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これからの「働き方」を考えるための ハンナ・アレント『人間の条件』Zoom読書会 7/12後記, 7/19告知

執筆:ぬま(ビジネスパーソン)

去る7/12に第11回を開催しました。
いよいよ「第三章 労働」もあと2節となりアレントの筆も乗ってきましたw
今回は、第16節「仕事の道具と労働の分業」を読みました。
この読書会も次回でシーズン1が完了ということで、議論も盛り上がりました!

印象に残ったところ

したがって問題は、個人の消費が、無制限な富の蓄積にたいしてどのように調子を合わせていくかという点にある。(『人間の条件』185頁)

「消費は個人の自由じゃないの?」と思いますが、そうではないというのはある意味で個人の自由を奪っていることになるので、何とも衝撃的だと思います。身近な例でいえば、「地域振興券」や「Go To トラベルキャンペーン」なんかは完全に「調子を合わせる」ための政策ですよね。
経済が成長するためには生産が伸びると同時に消費も伸びないといけないわけですが、そうするといずれ本当に必要なもの以外も買わないといけなくなります。みなさんの中にも「世の中のために消費しなければ」というプレッシャーを感じている方がいらっしゃるのではないでしょうか?
生産は疲れますし消費は消費で疲れるので、生産と消費以外の時間も大切にしたいと思いました。

私たちは、自分の周りにある世界の物をますます早く置き代える欲求にかられており、もはや、それを使用し、それに固有の耐久性に敬意を払い、それを保持しようとする余裕をもっていない。私たちは、自分たちの家や家具や自動車を消費し、いわば貪り食ってしまわなければならないのである。(『人間の条件』187頁)

家を買いかえる方は少数派な気がしますが、自動車はいつか買いかえますよね。環境規制が厳しくなり「環境に配慮した」自動車がどんどん出てきますが、環境規制も生産と消費が活性化するための政策ではないかと思います。身近な例で言えば、服や靴は長く使えたほうがよいように思う物についても、市場がどんどん買い換えるよう働き掛けてきているように感じます。小さい頃から教えられてきている「物は大切にしましょう」という教えと、私たちの生きている社会のシステムが、矛盾しているかのようです。
私たちのモノに対する向き合い方が、経済成長という外的要因によって影響されているわけですが、消費以外の仕方でモノに向き合う方法にはどんなものがあるのか、これから考えていきたいと思います。

次回予告

次回は7/19(日) 14:00~17:00に開催します。
「第三章 労働」の最終節となる「第17節 消費者社会」を読む予定です。

以上

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