見出し画像

国内/世界を変える取り組み【v.08 社会の希望】

CUCグループとして発表した「サステナビリティレポート2023」
全60ページにわたる本レポートをより深く、よりわかりやすく知っていただくために、レポートの見どころをシリーズでご紹介しています。

今回は第8回、CUCグループが創る「3つの希望」から社会の希望を創出した事例をご紹介します。

社会の誰ひとりも取り残されることなく良質な医療を享受できること。子どもたちに誇れる社会であること。国内はもちろん、国境を越えて社会の希望に対して行った、私たちの取り組みの一部をご覧ください。

社会の希望を創る。その背景にある課題

増大する社会保障費 削減の鍵を握る在宅医療の普及

日本の医療費は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年に一時的に減少しましたが、翌2021年にはその反動で再び増加し過去最高を記録。2040年には約78兆円まで拡大が予測(※1)されています。医療費抑制のため国が注力しているのは、病床数の削減と入院医療から在宅医療への移行です。CUCグループは、医療機関向けの経営支援サービス(※2)、ホスピス型住宅や訪問看護ステーションの運営を通じて、在宅医療の普及を促進し、社会保障費の抑制に寄与します。

※1 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省 2018年5月「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」
※2 経営戦略策定・経営管理支援、マーケティング支援、人材派遣、IT・経理・総務 等支援、人事・採用機能支援等、新規クリニック開設支援、病床転換支援、M&A・PMI(Post Merger Integration:事業
承継後の統合プロセス)支援等

出典:厚生労働省「国民医療費対国内総生産比率の年次推移」1954~2021年。

患者視点の医療を海外に広め、
誰もが良質な医療にアクセスできる世界に

経済成長が著しい東南アジアでは、ライフスタイルの変化から生活習慣病患者が増え、健康意識・医療需要が高まっています。しかし東南アジア諸国の公的医療費は先進国と比較して少なく、2020年時点での国内総生産(GDP)に占める医療費支出は主要先進国(G7加盟国)の13.3%に対し、平均4.4%台。各国の医療提供体制は十分とは言いがたい状況です。CUCは、世界に先駆けた超高齢社会であり健康寿命大国(※)である日本で培った患者視点の高品質な医療を海外に広げるべく事業を展開しています。東南アジアを皮切りに、世界各国で「医療という希望を創る。」の実現を目指します。

※出典:世界保健機構(WHO)「世界保健統計2023年版」

出典:Global Health Expenditure Database「Key Statistics2020」
※G7平均は、日本を含むG7加盟国の平均数値を示す


CUCホスピス

医療依存度が高い人たちの「希望」を再生する場所へ。
ホスピス事業「ReHOPE」ブランドリニューアル

がん末期や難病患者の方のためのホスピス型住宅および訪問看護・訪問介護事業を運営するCUCホスピスは、2023年6月に事業ブランドを「ReHOPE」にリニューアルしました。
その背景には、私たちのサービスが世の中に必要とされる切実な社会背景があります。多死社会の到来により、多くの人の看取り場所が不足する(※1)中で、特にがん末期や神経難病の人たちは「適切な場所で終末期医療を受けられない可能性がある」と言われています。国内におけるがん・難病患者数は569万人に達する(※2)にも関わらず、医療依存度の高い人に対応した終末期医療の受け皿は不足しており、早急な整備が求められている状況です。こうした背景から、病と共に生きる方々が「前を向いて」生きられるホスピスを世の中に広めていくという決意を込めてブランド名変更に至りました。私たちは「ReHOPE」を通して、もう一度自分らしい人生に希望を持てるサービスを全国に広めていきます。

※1 下記グラフ 死亡場所別・死亡者数の将来統計より
※2 がん患者数約466万人「令和2年患者調査(確定数)の概況」(厚生労働省)と指定難病患者数103万人「令和2年度衛生行政報告例の概況」(厚生労働省)の合計より

※出典:中央社会保険医療協議会「2011年わが国の医療についての基本資料」 ※2007年までは「人口動態統計」、2008年以降は「将来人口推計」に基づき、推計

「希望を取り戻す場所」としてのホスピスを
日本へ、世界へ広めていくために
本へ、世界へ広めていくために私たちは、重い病気を前に、戸惑い悲しむご本人やご家族を孤独にせず、少しでも前を向けるようお手伝いをしていきたいと考えています。そのために「どんな生きるにも向き合い、希望が生き交う場所を日本に、世界に、広めていく。」というビジョンを掲げ、全国にホスピス事業を展開しています。ReHOPEでは、「好きなものを食べたい」「季節を感じたい」「家族やペットと過ごしたい」といったその人らしい願いを、スタッフが「看護×介護」という高い専門性に基づき、チームで支え実現しています。「希望を取り戻すことができる場所」としてのホスピス型住宅を、この国の当たり前にするために。新しい「看取り」のリーディングカンパニーとして、今後もたゆまぬ挑戦を続けてまいります。

