面の向こう

どうしてそんな怒った顔をしているの？
臆病な私にはとても声は掛けられない

この人はどうしてそんな困った顔をしているのだろう？
拒絶されるのは御免だから声を掛けることはしなかった

私はあなたを、あなたは私をよく知らない
本当は同じアーティストを好きなことも同じお菓子が好きなことも、同じアニメを同じ映画を。

分からないから怖かった。あなたも私も。

本当は緊張しているだけ、恥ずかしいから、考え事をしてたんだ、普通にしているだけなのに

悪気の無い誤解だけが一人歩きをしてしまう。

だから気が向いた時は挨拶を。
おはよう、こんにちは、こんばんわ。

固く閉じた見えない扉をノックする。
出来る時に出来るだけ、

ほんの少しの、だけど分厚い壁の向こう側に
見落とした繋がりが潜んでる

いつも不機嫌なあの人も家に帰れば、見たこともない表情で我が子を愛でているのかも。

仏頂面の彼女だって仲良しの友達の前ではきっと素敵な笑顔を見せている。

良いことばかりじゃない、だから少しずつ様子を見ながら。

あなたを知って、私を伝えて

その内きっと見えてくる。
初めましてのあの頃とは全く違う。
中身の詰まった私とあなたが。