくらいの感じでした。フッ軽というか、とりあえず行ってみるか、みたいな感覚でした。

Q.なぜ、中2からモチベーションを下げずに、ファブラボ活動を続けられたのでしょうか?
小林先生も何人か声をかけてはいて、ファブラボにも何回か来てた友達とかいました。でも、結局みんないなくなってしまい、、残ったのは自分だけでした。100人いて1人にファブラボというテーマが刺さるとしたら、たまたま自分がそのうちの1人だったのかなと思います。フィーリングが合ったというか…そんな感じです。SFCにAO入試で受かった人たちは、みんな同じように特定のテーマや分野を持っていてかつ極めていて、それぞれの分野を熱く語れる人たちばかりですね。

Q.1つの活動を数年間をかけて積み上げて行くことは、なかなか難しいと思いますが、どのような工夫がありますか?
ファブラボ鎌倉に集う人はいつもいつも違うんです。中学2年生の頃にファブラボにいた人と大学1年生の今ファブラボで出会う人は全然違います。最初、自分がファブラボに行く理由としては、単にものづくりや3Dプリンタを使うためでした。でも、だんだんとファブラボで誰かと会うことや新たな発見を求めて行くようになっていました。自分にとってのファブラボの意味として、3Dプリンタの利用ではなく、人に会うための場になっていった気がします。

Q.意図的に探究活動を行なったタイミングはありますか?
先ほど話した通り、SFCのAO入試を考えたのが高校2年生の冬でした。それまでは本当にただ自分が楽しいことをしたいがためにコンテストに応募したり、ファブラボでものづくりしたりしていたので、、ファブラボに出会ったのは偶然な感じがするんですけど、そこからはただ自分の興味関心の流れに乗ってきた感じです。単純に趣味を楽しんでいた感じでした。 

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「自分にしか言えないこと」をもつことが、重要だと思う

Q.どのような流れで、SFCのAO入試は行われますか?
SFCの志願理由書のフォーマットに沿って、一番最初に描きたい未来を描き、その次に自分がやってきたことを書き、経験談とかからの学びを書き、そこから社会の課題感とか研究テーマの話を書き、、みたいなよくある感じで書きました。おそらく、この志望理由書が一番読まれてると思います。

Q.AO入試合格の理由はどのようなものでしょうか?
SFC入学後にAO入試で合格した友達と志願理由書を読み合うんですけど、やっぱり「その志願理由書が自分にしか書けない文章であるか」という点はすごく大事だなと思いました。データやアンケートをとって「多くの人が課題持ってるからその課題正しいんですよ」みたいな書き方する人は一定数います。でも、自分がやってきたことや経験してきたことをすごく生々しく書く、自分にしか書けないこと、自分にしか言えないことを言える人っていうことが、とても重要なんじゃないかと感じています。

Q.まだ自身のテーマを見つけていない中高生は、どのようにしてテーマを見つけたらよいと思いますか?
自分自身、元々ファブラボに興味があったというよりは、たまたまファブラボに行ってみるとビビッと刺さるものがあった、という感じです。周囲を見ても、最初に面白そうな人を紹介されるとか、何か面白いイベントに参加するとか、そういったきっかけがあることで、急に自身の興味関心が燃えていく人が多い気がします。

とりあえず僕がすごく大事にしているのは、色々な場所に行き、自分の刺さるものを見つけることです。すでに自分の中にあるものから刺さるものを見つけるより、単純に直感的にビビっときたものを探すぐらいのスタンスの方がいいのかなと思います 。

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(文章:大門・笠原)

探究プログラムやインタビューの詳細は、弊社担当までお問い合わせください。
・プログラム:https://mono-coto-program.com/
・イベント:https://mono-coto-innovation.com/
・Facebook:https://www.facebook.com/curioschool
・担当: s-daimon@curioschool.com(大門)

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