株式会社シーユーシー執行役員
株式会社シーユーシー・ホスピス代表取締役社長
井上正明


CUC 在宅事業部

医療機関・薬局・介護施設を繋ぐ
ポリファーマシー改善プロジェクト

ご高齢の患者様は同時期に多くの薬を併用する傾向にあり、副作用による有害事象を引き起こす「ポリファーマシー」がかねてより問題視されていました。また、医療費が増大し続ける日本にとって過剰な薬剤処方はさらなる財政逼迫に繋がります。患者様にとっても社会にとってもポリファーマシーの改善はメリットがあるものの、薬を減らす行為は患者様の不安につながるため、適切な医療者からの説明と社会的な啓蒙が必要とされています。

こうした課題の解決に挑戦すべく、CUC医療支援プロジェクトでは、ご支援先である医療法人社団平郁会の医師と連携してトライアルを繰り返し、2022年11月より平郁会、地域の薬局、介護施設と連携したポリファーマシー改善プロジェクトをスタートしました。

平郁会の患者様の中で、厚生労働省が作成している「高齢者の医薬品適正使用の指針」に記載のある「高齢者に投与すべきではない薬剤」、「できるだけ控えるべき薬剤」を服薬している方に対して、医師および担当薬剤師から減薬や薬剤変更の提案を行う取り組みです。今回の成果とノウハウをもって、今後はさらに多くの医療機関に対して薬剤処方の適正化を提案していきます。

DATA
介護施設A拠点における取り組み成果
対象症例:53名
うち減薬につながった症例数:21名
5剤以上服薬する患者様の割合
取り組み前:71.7% →
 取り組み後:67.9%
※集計期間:2022年12月~2023年3月

減薬の支援を通して、より良い在宅医療の実現をめざす

ポリファーマシー改善プロジェクトは、CUCがめざす「より良い在宅医療の実現」に向けた取り組みのひとつとして始まりました。日頃から多剤併用が引き起こす患者様の健康への影響に課題感を持っていた平郁会と、その連携薬局、介護施設、そしてCUCがチームとなり、患者様のQOL(Quality of Life)向上をめざして取り組んだプロジェクトです。CUCはプロジェクト管理や分析を担当し、医師・薬剤師・介護職員と情報連携を密に行いながら、円滑にプロジェクトが進むよう伴走しました。約半年のプロジェクト期間を 振り返ると、減薬につながる薬剤や意思決定プロセスの傾向が見えてきています。今後は、継続的に減薬された患者様の予後をモニタリングし、減薬効果のエビデンスを蓄積していきながら、他の支援先医療機関とのプロジェクト展開も進めていく予定です。

株式会社シーユーシー在宅事業部 作山 宗男


CUC 海外事業部

世界の医療課題の解決に臨む
スタンダードな医療サービスの普及をめざして

世界の医療課題に向き合う海外事業の取り組み

2019.12 ベトナムにて病院向け 医療機関支援 開始
2020.1 インドネシアにて 透析医療機関支援 開始
2022.9 ベトナムにて「Nhi Dong 315」に投資
2023.3 インドネシアで人工透析施設の運営管理を行う合弁会社「CUC CIPTA HUSADA」設立
2023.7 アメリカにて新会社「CUC America Inc.」設立

2023 ベトナムにてかかりつけクリニック「Tokyo Family Clinic」を開設予定

世界のアンバランスな医療需要を解消するために、そして世界の人たちから必要とされる企業になるために、CUCは2019年より海外展開を開始しました。その第一歩として進出したのが、近年医療需要が急増しているベトナムとインドネシアです。
東南アジアでは、著しい経済成長を遂げる反面、医療の提供体制は富裕層を対象とする民間病院と、国や省などの公的機関が運営する公立病院に大きく二分されており、増大・多様化する中間層の医療需要の受け皿が不足しています。また、生活習慣の変化による生活習慣病の患者人口の急増が影響しており、近い将来に大きな社会課題となると想定しています。
こうした医療の不と負を解消するために、2019年12月よりベトナムで始めたのが現地の医療機関支援です。ベトナムでは、医療グループHoan Hao General Hospitalを支援先として、2023年7月現在、ふたつの総合病院とひとつのクリニックの運営を支援しています。民間の医療グループでありながら、中間所得層を対象にリーズナブルで適正品質の医療を提供することを特徴としています。インドネシアでは、2020年1月より現地パートナーとの合弁会社を通じて現地医療機関向けに透析オペレーションを支援する事業を開始。2023年3月には2社目の合弁会社を立ち上げ、インドネシアの透析治療の環境整備に寄与していきます。
また、新たな変化への挑戦として、2023年度中にはベトナム・ホーチミンにおいてCUCのベトナム子会社による総合診療クリニックを立ち上げる予定です。今後ホーチミン周辺を中心に、同様のクリニックを立ち上げ、地域の医療を支えるネットワークを構築していきます。インドネシアにおいても、今後は透析領域以外にも眼科や介護といった新たな領域での事業を展開していく計画です。
私たちの使命は、高齢化先進国である日本から予見される世界各地で起きうる医療の不と負を減らし、より良い社会の実現に貢献することです。そのために今後は、世界各国のさまざまな課題にアプローチしていく予定です。ひとりでも多くの患者様に良質な医療を届けるために、新たなスタンダードとなる医療サービスの事業モデルを構想し、世界各地で実行していきます。

