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『教育改革のやめ方 - 考える教師、頼れる行政のための視点』 広田照幸【とりのす書店#1】

皆さんこんにちは。インターンスタッフの濱田です。

もともと引きこもり気質だったのか、自粛生活で外出が制限されても全然ストレスがたまりません。最近は一日中好きな本を読んで過ごしています。ただ、筋力の衰えが気になってきました。運動せねば、、、。

さて、本日より新企画『とりのす書店』が開店です!

( ↑ とりのす書店の紹介文はこちら ↑ )


記念すべき1冊目は、広田照幸著、「教育改革のやめ方~考える教師、頼れる行政のための視点~」です。


この本を手にとったきっかけ

「日本の学校教育は全然だめだ!」


恥ずかしながら、つい最近まで僕は専門的な勉強を全くすることもなく、自分が過去に直接体験してきた学校教育への批判だけで、このような主張をしてきました。

しかしながら、単にそれは僕の勝手な自己満で、世の中には教育に対するもっと多様な考え方があり、より良い教育について考えるためには、たくさんの知識がいることを知りました。

そのため、僕は自分の視野や考えを広げるために「教育改革のやめ方」という自分の主張に真っ向から対峙するこの本を読むことに決めました。

また、著者の広田照幸さんが教育社会学の著名な方だったことも、僕の背中を後押ししました。

本のあらすじ


「教育改革のやめ方~考える教師、頼れる行政のための視点~」は、教育と社会の関わりを多元的な視点から考察することで、現在の多様な教育改革論(案)の対立や矛盾について、問題提起をしている本です。

加えて、行政に関わる人へ向けて、教育と政治の関連性とその問題点について述べたり、学校現場へ向けて教員の養成・研修に関する考え方を述べたりもされています。

読んでみた感想


この本は、今までの僕の考えを打ちのめしました。なぜなら、自分の教育について考えていた範囲がいかに狭かったかを思い知らされたからです。

これまで僕は教育に対して、「日本の学校教育は画一的だ!」とか、「高校や大学では、意味の分からない数式を並べるのではなくて、もっと就職したときに役に立つことを教えろ!」というように、自分が都合の悪い(と思っている)ところだけ切り取って考えていました。

自分の考えに対する反論にはまったく耳を傾けることなく、主張が同じ人とのコミュニティに安住していました。

「日本の教育は最悪だ!」
「外国の学校を見てみろよ!」
「こんな教育、早急に改革すべきだ!」

挙句の果てには、と自信満々に言ってしまう始末でした。

しかし、今の学校教育がどんな役割を担っているのか、もし今の学校教育の制度がなくなったらどんな影響が起こるのかについては、まったく考えていませんでした。

本当に恥ずかしいことに、世の中にありがちな意見を自分のもののように主張している自分に酔っていただけだったんですね。

この本では、そんな1つの立場からの考えにとらわれることなく、道徳保守主義、職業的意義、詰め込み教育、主体的学習、平等な教育機会、個人にあわせた学習機会といった様々な視点からの意見が述べられています。

それぞれの教育改革論(案)の良いところ、課題も丁寧に書かれているので、自分の頭で考え、判断するための情報や考え方を身に着けることができます。

これから


僕はこの本から、教育改革の多様な立場を知ることができました。

例えば、今までは一人ひとりの個性に合わせて小学校や中学校で好きなことをとことんやらせればいいじゃないかと思っていたのですが、もし公教育がそうなってしまうと、早期分化による不本意な学びや、家庭環境の差による教育格差の拡大が起きてしまうことを知りました。

この本を読んで、それぞれの主張にあるメリット、デメリットをしっかりと考え、自分の経験や価値観ではなく、多様な意見や考えを知ることの重要性を感じました。

これからは、もっと様々な立場からより良い教育のあり方を模索していくために、たくさんのことを学んでいきたいと思います。

また、教育の本質を知るためにも、働きはじめたらなかなか学ぶことのできない「日常にない知」「日常を見直す知」について考えていきたいと思います。

広田照幸
広島県生まれ。東京大学教育学部卒業、1995年同大学院教育学研究科博士課程修了、「近代日本における陸軍将校の教育社会史的研究―立身出世と天皇制教育」で教育学博士。
南山大学助教授、東京大学教育学部・教育学研究科助教授を経て、2006年同教授に昇進するが、直後に辞職、2006年10月日本大学文理学部教授。1997年『陸軍将校の教育社会史』でサントリー学芸賞受賞。日本教育社会学会理事、教育史学会理事、日本教育学会理事。2016年に日本教育学会会長に就任。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

次の開店日は5月25日(月)です。「 #とりのす書店 」でみなさんからの本の持ち込みもお待ちしています!

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