夫婦。我が家の場合。~晴天の霹靂~
二人の目出産予定日が近づいたある日、
お腹の子に聞いてみた。
「いつ生まれてくるの?ママにおしえてね」
頭の中で予定日の数日前からの日めくりカレンダーを用意して、
一枚ずつゆっくりとめくっていく。
全く反応がない。
伝わってないのかな?
起きてるはずなんだけど。
予定日の数字をめくって次の日に移ろうとした瞬間、
力強くポンっと蹴った。
「・・・あ、予定日通りなのね!」
半信半疑で迎えた予定日の朝、
お腹の痛みで目が覚めた。
その後、強い痛みも来たけど、
お産は2回目なので冷静に間隔を計って、
「まだまだね」
と、痛みの合間を見計らって入院の準備。
夫が転勤先から来てくれるのはその日の夜で、
間に合わないかもしれないと思っていたが、
痛みの間隔が短くなって助産院に行った後に急に痛みが途絶えてしまったので、
いったん実家に戻ることになった。
そして、不思議なことにお腹の子がパパを待っていたかのように、
夫が到着した後に急に陣痛が強くなり、即入院。
お腹の中から予告した通り、予定日の夜に生まれてくれた。
一人目の時とは違って、あっけないほど楽なお産だった。
私も2回目だし、なによりお腹の子が上手に出てきてくれた。
女の子なので、産声も可愛い。
やれやれと思って安堵していたが、
なにか分娩室の空気がおかしい。
先生が静かに何か言っていたけど、
私にはなんのことかわからない。
よく、
「頭が真っ白になる」
というけれど、本当に目の前が見えなくなるほど真っ白になった瞬間だった。
産まれた子には、先天性の異常があったのだ。
一目見て、
「この子は一週間生きられるのかな」
と不安しかなかった。
聞いたこともない病名を告げられたが、
なにがなんだかわからない。
ほぼパニック。
私がゆっくり休めるようにその子は預かってくれたが、
ひとりになると、
考えることは、ネガティブなことばかり。
将来は真っ暗な闇の中。
この子はなにを支えに生きればいいのだろう。
のちに、同じ立場のお母さんたちと交流したことがあるけど、
子供さんが生まれたときに、生きることをあきらめようとしたと聞いた。
私はそこまではなかったものの、
ほぼ絶望の淵に追いやられていた。
眠れない夜が明けて朝になり、
病室の洗面台の前に立った途端、目の前が真っ暗になった。
意識を失って後ろに倒れてしまったらしい。
後頭部を強打して、あまりの痛さに意識が戻った。
打ちどころが悪ければ命が危なかったけれど、
幸い大きなコブだけで済んだのだ。
奇跡・・・。
生かされた私には、
その後も試練が待っていた。
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