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80年代ホラー漫画《地獄変》: 地獄=ホラーという構図


概要:


ホラー作家、日野日出志の傑作のひとつ。血の美に魅入られた作家の自叙伝。


要点(魅力):


地獄=ホラーという構図。ホラーは身近にある。


①地獄という視点が現実に置かれてる
②キーワードとグロテスクの印象
③ホラーというあり方のひとつの解

感想:


見ての通り、俺はとても明るくて爽やかでハッピーだけれども、まんだらけに行くとよく、ガロが置かれているコーナーに行くことがあった。
そして、そのコーナーには大抵、日野日出志の漫画がまとまって置かれていた。
俺は『地獄小僧』から作品を読んだけれど、やはりよく語り継がれる『地獄変』は見逃せない。
今回はホラーのひとつの解として本作をみていきたい。


①地獄という視点が現実に置かれてる


地獄の反対は天国。地獄と天国の間に現実がある。という視点はよく扱われるが、本作を読んでいると『地獄=現実』というイメージを持たされる。

それは、この作品が自叙伝形式で語られているからというのもあるだろう。

主人公が自分の家から見える光景、自分の家族、親、理想を語っていく。グロテスクというベールを剥がすと、思ったより自叙伝の形式がみえる。

だけど、他作品も読んでいると浮世離れしたグロテスクなシーンの中に、現実という土台が見えてくる。

豚、目玉、病、処刑、血、内臓、地獄、家族、戦争、死…といったビジュアルがたくさん出てきて地獄を描くが、どれも現実に存在する物体だ。


②キーワードとグロテスクの印象

上のキーワードをもう一度考えてほしい。
この地獄を描くためのグロテスクなものは、全て現実にある。

この現実にあるものが、やり方によってはいつでも地獄と変わることを教えてくれる。

つまり、本作の地獄とは現実そのものなんじゃないだろうか?

そして、グロテスクにむき出しにされた現実を突きつけられるから、読む人はホラー(恐怖)を感じるんじゃないだろうか?


③ホラーというあり方のひとつの解

楳図かずお、日野日出志、伊藤淳二。ホラーの作家たちはそれぞれの中にホラーを持っている。

ホラーのアプローチは微妙に異なっているが、目的はほぼひとつじゃないだろうか。

『人を震えさせるような恐怖を描く』。

ホラーは好きな人、嫌いな人に分かれるけれど、この違いについては正直分からない。


かつてどこかで読んだ本からの引用でまとめようと思います。

不思議な国のアリスが人々を魅了させるのは、木に穴があり、その穴の中に違う世界があり、その場合に立ち入ってしまうという禁断を侵すということの冒険心と禁忌への魅了じゃないだろうか。

日野日出志のホラーは地獄であり、グロテスクでありながら現実であり、読む人を禁忌へ魅了させる。


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