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中高生探究活動#05 中村美月さん

創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ

田園調布学園高等部1年生の中村美月さんが、日本政策金融公庫主催・第11回「創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」で最優秀賞となるグランプリを受賞しました。
「創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」とは、将来を担う若者の創業マインド向上を目的に、全国の高校生および高専生(1~3年生)を対象とした日本政策金融公庫が主催しているビジネスプランの大会です。

中村さんは、弊社のプログラムである MONO-COTO PROGRAM 基礎編および実践編を受講し、 MONO COTO INNOVATION にも積極的に参加しています。
さらに、田園調布学園では個々にテーマを見出して、自分の興味を追求し没頭する「BOTTOプロジェクト」にも熱心に取り組んでいます。

これらの探究活動やプロジェクトの経験があり、今回のグランプリ受賞となりました。

中村さんのビジネスプランとインタビュー

探究学習を経験し、グランプリを受賞した中村さんのビジネスプランとインタビューを紹介します。

ビジネスプランの概要

中村さんが実施しているビジネスプラン名は「世界の女性を幸せにする テック・ドミトリー」です。

発表資料(1)
発表資料(2)
発表資料(3)
発表資料(4)

Tech dormitory は「IT学ぶ」+「住む」=寮(ドミトリー) のことです。
中村さんは、東南アジアなどの女性が日本語を学びながらITスキルを習得できる寮を考案しました。

具体的なプランは以下の通りです。3ヶ月の期間をかけて、合宿形式のドミトリーで簡単な日本語とITスキルを学びます。参加費用は40万円で、日本企業からの奨学金や自国のマイクロファイナンスを活用する予定です。
ドミトリーを選んだ理由は、自分の経験から同じ志を持つ仲間との合宿生活では親密な関係を築くことができるからです。また、現地でのヒアリングから、東南アジアの方々はオンラインではなく対面での学習が好ましいことからドミトリーに決定しました。

中村さんはすでに、第1号のドミトリーをインドネシア首都から車で3時間程度の「バンドン」で開設に向けて動き始めています。インドネシアの現地企業や日本の企業とも打ち合わせを重ねて、現地でワークショップや説明会を行い集客をしています。

本大会では、自身の海外生活の体験を元に世界の女性の社会格差問題に着眼した点と、日本のIT人材不足を同時に解決できるという双方にとってインパクトの大きい点が評価されました。

最終発表会での中村さんの様子

インタビュー

プロジェクトについて

大門 現在のプロジェクトの体制について教えてください。

中村 1人で進めるのは難しいため、インドネシアの企業と事業パートナーとして行っています。現地での進出をサポートしている日本の企業との連携もあり、現地の企業や人々からのサポートも受けています。

大門 プロジェクトはいつ頃始めましたか?また、始めるきっかけは何でしたか?

中村 プロジェクトの構想は中2くらいからありましたが、本格的に活動し始めたのは 中3 の2学期頃です。特別なきっかけはなく、部活動もゆるかった時期で何かしなきゃなと思っていたのがきっかけです。最初はプロジェクトに対してやる気はありませんでしたが、やっていくうちに楽しくなっちゃいました。

大門 プロジェクトが楽しくなった要因は何ですか?

中村 まず、勉強をしなくていいことです。学校の授業でやる暗記や計算よりも、「調べる」学習が私には合っていました。また、正解のない問いについてを考えることやプレゼンテーションをすることが好きだったのも大きな要因です。新しいアイデアを生み出し、それを実現するための道筋を考えることが自分にとっての楽しみでした。

大門 プロジェクトを始める際は、最初にどのようなことをしましたか?

中村 最初は起業している兄に相談しました。相談したところ、「やってみれば良いんじゃないか」と軽く言われたことから、自分で調べ始めアイデアの構想を行いました。中学生の頃は、今まで家でゴロゴロしていた隙間時間を調べる時間にあてました。

大門 実際プロジェクトを進めてみて、事業と学校の両立は大変でしたか?

中村 大変です。今回のコンテストでグランプリを取る前は計画立てて進めていたからなんとかなっていました。グランプリを受賞してからは、色々な方からお話や仕事が来るので今がとても忙しいです。

大門 プロジェクトに本腰入れ始めたタイミングやきっかけは何でしたか?

中村 中3の終わりに卒業式を休んで、フィリピンに語学留学をしました。そこで、さまざまな人と出会い、異なる文化に触れました。その中で、起業しながら空き時間に語学学校に来ている人と交流をしました。この経験がプロジェクトに本腰を入れるきっかけになったと思います。

大門 今はプロジェクトにどれくらいの時間を割いていますか?

