『私たちは子どもに何ができるのか - 認知能力を育み、格差に挑む』 ポール・タフ【とりの書店#3】
大阪府では6月から学校が再開されたため、登下校中の子どもたちの姿を見ることが多くなりました。
空が薄暗くなり家々に灯りがともしだす夕方、家の近くで「バイバイ!」という大きな声が響き渡ると、とても心があたたかくなります。少しずつ日常が戻ってきましたね。
さて、今日はとりのす書店開店日です!
とりのす書店三冊目は、ポール・タフ 著『私たちは子どもに何ができるのか - 認知能力を育み、格差に挑む』です。
今回の書店員はむーさんこと中村祐太。むーさんはこの本を読んで、何を考えたのでしょうか。
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本の概要
様々な意見があると思いますが、近年、これまで重視されてきたIQや学力などの「認知能力」よりも、継続的に粘り強く物事に取り組む力や内発的に物事に取り組もうとする意欲などの「非認知能力」のほうが、よりよい人生を歩む上で重視される傾向にあります。この本では、子どもたちの「非認知能力」がどのように育んでいくのかを、実例を交えて説明しています。
感想・論点
本書の主題である「非認知能力」はいわゆる勉強のように教えられて身につくものではなく、環境の産物であるということが述べられています。
現在アメリカでは、公立学校に通う生徒のうち過半数が「低所得者層」に相当しており、低所得者層は富裕層と比較して子どもの教育にかけられる費用も少なく、高等学校の卒業割合やその後の収入に大きな差が現れています。
この教育格差を埋めるものとして注目されているものが「非認知能力」です。非認知能力とは「ひとつのことに粘り強く取り組む力や、内発的に物事に取り組もうとする意欲」であり、最近ではIQなどの認知能力よりも人生に影響を与える割合が大きいと主張する人もいます。
このような非認知能力は教科教育のように誰かに方法を教えてもらうことではなく、子どもたちが身を置く環境からの影響によって身につくものです。良好な健康状態や、知的刺激を得る機会の存在が子どもたちの非認知能力を養っていきます。
一方で、非認知能力の発達を左右するものがストレスであり、幼少期のストレスは感情面、認知面の双方で悪影響を及ぼします。そのため、保護者及び大人たちは子どもたちが安心して過ごせる環境を用意する必要があります。
特に3歳未満の幼児期の段階が子どもの発達に大きな影響を及ぼすため、この時期にいかに子どもたちにとって、安心できて、かつ知的刺激を受ける機会を用意できるかが重要になってきます。
ただし、3歳以降でも非認知能力を伸ばすことは可能です。具体的な方法としては「ELエデュケーション」という取り組みがあります。「ELエデュケーション」とは、生徒たちがグループを作成し、数年単位で互いに話し合い、助言する機会を設けたり、長期的に取り組む課題をやり遂げる機会を与えることによって、課題を乗り越えるために前向きに挑む姿勢を育んでいったりする教育方法です。この学習テクニックはディーパーラーニングともつながっており、学力を伸ばすだけでなく、非認知能力も育成することができます。
ただ、このような教育を展開するためには、人材、資金が必要であり、貧困地域の子どもたちを育成し、格差を解決することに直接的にはつながっていないのが現状です。
まとめ
子どもたちに対して私たちができることは何か...。
その答えは「介入し、支援すること」だと思いました。経済的に不利な子どもたちに対して、良質な学校教育や親が子どもたちを手助けすること、これらが行き渡ることにより、一人一人の子どもたちがより良い人生を歩むキッカケを得ることができるのではないでしょうか。
そこで私たち大人が「非認知能力」に焦点を当て、子どもたちが安心でき、知的刺激の受けられる環境を用意していくことは一つの選択肢として大切であると感じました。
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