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ロジックで読む古典・名著

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記事一覧

福澤諭吉『文明論之概略』

◎ ポイント
 福澤が生きた当時の日本の最大の課題は、日本の独立維持のため西欧列強を中心に作られた国際秩序へ参加し、西欧の優れた文物を導入し、近代化を促進することでした。
 主権国家としての地位を確立し、国民に基礎を置いた国民国家(ネーション・ステート)の形成こそが、その参加資格とみなされていたため、そのために文明化を図っていくことが最優先で求められていました。
 したがって、福澤は「門閥制度は親

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N.マキアヴェッリ『君主論』

◎ ポイント

 マキアヴェッリが生きた当時のフィレンツェ共和国は、大兵力を有する専制君主国家であるフランスやスペイン、オスマン=トルコなどの大国に囲まれた状況下、独立を維持するために、他の都市国家との同盟や勢力均衡政策を駆使しながら、生き延びることを余儀なくされていました。
 ひとつの外交失策が国の滅亡につながりかねない緊張感の下、フィレンツェ共和国の中級官僚としての視点から、国際政治の実態を悉

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