中村 平日の数時間や休日の数時間を毎日割いて取り組んでいます。特に今回グランプリを受賞したビジネスコンテストに出す際は、いつもより多く時間を割きました。

大門 どのようなモチベーションで取り組んでいますか?

中村 まず、兄と父が起業家である環境に育ったことが大きいです。家族を見ていて、起業をすることが大変であることも知っていたのでここまで継続することが出来ました。家族から直接的に「(起業を)やったほうがいい」と言われたことはありませんが、自然とこのプロジェクトに時間を割き始めるようになりました。

大門 ご家族からの支援はありましたか?

中村 インドネシアに行く時に、父親が一緒に付いてきてくれることがありました。インドネシアで過ごす際に注意することや、「当たって砕けろ」の精神・社会人としての作法も父には教えてもらいました。

大門 プロジェクトを進める中で困難なことはありましたか?

中村 現地の銀行にプロジェクトを提案しに行った時に、何度か話を聞いてもらえなかったことです。話を聞いてもらえるようになった理由は、お互いに利益をもたらす関係を見出して提案したからだと思います。また、現地に支社を持つ日本の企業との話し合いを通じて信頼されるようになっていきました。

インタビューに答える中村さん


探究学習との繋がり

大門 MONO-COTO PROGRAM と現在のプロジェクトの繋がりはありますか?

中村 失敗しても落ち込まないことは、授業で鍛えられました。プロジェクトを進める中でうまく行かないこともありましたが、その過程で楽しさを見出すことが出来ました。問題を見つけてアイデアを形にし、トライアンドエラーを繰り返す流れを授業で経験したことによって臆病にならずに済んだと思います。

大門 MONO-COTO INNOVATION と現在のプロジェクトの繋がりはありますか?

中村 学校だと授業でやるのでそれぞれで熱量の違いがありますが、モノコト(MONO-COTO INNOVATION) だとみんな本気でやっていたのが自分にとって刺激になりました。モノコトで出会った仲間とは今でも繋がりがあり、今回のビジネスコンテストでもアイデアに対してアドバイスを貰いました。

大門 BOTTOプロジェクト と現在のプロジェクトの繋がりはありますか?

中村 色々な講座がある中で、「ビジネスをつくる」講座をとっていたので紐づいている部分はあると思います。この講座では、海外でビジネスをやっている人がアドバイスをくれたので自分のプロジェクトに役立ちました。

大門 デザイン思考は役に立ちましたか?

中村 何かを検証する段階で役立ちました。最初の構想ではオンラインでの運営を想定していましたが、東南アジアの人たちで検証してみたらあまり上手くいかないことが分かりました。検証する(テストする)という部分では役に立ったと思います。

大門 中村さんのような自分から行動を起こせる人を増やすにはどのような探究学習の在り方がいいと思いますか?

中村 生徒のやる気を出す仕組みを作って絶対に授業に参加しなければならないような形にするのがいいと思います。みんな思っていることや考えていることはあるのに、雑談になって話し合いが進まないチームがあるように感じました。それは勿体無いと思うので、探究に成績を付けることで強制的に生徒のモチベーションを上げるのがいいと思います。

田園調布学園 探究学習発表会で中村さんが発表している様子


中高生へのメッセージ

大門 まだ行動を起こせていない中高生に一言お願いします。

中村 私が言える立場ではないですが、まずは何か行動を起こしてみればいいと思います。まだ、未成年のうちは「当たって砕けろ」方式で行って失敗しても大丈夫です。今はプロジェクトが上手くいっているけど以前は軌道に乗らないこともあって、でもそれは一つの思い出として捉えることが出来ています。

大門 探究の授業はどのような気持ちで臨むといいと思いますか?

中村 「調べる」ことが好きな人は、私みたいに勉強をしなくていい理由になるのでまずは真剣に取り組んでみるのが良いと思います。探究の授業時間の使い方に関しては、効率よく取り組むべきです。私が探究の授業で意識していたことは、授業時間はチームで話し合いをする時間に使ってそれ以外の隙間時間に各自で調べ作業を行うなど工夫していました。

現地で打ち合わせを行う中村さん

本記事の詳細は、弊社担当までお問い合わせください。
・プログラム:https://mono-coto-program.com/
・イベント:https://mono-coto-innovation.com/
・Facebook:https://www.facebook.com/curioschool
・担当: s-daimon@curioschool.com(大門)

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