株式会社シーユーシー
取締役COO 海外事業部 部長
田邉 隆通


東南アジアの医療課題に取り組む社員

言語や価値観の壁を乗り越えて
地域の方が安心して受診できる医療体制を支援したい

ベトナムの医療グループHoan Hao General Hospitalに対して、安心・安全な医療を提供するための経営支援を行っています。例えば、快適な診療空間を目指した院内のリノベーションや患者様への満足度アンケートの実施と現場へのフィードバックによる改善活動、日本の医療現場で浸透している衛生管理の考え方や5S(※)といった職場環境改善活動の実施など、医療の質を高めるための取り組みを進めています。ベトナムの医療機関に日本のノウハ ウを導入するにあたり大切にしているのは、現地で暮らす人にとって最適な医療とは何か考え抜くこと、またベトナムのスタッフが今後拡大していくベトナム事業の主体者になれるよう。ともに能力開発を進めていくことです。文化や価値観の基準が異なる前提を理解した上でコミュニケーションを密に取りながら、地域の方が安心して受診できる医療体制を支援していきたいです。
※ 5S:職場環境の維持改善で用いられるスローガン(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ) 

株式会社シーユーシー
海外事業部
三橋 咲那子

グループ初の直営クリニックを立ち上げ
ベトナムの健康寿命の延伸に貢献する

医療の品質に向上の余地があるベトナムで良質の医療を展開したいという想いでCUCグループに参画しました。ベトナムでは医療需要が増える一方、医療体制は旧来のままの部分も多く、都市部の公立病院に患者が過剰に集中するという課題を抱えています。国民の多くは高度な医療機器や優秀な医師が集まるとされる大病院を好む傾向があり、地域の民間医療機関に対する信頼性が低く、病状が悪化するまで病院に行かない人も少なくありません。 2023年開設予定の「Tokyo Family Clinic」は、CUCグループ初の直営クリ ニックとして、ベトナムで日本品質の医療提供を目指します。地域の人がちょっとした健康トラブルの際に気軽に足を運べる、新しい社会の医療インフ ラをつくりたいと考えています。CUCグループの強みであるスピード感と現場主義を大切にしながら実践していきます。

CHANGE UNTIL CHANGE
HEALTHCARE COMPANY LIMITED
Vice Development DirectorVu Manh Kha


CUC ワクチン接種推進プロジェクト

日本の集団免疫獲得に貢献した
新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援

CUCでは2021年以降、自治体や企業向けに新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の運営支援サービスを提供してきました。全国のワクチン大規模接種会場の確保から、会場における接種プロセスの設計、医療物資の手配、ワクチン接種を行う医療機関の確保、医師や看護師、運営スタッフの採用支援、人事管理サポートまで、安心安全にワクチン接種を行うための包括的なオペレーション支援を実行。2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法(※)上の位置付けが5類感染症に移行したことに伴い、支援規模は縮小していますが、社会のニーズに応えて急速に事業を立ち上げる力やノウハウはCUCの大きな強みとして定着しました。今後も国内外で人々の健康を守るサービス開発に取り組み続けます。

※感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

DATA
ワクチン接種支援契約枠数:約388万回
支援先自治体数:22都市
支援先企業数:25社
医療従事者の採用支援数:のべ8,200名以上

※※集計期間:2021年6月~2023年3月


未曾有の緊急事態に奮闘した経験を経て
これからの社会に私たちができること
 

2021年のプロジェクト始動当初は、平時にはない強烈な緊張感のもと、手探りで進めていた本サービスですが、数多くの自治体・企業のワクチン接種をサポートする中で、徐々に安定的なサービス提供体制を築くことができました。約2年間で累計約388万回ものワクチン接種機会の提供を支援することができたのは、プロジェクトに関わるメンバーが困難に負けることなく、「日本の集団免疫獲得に貢献する」というミッションに向けて前向きに奮闘する姿があったからです。日本の感染拡大抑制の一助となれたことを嬉しく思います。5類への移行により、本サービスは縮小していますが、自治体や企業の医療ニーズに対して迅速かつ柔軟に対応した経験を生かし、今後も地域や社会に貢献いたします。

株式会社シーユーシー
ワクチン接種推進プロジェクト
※2023年3月当時の部署名です
中嶋 隆太郎

一緒に「医療という希望」を創りませんか?


私たちは、一緒に「医療という希望」を創っていく仲間を求めています。

もし、CUCグループのミッションに共感いただき、「一緒に働いてみたい」「ビジネスパートナーとして協業してみたい」「話だけ聞いてみたい」などありましたら、お気軽にご連絡ください!

【CUC 採用情報サイト】 https://www.cuc-jpn.com/recruit/
【その他お問い合わせはこちら】 https://www.cuc-jpn.com/contact/


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!