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外国人労働者の現状や課題、雇用の手順を解説!

近年、外国人労働者の数は増加の一途を辿っています。人手不足に悩む経営者は「自社も外国人労働者を雇用してみようか?」と考えている方も多いかもしれません。

さらに、今後も予測される日本人労働人口の減少からも見逃せないことでもあります。当記事では、外国人労働者に関する現状からメリット、受け入れる手順まで解説します。

外国人労働者の定義や区分を知ろう

外国人労働者とは、自国ではなく、ほかの国で就労する労働者のことを指します。移住労働者や移民労働者と呼ばれることもありますが、すべての人が長期滞在者とは限りません。大きく分けると、合法就労者と不法就労者の2つに分けられます。


合法就労者

在留資格を取得し、身分・滞在目的に問題がなく、他国で一定範囲内の労働が認められている労働者を指します。


不法労働者

適切な在留資格を持たずに働く人を指します。雇用してしまうと、企業は入管法違反となってしまうため、注意が必要です。


合法就労者の区分

■身分に基づく在留資格
 永住者や日本人の配偶者、日系人など
■専門的・技術的分野
 大学教授や医師、機械工学、IT技術者など
■技能実習
 途上国の労働者が農業、製造、建設業などの技術習得を目的とした研修生
■資格外活動
 勉強を妨げない程度のアルバイトを行う留学生

外国人労働者の現状

外国人労働者の数は年々増加傾向にある

厚生労働省が発表する「外国人雇用状況」2021年10月末発表に基づいたデータを元に外国人労働者の現状を知っておきましょう。

現在、約173万人(1,727,221人)の外国人労働者が日本で働いています。前年と比較すると2,893人増加。平成19年に届出が義務化されて以降、最高値を更新しました。しかし、対前年増加率は0.2%と前年の4%から3.8ポイント減少しています。

長期的には増加傾向にありますが、前年対比からみると微減しているのは、コロナの影響かもしれません。

雇用する事業者数も

外国人を雇用する事業所数は、約28万ヶ所(285,080ヶ所)です。こちらについても過去最高を更新するも、増加率は前年10.2%から3.5ポイント減少しています。

外国人労働者が増える要因は?

1:日本で働きたい外国人とのニーズが一致

日本は戦前、労働力輸出国でした。しかし、高度経済成長期には、労働力需要を拡大させ、労働人口の伸びを吸収する構図へ転換する政策にシフトしたため、外国人労働者を導入せず、自国民を終身雇用する日本型の労働市場を形成・貿易黒字国に発展。

さまざまな経緯のなかで、日本周辺国の若者は「繁栄している日本で働きたい」という声と、労働力不足に悩む日本企業とのニーズが一致し、1990年初頭から外国人労働者が増え続けています。

現在では、産業界の声もあり「特定技能制度」などの在留資格が創設され、外国人労働者の受け入れが進んでいます。

2:処遇の良さ

外国人労働者が日本で働きたい理由としては、母国よりも高い給与水準や福利厚生が充実していることなどが挙げられます。

外国人労働者といっても出身国はさまざまです。母国の給与水準が低かったり、福利厚生が充実していなかったりする状況が当たり前かもしれません。

また、母国では就職先が少なく、競争率が高い場合もあるでしょう。母国と日本を比較して、整っている環境と判断できる処遇の良さから、日本で働きたい人が増えています。

出典:参考記事
外国人労働者が日本で働きたい5つの理由

3:キャリアアップ

キャリアアップを目的とした外国人労働者も増えています。日本では、まだまだキャリアアップのための転職は主流とは言えないでしょう。しかし、外国ではごく当たり前のことであり、アメリカなどでは積極的に行われています。

海外の日本支社への就職や、日本企業を相手にした商売のためなどのキャリア志向を持って働きたい外国人労働者も増えています。


受け入れへの課題は?


