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哀しいのに哀しくない

小川糸さんの小説は好きで新しいものを見つけると読んでしまう。今回は「とわの庭」を読んだ。小川糸さんの小説がなぜ好きなのか。文体が穏やかというのは大きい。また、設定自体にハンディキャップがあって、辛そうだったり、哀しい感じがするのに、読むとそうでもないところがいいのかも知れない。

同情されるのが嫌いという人がいるけど、わたしもそうです。いろんな考え方があるので、その人の物差しで計られるとちょっと面倒だなと思ったりするので。小川糸さんの作品にはそういうものをはねのけているような感覚があるのが合うと思える部分なのかも。

とわの庭では、リヒトくんとのくだりが好きです。別れもあっさり。でも、実際多くの別れってこんな感じなのでは、と思っています。暴れたり、もめたりってそんなに…あるんでしょうか? わたしのいくつかの恋もこんな感じだったと思う。いちいち全身で受け止めていたら、大変。でも、全身で受け止めていないわけではないんです。コントロールすること。気持ちや生活や性格はコントロールができるので、そうやって向き合うことで自分にとってよい方向を目指していけると思うのです。

それが成長でなくてもいい。学習能力があるとかないとか言ったりするけど、実際の日々の中でちゃんと活かせることなんてなかなかないのだ。いつも新しい日を生きているし、状況は変わる。でも、コントロールの方法は覚えておくといいかなと自分の人生を振り返り思います。この先、目が見えなくなったり、体が動かなくなったとしても、コントロールすることで、わたしはなにかを克服していける。そう思いたい。十和子ちゃんの生き様からそんなことを感じました。


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