市場に芽吹く春〜根芋の和風ピクルス
天気の良し悪しや自然現象のありようで、
ひとの心は大きく揺らぐものだそうで。
アメリカのあたたかい地域に住む友人のところに、イギリス在住の親戚の方が、
冬の間長く逗留されていると聞きました。
寒くて曇りや雨ばかりのイギリスでは、
天気のせいで実際に鬱になってしまう人がたくさんいるそう。
あちこちで明るい方へ、元気な方へ、力強い方へと向かう春。
毎日良いことばかりじゃないとしても、
ずっと俯いているのは勿体無いよ、
と前に向かせてくれるような季節です。
人間は、どの季節も楽しめる術を身につけてはいるけれど、
他の生き物と同様、太陽の力で生かされているのは間違いないのでしょう。
幸い日本では、
寒い頃には顔がぱりんぱりんに乾くほどに
(これは、歳のせいかも^^;)
からっと晴れて空気も澄んでいる日が多いから、イギリスよりも心には良い状況なのだとか。
昨日、今日のすがすがしい晴れに、
何度も空を見上げては嬉しさこみ上げます。
それに加え、
こんなに寒さ厳しい日が続いていても、
もう市場にはこごみ、たらの芽にふきのとう、と
走りの春野菜や山菜、花たちがずらりと並んでいました。
正月を過ぎてしばらくすると毎年見られる光景ではありますが、
やはり眺めているだけで、勢いや活力ををもらえるような気さえしてきます。
冬らしい温かい料理でからだをポカポカとあたためながら、
こうした春の素材を目で楽しみ、あれこれ仕込んでは味わいつつ、まだ見ぬ春を待つ。
なんていうのも
心身ともに寒さに負けず、
元気でいられる秘訣のひとつかも。
そんな芽吹きの勢いに惹かれ
この根芋を仕入れて帰りました。
千葉のものが多いようで、
スーパーなどでは滅多に見られないけれど、
近隣の市場や直売所などでは冬から春にかけ
割と頻繁に出会えています。
里芋の芽の、若い時期のもので
切り口はずいきとそっくりですが、
日に当たらず育てるので、真っ白。
あくが強いのも春野菜らしくて、
うれしくなりました。
ずいきは酢を入れた湯で下ゆでしますが、
根芋は大根おろしをたっぷり入れた湯で。
ちょっともったいないようだけれど、
きれいにあくが抜けて白く上がります。
かための下ゆでが済んだら、和え物にしても美味しいだしで煮含めるもよし、揚げても炒めても。
茹でただけならシャリシャリ、
煮込めばトロリン。
スポンジのように旨味をしっかり吸い込んでくれるのが、根芋の美味しさ。
冬野菜に根芋などの春野菜を合わせ、ポリポリ頂く和ピクルスを漬けました。
昆布のだし風味で気持ちマイルドに。
手前左側が、根芋です。
*春野菜の和ピクルス レシピ
1、今回漬けたのは、かためにに下ゆでした根芋のほか、大根、ニンジン、キュウリ、アスパラ、長芋、ミニトマト。
漬物にできる野菜ならなんでも大丈夫です。
食べやすく切り分け、全て塩少々でもみ、水気を切っておきます。
2、昆布を浸した酢1/2~1カップ、水1カップ、薄口しょうゆ大さじ1、塩小さじ1、しょうがシロップ大さじ4(なければしょうがのスライス4枚、はちみつ大さじ4、ゆずの皮少々)をすべて鍋に入れてひと煮立ちさせます。粗熱を取ったら1、の野菜を漬け込み、4時間くらいからいただけます。
お酢はお好みで少なめでも。その場合はサラダのような感じで、早めに召し上がってください。
今日、日本海側にお住まいの先輩から、
門柱や柵や植栽、至る所に縦長のアイスクリームのようなかたちの雪が積もった写真が届きました。
見渡す限りの白に覆われた美しい写真に見惚れ、可愛らしい積もり方だなと感じ入る一方で、
除雪の大変さの他にも路面凍結など、
今年は特に心配も募ります。
今のところ、住んでいる地域に雪は降っていない我が家の辺りも、
何年かに一度、ドカンと降ることがあり
防寒着を重ねて家の前の道路にダイブするなど
数日はそんな唐突の非日常を楽しむものの、
慣れていない私たちは、たちまち自然に翻弄されてしまうのが常です。
以前も、雪の降る日に恐ろしい目にあったことがありました。
幹線道路はほぼ普通に走れたので、その調子で、
ノーマルタイヤを履いた車で高台の住宅街にあるパン屋さんに赴いたら、
帰りの下り坂で、突如ギュギュギュ…とタイヤが鳴りはじめ、
なんとブレーキが殆んど利かないまま、ただ坂を落ちてゆく…という事態に陥りました。
合流する大通りに車がいたら、どうなっていたのか…((((;゚Д゚)))))))
自分の恥ずべき経験不足と、雪国ではありえないほどの大雪に対する脆弱さが、痺れる程に身にしみることになりました。
あたたかさとともに希望を連れてきてくれる春。怪我などなく、早くほんものの春が訪れてくれますように。
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