見出し画像

あー、いい人生だった、と思うには

新年ということで、今年の抱負を胸に抱いている方もいらっしゃることと思います。

実際、noteでも年明けには今年の目標や計画について書かれている記事が投稿されていて、興味深く読ませてもらっている。

本日はそういった内容に関係する、いわば「人生の抱負」ともいえるような噺を一席。(←まだ新春落語の気分が抜けていない)

飲み会での話題

ドイツで働いていた当時、2019年の年末に会社の飲み会に参加した。日本風に表現すれば忘年会。ドイツなので、クリスマスイベントの飲み会だった。

僕のテーブルには5人が座っていた。国籍は4つの多国籍メンバー。その中には、ちょうどその直前に入社してきた人もいた。

一通りの会話が終わってから、何かよい話題はないだろうかと考えた。新しく入社してきた人のことも考えて、会社の内輪ネタではなくてみんながフラットに参加できるような話題。かつ、みんなの人柄が分かるようなものだったらいいな~、って考えて・・・

そうそう、前からいろんな人に聞いてみたかった質問を思い出した。


「あのさ、みんな自分が年とった時に自分の人生を振り返って、あー、いい人生だったなぁ、と思えるには、何が必要?」

日本人の会社の飲み会で聞いたら、マジで嫌がる人も出てきそうな予感がする。だけど、ヨーロッパの同僚たちはこの手の話題にいつも嫌がらずに、即座にそれっぽいことを答えてくれる。

実は、正直なところですね。予想していたのは「〇〇の経験をする」とか「〇〇を手に入れる」みたいに、「達成/未達成」という〇×方式で評価できる答えが返ってくると思っていた。

けど・・実際は違っていた

あー、いい人生だった、と思うには?

(1)イギリス人男性(50代)
「必要なのは質の高い時間かな。毎日適当な時間を過ごすんじゃなくて、心が満足できる質の高い時間をたくさん過ごすことができれば、僕は振り返っていい人生だったと思えるはず」

たしかにイギリス人の彼は、いつも気品高く、取り乱さず。時々さりげなくロックやジャズの音楽イベントを紹介してくれたり、歴史についての興味深い音声配信番組を教えてくれたり。私生活でも落ち着いた上質な時間を過ごしている様子が窺える。なるほどの答えだった。

(2)ドイツ人男性その①(40代)
「自分が大事だと思っていることを、それぞれバランスよく楽しむことが必要だな。僕が大事だと思っていることは「友達」「家族」「自然を楽しむ」「旅行」の4つ。その際に大事なことは、「時間を正しく配分すること」。毎日、やらなくちゃいけないことで時間が食われてしまうけど、それに流されずに自分が使いたい時間にもきっちり時間を配分する。それを積み重ねることが大切」

実際に彼はいつも、仕事が私生活の時間を侵食しないように、すごく努力している。そして家の雑事もできるだけ効率よく済ませて(家の雑事は家族との時間に含めない)、家族と大好きなアウトドアに行く機会をたくさん確保したり、家族でゆっくり過ごす時間をとっている。

それ以外でも彼は、「この週末は男子会だ!」とか言っては男友達と出かけて、山小屋で伝統楽器を演奏するイベントを開いたり、友達とヨットを共同所有して湖へヨット遊びに行ったりしている。努力の成果としての私生活の充実やね。

(3)ドイツ人男性その②(30代)
「そんなこと考えたことなかったなあ。。。仕事で言えば、顧客が悩んでいることを聞いて、それに対して自分から付加価値のある提案をして、それが採用されて、その結果を目にする。そしてその結果を見て誇らしい気持ちになる。その誇らしい気持ちがモチベーションになって、また自分を成長させて、そして更に付加価値を与えられるようになる。それを繰り返したい」

彼は比較的若くて30代半ばくらい。いつも、仕事や自分のキャリア形成(何才でどういう職務を経験していきたいか)について、誰よりも真剣に考えている人だと思う。毎日、できるだけ効率的に時間を使って最大限のアウトプットを出せるように、いつも戦略的にものごとを考えている。

(4)フィンランド人女性(40代)
自分のことを誇れるような人生を送りたい。やることを一つ一つきっちりとこなして、その成果にプライドを感じられるような体験を積み重ねていきたい」

