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ドタバタ米国留学記 #2 ロスに到着

念願叶って24歳でロサンゼルスの語学学校へ留学するものの、出発したその日から「ろくに準備もせず出国してしまったことを大いに後悔する」っていう、先が思いやられる衝撃のはじまりからの、英語まみれの授業、寮での生活、クセのある人々など、たった16週間に起きたおもしろエピソードをたっぷりと綴ります。

LAX到着

約9時間の「タヌキ寝入り」を経て、飛行機は無事ロサンゼルス国際空港 (LAX) に着陸。入国審査も順調にクリアして、出迎えの人が待っている到着ロビーへと辿り着きました。

ここには、学校のマークを掲げた人がいるはずなので、まずその人を見つけないといけないんですけど、プレートを持っている人がいすぎて、ゆっくり移動しながら探す感じでした。
ワタシと同じ感じの人が結構いるんでしょう、到着ロビーで立ち止まる人が少しずつたまりはじめます。
人が減れば探しやすいだろうと、自分はあえて動かず動向を見ることにして、周りを眺めていたところ、ふと思ったんです。
ターゲットを探すが如く目を凝らし、来たか?あれか?と見定める様子は、まるで回転寿司屋。見つけられる側のアイツら(寿司)ってこういう気分なのか、と。
こういう、どうでもいいことをすぐ考えてしまうクセはどうにかならんのかと思うのですが、不安に感じてウロウロするよりはマシな気がして、脳天気な性格で良かったと自身の自己肯定力を認識しながら、時が経つのを待ちました。
すると、ほどなくして人口密度が低くなり、お迎えの人を見つけることができましたよ。

この送迎は学校側で用意されているもので、ワタシ一人ではなく何人かをまとめて送迎するため、メンバーが揃ったら学校へ向かうことになっていました。
ワタシが申し込んだ語学学校はアメリカの各所に点在していて、ロサンゼルスには2校あり、そこへそれぞれ相乗り状態で留学生を送ってくれるんですね。

で、無事全員(全て日本人)が合流しまして、まず最初の学校へ行き2人が下車。続いて、ワタシを含めた3人が目的地である学校に到着しました。
すると、運転手の男性が私たちに話しはじめます。
「君たち、明日は暇かい?ディズニーランドに行くアクティビティがあるんだけど参加しないか?」(たぶん、こう言っている)
3人で、顔を見合わせます。
ディズニーランド?
アクティビティ??
全員、チンプンカンプンです。

「学校のアクティビティで、明日がディズニーランドに行く日なんだよ。君たちラッキーだね。もし行くなら、僕が迎えに来るよ。どうする?」(たぶん、こう言っている)
ディズニーランドに連れて行ってあげる、的な?
何となくそんな感じじゃないかと、3人の意見が一致したのでひとまず受け止めます。
どうしようか?
行きます?
う〜ん。

「明日10:00に迎えに来るよ。せっかくだから楽しもう。迎えはリムジンだよ。すごいだろ〜。特別に用意する予定さ」(たぶん、こう言っている)
10時に来い、って?
リムジン?
学校で用意してくれるみたいだから、行ってみます?

ディズニーランドに行きたい、っていうのは全員一致だったので「OK」と返事すると
「そうこなくっちゃ。絶対楽しいよ。明日来るからね。ここに、同じ場所で10:00に。リムジンが目印だ。忘れるなよ〜〜〜」(たぶん、こう言っている)

ってな具合に、到着早々予定が決まりまして、荷物をおろしてくれた運転手さんに「センキュー、バ〜イ。シーユートゥモロ〜」と手を振り、校舎へ向かいました。

この時一緒に入校するのは男性と女性、どちらも22歳だったかな?ワタシよりも短い期間で帰国するプランのお二人でした。
私たちはホームステイではなく学校の寮を選んだので、同じ車での送迎だったみたいですね。
着いたのは校舎ではなく寮の入口で、黒人の若い女性が「Hello~」と笑顔で出迎えてくれました。
どうやら彼女はこの寮に暮らしている大学生で、私たちを案内してくれるようです。
ちなみに、通う語学学校というのは大学の中に併設されていて、学内の施設(図書館やパソコンルームなど)が自由に使えて、学生寮も利用できます。

寮の説明なんかを丁寧にしてくれましたが、何を言っているのか全然わからない、っていうね。
ワタシのとんでもなく重たいスーツケースも運んでくれようとするので、「いいです、自分で持ちます」と言いたいんですが英語が出てこず、ただ「ソーリー」を連発するだけ。
「It's OK!」とそれを持ち上げて運んじゃう彼女にも驚きましたけど、せっかく説明してくれた内容を何ひとつ理解していない上に荷物も運ばせるなんて、ワタシは殿様か?と、心底申し訳ないのに何も出来ず、ホント情けなかったです。

ワタシだけ別棟にある寮だったんですよ。
大荷物と共に寮の入口に着くと、彼女は「ここの2階よ」と番号を教えてくれ「じゃあね」と去る際に、ワタシは全身全霊を込めて「センキュー」と挨拶をして別れました。

