見出し画像

ダイエットはなぜ失敗するのか? その理由は腸内環境とホルモンにあった!

『食べても太らず、免疫力がつく食事法』の 「プロローグ」公開

9月18日(金)に発売される新刊『食べても太らず、免疫力がつく食事法』の「はじめに」を公開します。

プロローグ 太ると調子が悪くなるその原因は?

 「あっ、腹筋が割れてきた……」
 あるアルバイト先の病院での当直。僕がシャワーを浴びようと服を脱ごうとした、その時でした。鏡に映る自分の腹筋にうっすらと筋肉のシルエットが!

 「何年ぶりだろう?」
 大学入学後、勉強もせずにラグビーに明け暮れ、毎日筋トレしていた時は腹筋も割れていました。しかし、外科医になり運動する暇もなく食事も不規則、そんな生活を20年以上続けてきました。

 大学病院では毎日手術の連続で、緊急で呼び出しがあることも日常茶飯事でした。ある1週間では家にいる時間が6時間しかない、なんてこともありました。そして気がつくと筋肉はなくなり、お腹とお尻にたっぷりと脂肪がつき、体重は学生時代より10㎏増加していました。

 朝起きた瞬間から体がだるくエネルギーが出ない。階段を上がる気力もなく、1階上がるのにもエレベーターを使う。睡眠不足のためにエレベーターの中で寝てしまう。エネルギーがなくいつも背中に何か重いものを背負っている感覚を持ったまま働き続ける毎日でした。

 「これはまずい」
 まず頭に思い浮かべたのは栄養ドリンクを飲むことでした。病院のコンビニには各種栄養ドリンクが揃えてあります。それを順番に試してみましたが、なんの変化もありません。次に行ったのは「疲労 改善 サプリ」とネット検索し、良さそうなものを購入しました。服用してみましたが、体にはなんの変化もありません。

 読者の皆様には信じられないかもしれませんが、万策がつきました。
 「これだけ忙しいなら、大学辞めるしかないかな……」
 奥さんにもこのままだと過労死するかもしれないから大学辞めたら? と言われていたので、6カ月後に辞めることにしました。

一冊の本との出会いで生まれ変わった体

 2019年3月のある寒い夜。家族で出かけた帰りに、次男が行きつけの古本屋に行きたいと言いました。いつもはそんなところには行かないのですが、その日はなぜか健康コーナーに向かいました。そして一冊の本が目に飛び込んできました。本の名前は『超一流の食事術』。アイザック・H・ジョーンズという人が書いた本でした。

 それほど厚さもない本でしたが、立ち読みしながら「元気になる方法はこれだな!」とピンと来ました。そしてその本に書いてあるとおりに生活を変えてみると、2週間で体調に変化が出ました。まず目覚めが良くなったこと、そして午後になると眠くなることがなくなりました。それに、吹き出物も消えました。

 「これはすごいぞ!」と思っていた時、アイザック・H・ジョーンズが日本で講座をおこなうという情報を発見しました。僕は即断で申し込みをしました。その講座の中で、腸がいかに健康に重要であるか、腸の炎症が日々のパフォーマンスに及ぼす影響、そしてその改善方法を学びました。体調不良が原因で辞職を決めた大学病院でしたが、辞める時には心身共に充実した状態となり、気がつけば起業していました。

内臓脂肪は不調のシグナル

 体は有機的な集合体です。
 体のパーツはすべて、独立して機能している部分はひとつもありません。ホルモン、伝達物質(サイトカイン、神経伝達物質)、そして多くの微生物のネットワーク(マイクロバイオーム)を介してすべてつながっています。頭が痛いから、問題のあるところは頭のみ。膝が痛いから問題があるのはその膝のみ。甲状腺の機能が悪いのは甲状腺だけに原因のすべてがあるわけではないのです。

 病気はしばしば「氷山」にたとえられます。
 氷山の見えている部分(病気として認識できる部分)はほんの一部で、本当の病気の真の原因が水面下に隠れているという意味です。

 その真の原因とは「慢性炎症」です。
 体の中に慢性の炎症があると、さまざまな部分に異常が表れます。消化吸収、ホルモン、免疫などの異常だったり、あらゆる機能不全を引き起こします。そして人によっては血圧が上がったり、脂質代謝異常が出たり、血糖値が上がったり、骨がもろくなったり、うつ病になったり、そしてがんが顕在化します。また、慢性炎症があると免疫細胞の機能が低下し、すぐに風邪をひいたりもします。

 慢性炎症を起こしている状態は血液検査をしなくては分からない、というわけではありません。
 一番簡単な確認方法は、内臓脂肪がたっぷりついているかどうか。もし内臓脂肪がたっぷりついているなら、あなたの体には慢性炎症があります。そして、その慢性炎症が原因で痩せることが難しく、太ったままになります。慢性炎症があればあなたの免疫力はあなたが本来持っている免疫力より確実に低下しています。

 2020年2月から新型コロナウイルスが地球上で猛威を振るい始めました。人々はその感染力、そして重症化率(ICU入室や死亡)に恐怖を感じました。世界中がパンデミックにパニックになる様子が連日テレビで放送され、未知のウイルスの脅威が日本を席巻しました。

免疫力も低くなり、重症化のリスクも

 新型コロナウイルス感染症では、重症化する人は高血圧、糖尿病をもつ肥満の人が圧倒的な割合を占めます。内臓脂肪がたっぷりの人は免疫機能の異常が起こっています。そのため、ウイルスに対する恐怖を常に、一生感じ続けなければなりません。

 欧米諸国の肥満率は増加の一途をたどっています。アメリカでは過体重、肥満(BMI 25以上)の割合が71.6%、イギリスでは64%でした。これらの数字が新型コロナウイルス感染症における患者数、死亡数に影響を与えたことは想像に難くありません。

 では、日本人は痩せているのでしょうか? 決してそんなことはありません。2018年の統計では20歳以上の男性の32.2%、女性の21.9%が過体重、肥満です。食生活の変化、運動不足、ストレス過多のために、今後もこの肥満率が減少していくことはありません。

 肥満はいわゆる病気の一種だと認識する必要があります。
 体には自然治癒力というものが存在します。少々食事量が多かったとしても適切なライフスタイルやストレスマネジメントができていれば自然に体が機能して、無駄に内臓脂肪をため込むようなことはありません。内臓脂肪がついている時点でなんらかの健康異常が生じていると考えることが必要です。

痩せる理論を知れば、体調も改善される

 新型コロナウイルスの影響で健康に対する関心がこれまで以上に高まっています。
 これを機にダイエットしようかなと考える人も多いでしょう。しかし闇雲に糖質制限をして一時的に痩せても、それは決して“健康的な”痩せ方ではありません。どうして単純に糖質制限をすることが危険なのか? それを理解しておく必要があります。

健康的な食事法とは?
免疫力をあげる食事法とは?

 この本では、僕が4カ月で14kg痩せて腹筋がシックスパックになった方法から始まり、腸内環境を整えた方法、がん予防の食事法、デトックス法などを説明していきます。この方法で、僕のオンラインスクールの生徒さんたちも、みな劇的な体調の改善を経験しています。次はあなたの番です。

                         2020年8月吉日 
                            石黒成治

著者 石黒 成治 (いしぐろ・せいじ)
消化器外科医、ヘルスコーチ
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がんセンター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療をおこなうヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube,Instagtam、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr.Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は7万人(2020年9月時点)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?