1:賃金

厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」2021年10月に基づいたデータによると、
一般労働者の年収は約307万円、外国人労働者の年収は約228万円と開きがあります。さまざまな背景があるため、単純に比較できませんが、一般労働者よりも外国人労働者の給与水準は低い傾向にあり、約80万円ほど下回っているのが現状です。

しかし、専門・技術分野の外国人労働者に限ると、約326万円の年収を得ており、高い賃金水準にあります。

出典:参考記事
令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況

2:労働条件の改善

業種や職種によっては、厳しい労働条件となっている点も課題です。特に、農業などを含む特定技能の分野では若い世代が確保しにくい職種もたくさんあり、一般労働者でも厳しいと感じる労働条件も珍しくありません。

つまり、産業が抱える構造的な問題を解決しなければ、一般労働者・外国人労働者ともに良い待遇を得るのが難しいと言えるでしょう。

3:企業負担への支援

外国人労働者を受け入れる企業への負担も対策すべき課題です。現在、外国人労働者を雇用した場合、日本語教育や通訳の手配、住まいの確保などは雇用した企業が行っています。

企業にとって、外国人労働者の受け入れは金銭的負担・人的リソースを割かなければなりません。受け入れ企業へのサポートとして、人材確保等支援助成金や外国人雇用サービスセンターなどがあります。


外国人労働者の受け入れ制度

新しい在留資格「特定技能」について

外国人労働者の受け入れを拡大するために政府は、2019年4月新しい在留資格として「特定技能」を創設しました。特定技能は、国内において人材不足が認められている分野に就労するための在留資格です。特定技能には1号・2号と扱いが異なりますので、違いを理解しておきましょう。


1:特定技能1号

特定分野において「高度な訓練などを必要としない仕事」に就くための在留資格です。多くの業種や職種が該当し、介護、外食業、農業、漁業、宿泊業、製造業などが挙げられます。特定技能1号の在留資格を取得するには以下の2つの要件があります。

・技能評価試験・技能検定3級のいずれかと、日本語試験の両方に合格する
・技能実習2号または技能実習3号を一定以上の水準で修了する

滞在可能期間
特定技能1号は通算5年まで滞在可能です。期限が終了した外国人労働者は、本国へ帰国しなければなりません。

※特定業種の人手不足が解消されない場合、法改正で滞在期間の上限が変更される可能性があります。

2:特定技能2号

「建設や造船・舶用工業分野で高度なスキルを必要とする仕事」に就くための在留資格です。

建設や造船・舶用工業は特定技能1号にも含まれています。しかし、特定技能2号を取得するには実務経験を積み、スキルを持つと認められた外国人のみが対象です。特定技能2号を取得する条件は以下のとおりです。

・特定技能1号を取得している
・班長として一定の実務経験を積んだ

上記を満たしており、建設分野検定技能2号評価試験・技能検定1級に合格している必要があります。
滞在可能期間
特定技能2号は滞在期間の制限がありません。

特定技能と技能実習の違いは?

大きな違いは「目的」です。技能実習とは、開発途上国から外国人実習生を受け入れて実習を行う制度となり、修了すると実習生は自国へ帰国します。

技能実習の目的は、日本で習得した技術を自国へ広めてもらうことです。しかし、特定技能の目的は、特定業界の人手不足を解消することとなります。


外国人労働者を受け入れるメリット

1:人材不足の解消

少子高齢化の状況にある日本では、若い世代の労働人口が減り続けています。その結果、専門知識や技術が求められる業種において、人材不足が深刻な問題です。

特に、IT業界では人材不足が顕著になっており、外国人労働者を受け入れることによって、人材不足や技術・知識の継承などの課題を解消できます。

2:海外進出やグローバル化

海外進出やグローバル化を目指す企業にとって、外国人労働者の受け入れは大きなメリットです。海外進出をする際、現地の言語や文化面などをよく理解した外国人がいると、大いに役立ちます。

最近では、永続的在留資格を取得する外国人労働者も増えてきており、リーダーや幹部として責任ある立場を任せられる人材も育成しやすくなるでしょう。

3:新しいアイデアや技術の創出

外国人労働者を受け入れると人種、文化、言語など、多種多様な価値観に触れられる環境となります。新しい価値観に触れることによって、アイデアや技術の創出にもつながるかもしれません。

外国人労働者が自国で経験してきたことや制度、持っている技術などが、経営課題の解決につながる可能性も高められます。従来と異なる価値観を持った人材を受け入れることで、新事業の展開や技術創出などを期待できるでしょう。


外国人労働者を受け入れるデメリット

1:コミュニケーション問題

外国人労働者を雇用する際、コミュニケーションがうまく取れない問題が起こりやすいでしょう。外国人労働者の中には、日本に来てから日が浅く、日本語を話せない人もいます。