いざ、入寮です。

「いよいよ、はじまるぞ」と、軽く息を吐いて入口のドアへ向かうと、5段くらいある階段の中段あたりに、どう見ても東洋人の若い男性が一人座っています。

第一留学生、発見。
いや、ここの大学生か?
アメリカ国籍の東洋人?
これは、どうしたもんか。

スーツケースをゴロゴロ言わせながら、ゆっくりと歩みを進め、距離が縮まります。

目が合ったぞ。
よ〜し。

「ハロー」
と、言ってみる。
すると
「Hi」と言って立ち上がり、スーツケースを持ってくれました。
「Wow! it's too heavy!」と目を見開いて「部屋まで持っていくよ。すごく重たいけど、これ運んできたの?すごいね」(たぶん、こう言っている)
ワタシは、「そうなんです、テへ」みたいなヘラヘラした顔で応じることしか出来なかったんですが「Thank you so much.」は言えた気がします。

ドアの前で「じゃ〜ね」と、手慣れた様子で東洋人の彼は去って行ったので、ここの大学生だったのかと、良い人でとても安心したのを覚えています。

で、鍵をあけて、ゆっくりとドアを開きます。
部屋にはベッドが2つ、デスクが2つ、クローゼットが1つ、大きな窓が1つ。
広さ8畳ほどのこの部屋が、これから数週間ワタシの城になるのか、とちょっと感慨深いものを感じましたね。


ひとまず安心したところで、荷ほどきです。
今は一人ですが、そのうちルームメイトが来るでしょうから、クローゼットは半分空けておきます。
着替え、勉強道具などを出して、どこに何をどう納めるかを思案し、説明時に手渡されたベッドシーツと枕と毛布で寝床を作り、とりあえず落ち着きました。

初日は緊張していたのもあり、この後どう過ごしたのかハッキリ覚えていません。
シャワーを浴びて、何か食べて寝たのか、時差ボケで眠れなかったのか、全く記憶にございませんが、次の日はちゃんと起きて10:00に例の場所へ行きましたよ。

いきなりアクティビティ

昨日のメンバーも来ていて、少し遅れて、約束通りリムジンもやって来ました。
超オンボロの、小汚いリムジンが。

え、コレ?

笑っちゃうくらい、ボロッボロ。
むしろ、恥ずかしいレベル。
ピッカピカのを想像してたワタシが悪いんですけどね。
リムジンはリムジン。
ウソではない。

ってことで私たち3人、渋々乗り込みますが、運転手は上機嫌です。
「や〜みんな、調子はどうだい?ディズニーランドに行くぞ。最高の気分だろ?Here we go !」(たぶん、こう言っている)
とりあえず3人共にヘラヘラ笑い、運転手のご機嫌に合わせる感じで車内を過ごし、1時間ほどでディズニーランドに到着しました。

「さぁ、着いた」と、ボロリムジンがギギィ〜と停まると運転手はこっちを向き、笑顔でこう言いました。
「50ドルね」

は?
お金、払うの?

全員で唖然としていると「当たり前じゃないか、ディズニーランドだよ、リムジンだよ ★□●※!▲◉&*?・・・・」(途中から何を言ってるかわからない)
もう、お金を払わないと大変なことになりそうだったので、50ドルを払いましたよ。
3人で、じゃなく、ひとり50ドルです。

集合場所へ行こう、と連れて行かれた先には黒人のおばちゃんがいて、運転手が何やら話しています。
おばちゃんは大きくうなづき、こっちを向くと「よく来たわね、楽しみましょう!こっちへいらっしゃい」(たぶん、こう言っている)
満面の笑顔で私たちを呼びました。
すると「じゃ〜、楽しんで〜〜」とボロリムジンは帰って行きましたが、おばちゃんと話はついていたようなので、「せっかく来たし、楽しもうじゃないか」と集合時間まで遊び倒すことにしましたよ。
夜のショーまで見て、「最高だったわね」とその場を仕切っていたおばちゃんに誘導され帰りのバスに到着したので乗り込もうとすると、「あなたたちは待って」と私たち3人だけ止められたので、何事ですか?みたいな顔をすると、おばちゃんは手を出してこう言ったのです。
「68ドルよ」と。

やられた。
いや、こっちが正しいのか?
ディズニーランドの入場料はこれくらいのはず。
あいつか。
あの、マイケル・キートン似の運転手め。

もう、3人で愕然ですよ。

おばちゃんは「これは学校のアクティビティで、参加費をもらってるのよ。あなたたちは突然の当日参加でまだもらっていないから、申し訳ないけど、今払ってくれる?」
たぶんこんな感じに、とても丁寧に言ってくれてたと思うんですけど、目が笑ってないんですよ。
これは払わないとまずい雰囲気。
「私たち、さっき運転手に払ったんです。なのに、また払うんですか?」と、ものすごくカタコトの英語で言ってみたものの、「それはそれ、これはこれ」みたいな返しに何も言えなくなりまして、結局払いましたよ、68ドル。

たった数時間で100ドル以上が消えた。
ここがアメリカ。
最高だった気分がウソのように、魂の抜け殻状態でバスに揺られて寮に着いたようですが、これまた記憶がございません。

50ドル案件は、とりあえず学校がはじまったら考えよう。

そう思いながら床についた気はしますけど。


つづく・・・


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