ドタバタ米国留学記 #1 出発
はじめて一人で飛行機に乗る
1998年5月16日、成田国際空港発 → LAX (ロサンゼルス国際空港) 着のデルタ航空に搭乗し、めでたく留学先のアメリカロサンゼルスへと出発しました。
その時の座席は2列席の窓側。
当たり前ですが、一人で飛行機に乗るのでツレがいないため、隣に誰が座るのかは全くわからない状態です。
席に着くと、隣の方はまだ来ていません。
手荷物を頭上の収納棚へ入れてしまうと必要なものを取る時とても面倒なので、前の座席下に押し込み、シートポケットに挟み込んであるガイドブック?みたいなものに目を通しながら離陸を待ちます。
今の国際線の機内は、各座席に小型のモニターがついていて個人で操作できるのが当たり前ですけど、当時はこのタイプの飛行機に当たるとラッキーっていう、正面にあるひとつの大型モニターをみんなで見る時代でした。
ワタシの時もそうで、自由に選べるのはヘッドホンから聞こえるラジオくらいなもんなんです。大型モニターで映画も流れたりするんですけど、好みじゃないのだと見ませんから、到着までの9時間もの間を過ごすために、本やら雑誌やらを持参していくわけですね。
この時は、英会話の本を持って行きました。
日常会話に役立つ感じの。
到着まで時間はたっぷりありますから、機内食なんかもチェックして、仮眠を取るのは何時頃にしようか等考えたりしつつ、ザッと時間配分を計算したりしてね。
海外へ行くのははじめてではなかったので、機内の過ごし方に関しての不安は全くないんですけど、この動けない限られた空間でどう有意義に過ごすか?をものすごく思案するわけですよ。
そんなこんなで、いつの間にか周りの座席もだいぶ埋まり、ほとんどの人が着席してくつろぎの準備をしているご様子。
すると、「ハ〜イ」という声と共に、大柄の白人男性がワタシの前に姿を現しました。
このビジネスマン風のおじさんが、どうやら隣に座るようです。
マジか。
一応、「ハ〜イ」と調子よく挨拶は返しました。
でも、その後ですよ。
話しかけられたらどうしよう。
英語わかんね〜。
まずい。
これは、非常にまずい。
「限られた空間でどう有意義に過ごすか」なんて思案している場合じゃなくなりました。
「逃げられない状態をどう乗り切るか」を即行考えないといけなくなり、イヤな汗が流れる事態。
アメリカ人は、絶対話しかけてくる。
相手が話せなくても、お構いなしで。
そういう人種のはず。
( ↑ ワタシの勝手な印象です)
思いつくのは、「寝たふり」だけ。
これで9時間ももつわけないし、機内食も食べられないし、他に何か方法はないのか?と、無い知恵をふり絞ります。
トイレに行きたくなったら、これはどうにもならない。
おじさんが席を立った時に、行くしかないか?
この時ばかりは「通路側にすればよかった」と思うのですが、ワタシは窓側の席の方が好きなんです。
景色を眺められるし、壁にもたれて眠れるし、隣の人が席を立つ時にわざわざ席を立たずに済むからです。
まさか、言葉の通じない人と9時間も隣で過ごすことになるなんて。
想定外。
2列席にペアで座らないんだから、そうなる可能性大だろ?
って、なぜ思わなかったのか。
そう、これは国際線。
ガイコクジンノッテルヨ。
でもね、まさか、自分がそうなるとは思いませんよ。
だって、周辺にアメリカ人見当たらないし。
こっそり見渡してみたけども、どこにもいない。
ある意味、大当たり?
うれしくないわ〜。
と、とにかく落ち着かないわけです。
どうする?、どうなる?、そればかりが気になって、離陸もしていないのに「早く到着してくれ」と渇望する、っていうね。
待てよ。
と、ここで前の座席のシートポケットに突っ込んだ『英会話の本』が目に入るんです。
日常会話が載っているはず。
でもここでペラペラとページを開いたら、英語を勉強中とバレて、間違いなく、話しかけられてしまう。
そうに違いない。
そうだろ?
だって、アメリカ人だもの。
もう、絶望。
目の前にアンチョコがあるのに、手に取ることさえ出来ないなんて。
一体、何のために手荷物に入れたのか。
ただただ、じっと、本を見つめていました。
結局、「寝たふり」ですよ。
離陸前から、タヌキ寝入り。
眠っていないので、時折薄目を開けて周囲の様子を確認します。
で、おじさんが立ち上がった隙にトイレへ行く作戦を決行。
機内食は、食べる。
いい匂いしてきて目覚めた、みたいに起きて。
カモフラージュで、イヤホン (ヘッドホン) はする。
何も聴いてないけど。
ちなみに、機内のヘッドホンっていうとこういうの ↓ ですけど
昔のイヤホンっていうのは、聴診器みたいな形でした。
映画も見ず、ただ飛行機のエンジン音を聞き、たま〜にマジで寝て、LAXに到着しました。
長かった。
すご〜く、長かった。
なんだか、おじさんが悪い人みたいに聞こえるとイヤなのでいっておきますが、とってもイイ人でしたよ。
おじさんが立った時にワタシも立ち上がると「起こしちゃったかい?ごめんね」(←たぶんこう言ってたと思う)と気にしてくれましたし、機内食はおじさんがCAさんから受け取ってワタシのテーブルに乗せてくれましたから。
『現地に着くまでに力尽きるわけにはいかない』と決め込んで「タヌキ寝入り」をチョイスするなんて、ただのポンコツですよ。
今考えると、どうかしてたとしか思えませんね。
だって、アメリカに行くんですよ。
肝っ玉がこんなに小さくてダイジョブか?って感じですけど、現地に行ったら逃げられませんから、本番前の力を温存した、ってことにしておきます。
学校に到着して間もなく、帰国する日まで引きづるまぁまぁ面倒なハプニングに見舞われることになるなんて、この時はまだ知らないので。
つづく・・・
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みなさまのご支援に感謝します。