目が見えない私が『チケットぴあ』で撃沈して思うこと(2)
皆さん、こんにちは!全く目が見えないお姉さん、愛美テミスです。
視覚障害の立場から、日常のあれこれをお伝えする本コラム。今号では、昨年末全く目が見えない私が、オンラインでチケット購入サイト『チケットぴあ』を利用して、見事に撃沈したお話の続き=もう一つの時間制限について考えます。
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なんとか会員登録はできたけど…
次のステップはチケット選択です。
実はこれも目が見えないと大変な作業です。
画面が見えない私の場合、Webページを閲覧するのに主にキーボードの矢印キーを使ってページ内を移動することが多いです。とくに何のリンクなのか、何のボタンなのか判断できないときは、確認するために、目的の要素の前後を矢印キーで往き来する必要があります。(※1)
その際にフォーカスするテキストが頼りないこともしばしば。
今回もそうでした。
「本当にこのリンクで座席選択ページに進めるの?」
「選択はできたの?」
「本当に購入ページに進めるの?」
こんな感じなので不安がいっぱいです。
時間制限が大きな壁になってしまう理由
いよいよ購入手続き。決済のためのフォーム入力です。
ここで与えられた時間は10分です。
なお、フォームを構成する要素には、キーボードの「Tab」キーで移動して入力することが可能です。効率的にフォーム入力をするのであれば、この「Tab」キー操作は誰にとっても有効な手段です。
ところがです。「Tab」キーでフォーカスした時のスクリーンリーダーの読み上げが「エディット、文字入力」だけ。(※2)
これはがっかり。
なぜって、ただでさえ入力に時間がかかる視覚障害者が、この瞬間、効率的な入力方法を断念せざるを得ないからです。こうなると、前途多難が予想されます。
案の定、コンボボックスでは選択した項目のフィードバックがなく、矢印キーで行ったり来たりして確認しなくてはならなくなりました。おまけに項目を戻ろうとしたら、操作対象となるフォーカスが明後日の場所に飛んでいってしまいました。これは困りました。
そしてそうこうしていたら、あっという間に10分。また座席選択からやり直しです。(涙)
アクセシビリティの確保が必要な理由
さて、ここでの『10分』制限については、私は妥当だと思っています。人気の公演は、購入希望者が殺到するでしょうから、必要以上に長く設定することはナンセンスです。
でもそうであれば、スマートな手続きを実現する必要があると思うのですが、その対象にスクリーンリーダーユーザーは、やっぱり含まれていないのかな? と感じてしまいます。なんだか悲しくもあります。なぜって、それは公演をする主催者の利益にも反しているはずだからです。
私たちは、公演に行きたくてもチケット購入が困難だからあきらめる。主催者は来てもらいたくても、なかなかチケットを買ってもらえないから、別の手段を考えなければならない。とても非効率だと思いませんか?
おわりに
本コラムの内容は、2023年12月上旬時点のものです。したがいまして、必ずしも現在の状況と同じではないことをご承知おきくださいませ。というか、同じではないことを願っています。
実は今回、他サイトも試してみました。ところが、会員登録すらできませんでした。ですので、チケットぴあを責めるつもりは全くありませんし、この状況で責めることはできません。むしろ、チケットぴあだからこそ、ここまで到達できたのです。
でも私は、もっとラクにチケットを買いたいです!
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