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宝島に行ってきた。ワタリウマ旅記 宝島編 〜その6 海釣り〜

海釣りに同行させてもらった。
何しろ初心者なので、手とり足とり教えを受ける。

魚の餌をつけた竿を片手に、もう片方の手にはクーラーボックス。足に波飛沫を浴びながら、
見定められた場所までごつごつした岩肌を歩く。

後ろを振り返れば、雄大なイマキラ岳だ。

岩間の深い溝に向かって釣り糸をたらし、
見よう見真似で釣竿を動かしながら、
獲物が食いつくのを待つ。
正面には小宝島が見える。

魚の反応がなかったら、再び移動の繰り返しだ。足下がおぼつかず立つのが精一杯で、目の前の景色も楽しむ余裕すらなく、
その不安定さが、狩猟モードに切り替える。

「待つ 」事は、世界に対して開かれた能動的な態度なのかもしれない。そんな事をぼんやり思いながら、青の間に立ち続ける。

ある時、ビクッとした感触が手に伝わる。
リールを巻いて引き上げると一匹の餌をくわえピチピチ揺れていた。
何しろ初心者なので、ヘルプを求め、針と魚を離してもらい、クーラーボックスの中に無事収まった。

釣りの様子。

魚が餌に食いつき、
釣り糸から伝わってくる律動。
躍動する生命のパルスが人間の神経に伝わって眠っていたDNAが起こされるようだった。
同時に容赦ない太陽の光によって水分の消耗が激しく、無理せずに引き上げるも、
私にとっては十分な収量の魚と体験だった。

釣れた魚で作っていただいたお味噌汁。

無心になってほぐした白身を口に運び、
無言でミネラルたっぷりの汁をすすり続けた。
自分で釣った魚であることを一瞬忘れるくらいに一体になっていた。
いのちは頂きものである事を身をもって感じられた。

ワタリウマ。
『宝島編 その7 赤逢黒逢(アコウクロウ)』に続く。


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