そうなると適切なコミュニケーションが取れず、指示が通らなかったり、従業員同志の連携が上手くいかなかったりするおそれもあるでしょう。最初は、外国人労働者と日本人労働者の双方へのフォローが欠かせません。最初は、書面に外国語での翻訳をつけて、教育を進めるようにしましょう。


2:習慣や文化の違いによるトラブル

国によって、習慣や文化は大きく異なります。そのことが原因でトラブルに発展するケースもあるでしょう。たとえば、時間に無頓着な国籍の外国人労働者の場合、遅刻してもあまり気にしない人もいます。しかし、日本では時間を守ることを重視する傾向にあり、トラブルになるおそれもあるでしょう。

もちろん、すべての外国人労働者が母国の文化を優先した考えを持っているわけではありません。面接や試用期間中に個別の人物像や習慣や文化の違いを見極めるようにしましょう。


受け入れ手順を知ろう


1:求人募集

外国人労働者を募集する際、日本人を求人するときと同じ手順で行います。インターネットを利用した求人サービスや新聞の折込チラシ、フリーペーパーなどに募集を載せましょう。

ほかにも、大学や専門学校から外国人留学生を紹介してもらったり、ハローワークや外国人雇用サービスセンターなど公的機関を活用したりするのもおすすめです。


2:雇用契約書作成

求職者と面接を済ませ、お互いに合意できれば雇用契約書を作成します。その際、外国人労働者に在留資格があるかどうかを必ず確認してください。また、給与や業務の内容についても理解を得てから雇用契約を結びましょう。

また、雇用契約書や労働条件通知書などは必ず書面で本人に渡してください。日本人と同様に労働基準法で義務化されています。


3:就労ビザ申請

雇用契約が成立したら、該当の労働者に就労ビザの取得が必要かどうかを確認してください。外国人労働者を雇用する場合、就労ビザを持っていなければなりません。

申請は本人が行いますが、企業側も用意しなければならない書類がありますので、下記の書類を揃えておきましょう。

・採用した外国人労働者に配布した労働条件明示書
・登記事項証明書
・会社案内
・直近の決算書の写し

4:就労ビザ審査

就労ビザを申請したあとに、出入国在留管理局による審査が行われます。審査対象は、外国人労働者と受け入れ企業の両方です。それぞれの審査項目は以下のとおりです。

・外国人労働者の審査項目:学歴、職歴、素行
・企業の審査項目:企業規模、安定性、外国人労働者の雇用実績、業務内容

審査に要する期間は個別に異なりますが、平均すると1カ月程度とされています。


外国人労働者への支援

1:日本国際協力センター

一般財団法人日本国際協力センター(JICE)では、外国人労働者を対象に外国人就労や定着支援研修が行われています。主な目的は、外国人労働者が安定して日本の企業で働けるようなスキルや知識を習得することです。

研修内容としては、職場内でのコミュニケーション能力の向上、ビジネスマナー、雇用慣例などの知識を伝えることとなります。しかし、画一的な研修ではなく、外国人労働者ごとの要望を踏まえたプログラムを組み、人材育成の支援をサポートしています。


2:外国人労働サポートセンター

外国人労働サポートセンターは、日本で働く外国人労働者への人権侵害や差別の撤廃を目的としたNPO法人です。

外国人労働者が抱える労働問題への相談や、通訳・翻訳などのサポートを行っています。

ほかにも、オーバーステイ(超過滞在)や難民者の生活相談や生活支援などにも対応しています。


3:弊社のサービス

私、代表の松川が島根県出雲市にて外国人労働者を雇用して事業を営んでいます。その経験から、外国人労働者を雇用したことがない企業や外国人労働者に寄り添ったサービスを提供可能です。
オンラインを使用した日本語教育・メンタルサポートサービスを提供し、外国人労働者の負担を和らげます。

また、オフラインでの研修もあり、旅行業務取扱管理者資格を持った代表である私が、日本の暮らしを教える体験型学習も実施。オンラインとオフラインを組み合わせて、企業と外国人労働者が良好な関係を築ける環境整備のお手伝いをします。

本件の問い合わせ先:CSP株式会社 代表松川
以下からお願い致します。
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記事監修:合同会社KAKERU 寒川
問い合わせ先:info@kakeru-world.co.jp

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