彼女は広報・宣伝関連の仕事をしていて、仕事の一つ一つが彼女の作品のようなもの。特に広報・宣伝の仕事は自分ひとりで作るものではなく、職場やエージェントの人たちと協力しながら進める。彼女は一つ一つきっちりと仕事をして、そんな姿勢を通して彼女はみんなから信頼を得ていた

自分で自分のことを自信をもって評価できる

という感じで、ヨーロッパの同僚たちから返ってきたキーワードは、『質の高い時間』『バランス』『付加価値、誇り』『プライド』という、いずれも数字や達成度を評価するのがむつかしく、主観的に評価する性質の答えだった。

みんな社会常識として「質が高いとは何か」「誇れるとは何か」といったことに対して、自分なりにはっきりしたイメージを持っているはず。僕も聞いていて、彼ら/彼女らが言わんとしていることは分かる。

自分で自分のことを自信をもって評価できる、そして自分の評価によって満足できる、大人な人たちだなぁ、という印象だった。

自分の考えをテーブルの上に置いてみる

そうやって、自分で自分の満足を得られるっていうのは、健全で良いことだと思う。

同時にその時に思ったのが、そういったみんなが背景として持っている思いや思想って、言葉にしてもらって聞かないと分からない。聞けば「あ~、なるほど、この人はそういう人生を目指しているのか!」と分かるんだけど。

更に、彼ら/彼女らの考え方を聞くことで、僕自身の「あー、いい人生だった、と思えること」を考えるにあたっての大きな学びにもなった。

ついては一歩踏み出して、そういった考えを言語化できる人は、自分の中で抱え込まずにオープンにしてみてはどうだろう。

例えば、友人に
例えば、noteで

例えば、自分が理想とする人生はどんなものか、について。
例えば、自分が理想とする社会はどんなものか、について。

すると、思いもかけないコメントがもらえたり、視野が広がったりして、自分の考えをより良いものへ進めるヒントになることもある。

また逆に人の考え方を聞くことで、具体的なイメージが湧くと、ああ、そんな人生もいいなあ、とインスピレーションが湧くることもあるだろう。

そうやって自分の考えを周りにオープンにすることを、よくドイツ人たちは「テーブルの上に置いてみる」と表現していた。すると不思議と慣性を得て、自然にものごとが転がって進み始める、ということをよく経験した。

僕にとっての「いい人生だったなあ」

ちなみに僕の理想とする人生。それは、抽象的なレベルで言えば、以下の5つの要素に集約される。

■「共感」「繋がり」「成長」「貢献」「信頼
 →これらの要素をたくさん感じられること。

それをもう一歩具体的な内容に落とし込んでみると、以下の領域をバランスよく大事にしたいと思っている。

■「家族」「友人」「自分の好きなこと

これらは、いずれも僕の中では上記の「共感」「繋がり」「成長」「貢献」「信頼」の5つの要素に繋がっているもの。だから、これらについてはきっちりと自分の人生の時間をかけていきたい

「自分の好きなこと」をもう少しブレークダウンしてみると、その一つが異文化に関係することについて学んだり人に聞いてみることだったり。またはよく知らない国へ旅行に行って、現地の人たちに話を聞くことだったり。

そうやって学んで、ヘー、面白い、って思ったことをnoteに書くことも、自分の好きなことの一つ。そういった記事を書いて、読んでもらって、コメントを頂いたりすることは、いずれも僕の中では「共感」「繋がり」「成長」「貢献」「信頼」に繋がっている。noteで投稿している人たちには、この感覚を理解してもらえるのではないでしょうか。

ということで、僕は自分の時間と能力の範囲内で、上記の5つの要素に繋がることに自分の時間を割ければそれで良い。それが僕なりの「あー、いい人生だった」と思えることなんだと思っている。

*この話題と少し関係するのが、以前投稿した「インド人による幸せ講義」

理想の社会への第一歩

ということで、みんなで「あー、いい人生だった」と思えることを言語化して、テーブルの上に置いて見える化する。そうやって、お互いに建設的な刺激を受けながら、みんなで一緒に考える。

そういった動きによって、みんなで一緒によりよい人生へ、そしてよりよい社会へ近づいていけるかも。

そう、例えばあなたが「あー、いい人生だった」と思えることを言葉にしてnoteで発信することは、社会全体がより幸福に満ちたものに近づいていく第一歩になるかも知れません。

by 世界の人に聞いてみた

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?